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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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とある奴隷の開放(3)

 クロイツとリサの対応の鋭さを見て、ミュラは驚愕する。


「何故それほどまでに動ける……お前は何者だ!」


「何者ってよ~、本来は命の恩人の名前位は知っとくのが騎士ってもんじゃねーのか?まぁ、冥途の土産に教えてやるよ。今はCランカーの冒険者、クロイツだ!」


 その名前を聞いて、何故か警戒を露わにする騎士四人。


「あん?テメーラの間じゃ俺は有名人みてーだな。そりゃそうか。支部を丸ごとぶっ潰したからな」


 四人の態度で、自分達が闇の奴隷商の中では相当名前が知れ渡っている事を今更ながら把握したクロイツとリサ。


「ふん。ガキの癖にかなりの情報を得ているようだな。確かにお前らのおかげで支部が一つ潰された。だが、あんな支部は何処にでもある。組織にとって痛手でも何でもないが、この村と俺達の事情を知ってしまったお前等は見逃すわけにはいかない。ガキだからって容赦はしないぞ。中途半端な実力で無駄な正義感を振りかざした事を後悔しながら死ね!」


 堕ちた行動をしていても流石は騎士。


 対人戦の訓練も行っているようで、すかさず前衛と後衛に分かれた状態でクロイツに対して波状攻撃を行っている。


 リサに対しては少々離れた位置にいる事と見た目少年のクロイツよりも背格好が小さく、何時でも始末できると考えられており、攻撃対象には含まれていなかった。


 前衛は二人共に正当な騎士らしく剣を使って正面と背後から攻撃してきており、後衛の一人が二人に対して支援魔法を行使して戦闘力を上げている。


 最後の後衛は遠距離から魔法による直接的な攻撃や行動阻害の為の魔法、足場を突然凹ませると言った、実際に普通の人であれば瞬殺される程の練度でクロイツに立ち向かっている。


 残念ながら……相手が普通の人であれば絶対に負けはない程の練度だが、クロイツは普通ではない。


 もちろんリサもだが、実力通りに全ての攻撃を身体強化と体術だけを使って華麗に躱して少々距離を取っている。


 今の所反撃もしていないし、武器すら手にしていないクロイツ。


「……なるほど。支部を潰して本部が危険人物に指定したのは過剰だと思ったが、確かにこれは危険だ」


 実際に戦闘をしてクロイツの実力の一端を垣間見たミュラは、脅威となり得る存在である事をはっきりと認めた。


「テメーに認められてもうれしかねーな。ところで、口が聞けるうちに聞いておきてーんだがよ、ゼリア帝国って言うのは、テメーらみてーに後ろ暗い連中が牛耳ってんのか?」


「ははは、随分と余裕だな。俺達の攻撃がこの程度で全力だと思ったのか?これだからガキは……ま、そうは言ってもお前には命を救われた事も有るからな。騎士として最後に借りを返そう。組織に属しているのはここにいる四人だけだ。だが、俺達が仕入れた奴隷を誰しもが嬉々として使っているぞ。まぁ皇帝は除外されるが……正当な入手方法ではない事は、奴隷紋の色を見ればわかるはずだが、その上で使っている!お前程度の薄っぺらい正義感でどうこうできる事ではないのだ!理解したか?」


 国家として最悪の一線を越えているのかどうか微妙な所だが、直接的には関与していないらしいので、取り敢えずこれ以上は聞く事はないと判断するクロイツ。


「ご丁寧にありがとさん。だけどよ、あんな狐程度に死にそうになっている程度の実力で、本気も何もねーだろ?」


「は~、これだから世間知らずのガキは。あの時の俺達は敵対組織と戦闘した後で、使い慣れている武器も持っていなかった。まさかあの時の戦力で俺達の実力を判断したのか?だとしたら、大間違いだぞ」


 前衛二人の騎士は今迄使っていた剣を鞘に戻すと、後衛の一人、支援魔法を使っていた一人が馬車から新たな剣を二人に投げ渡す。


「これが俺達の本気だ。ガキだからって容赦はしない。組織の秘密を知る者は誰一人として生かしておけない」


 新たに手に持っている二振りの剣は、確かに少々前まで使っていた剣とはモノが違う事が分かる。


 美しい銀色の刃には日光が奇麗に反射しているのだが、その刃には騎士の体から出ている魔力に包まれ始める。


 それを見たクロイツは、騎士が自信満々な態度であった事に納得する。


 それほど魔力を体以外に流す事は難しく、逆にその技術を自分のモノにする事ができれば戦闘力は一気に上がる。


 恐らくあの剣は魔力が流れやすい構造をしているのだろうが、それでも普通の人にはあれほどの芸当は出来ない。


 因みにクロイツは余裕でできるが、魔力が乏しいリサは出来ない。


 実は彼らが使っているスキルは剣術であり、熟練度が上がればあのように魔力を纏わせる事が可能になる。


 魔力がないリサのような立場の者達は、魔力の代わりに大気中のエネルギーを剣に纏わす事が出来るようになる。


「どうした?今更ながら怖気づいたか?残念だったな。ガキの癖にお前らは余計な事に首を突っ込み過ぎた。若気の至りで命を散らす事を悔いながら死ね。今回の事を教訓に、来世では身の丈に合った生活をするんだな」


 ミュラともう一人の騎士は、剣に魔力を漂わせて構えている。


 後衛の二人も馬車から取り出した杖を手に持って強力な魔法を行使出来るほどの雰囲気を曝け出しているので、彼らが言っていた使い慣れた武器と言うのは今手にしている物なのだろう。


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