ドレアの動き(1)
完全に認める事は出来ないSランカーとなり得る力をクロイツがいつから持っていたのかは分からないが、おそらく自分がクロイツを殺害しようとしていた事実は知られていると考えたドレア。
行きつく先は・・・・・・クロイツを完全に排除する外ないと言う結論になってしまうのだが、弟子であるリサですらあの力。
認めたくはないが本当にSランカーとしての力が有るのであれば、国家戦力全てをぶつける気概であれば相手にできるか・・・・・・と言う感触であったため、もう少し手駒を集める事にした。
「アルファ、いつまで座っている!お前にやって欲しい事がある。戦闘力の高い奴隷、特に赤い紋章の奴隷をかき集めろ。良いな!」
対クロイツとリサの準備として、ひたすら戦闘力の高い奴隷を集る事にしたナスカ王国の実質国王であり、クロイツの弟でもあるドレア。
特に、強制的に奴隷にされている捨て駒にし易い赤い紋章を持つ奴隷を集めるように指示を出していたのだが、どこの奴隷商に赴いてもそのような奴隷は一人として存在していなかった。
「ドレア様、城下町、少し離れた町迄足を延ばしましたが、一般奴隷以外は購入する事が出来ませんでした」
「何?持ち合わせが不足しているのか?」
赤い紋章を持つ奴隷は合法ではないのだが、既にこの大陸に使い捨ての駒として浸透してしまっている。
一般奴隷と比較して一切の保証をする必要がないので扱いを雑にしても問題ないとされており、それ故に重宝されてしまった上、その奴隷を市場に流している組織が各国家中枢にも入り込んでいる事から、一応建前上人攫いは重罪になるが、その結果である赤の紋章を持つ奴隷がいたとしても調査もされないし、所有しても処罰もされない。
こう言った事情から、主となる人物の希望に添えそうな奴隷、例えば今回のように戦闘力が高いとか、家事レベルが高いとか、非常に見た目が良いとかに該当する赤の紋章を持つ奴隷は、とてつもなく高価になる場合がある。
ドレアもその様な事情で持ち合わせがなかったのかと聞いたのだが、現実はそうではない。
「いいえ。そもそも赤の紋章が一人もいないのです。どこにも・・・・・・です」
「何を言っている?強欲な商人が値を吊り上げる為に隠蔽しているのではないか?いや、まさか・・・・・・」
クロイツの調査をさせていたドレア達は、クロイツやリサが時折奴隷商に赴いて赤の紋章だけを買い漁っていると言う報告を受けていた。
「ドレア様の想像通りかと。おそらくクロイツとリサが全て購入してしまったのです」
「たしか、その者達の行方も不明・・・・・・だったな?」
「はい」
ここまで状況が揃うと、ドレアとしては自分がクロイツにしていたように、クロイツも自分に対して赤の紋章を使って攻撃しようと考えており、その準備として奴隷を買い漁っていたと判断する。
全くの言いがかりで、クロイツ、更には少し前に直接接触したリサでさえ、ナスカ王国から余計な接触がない限りはドレアを含めた王族をとうこうするつもりは一切ないが、過去のクロイツに対する行為、そして弟子のリサに対する行為を考えると、ドレアが彼等からの報復があるだろうと思ってしまうのも仕方がない。
「クソ、先手を打たれたか!仕方がない。赤でなくとも良い。一先ず戦闘奴隷を買い漁れ!」
「はっ!」
奴隷になってしまう状況は数えきれないほどあるが、基本的に一般奴隷であれば事故や戦闘による死亡時には、状況に応じて加害者またはその時の主が保証をする必要がある。




