↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

166/214

ハルミュレ(1)

 過去……ハルミュレは何が何だか良くわからない内に森の中にいる自分自身に気が付いたのだが、項あたりが熱を持っており、罪の意識がないまま、そして認めないまま奴隷の紋章を打ち込まれた事だけは理解していた。


 この時代には良くある話で、森の近くにある孤児院を運営する悪人が闇の奴隷商と繋がりのある存在で、孤児の一部を自分の手足とするべく、ある程度の年齢になった者達に赤の紋章を順番に打ち込んでいた所に憲兵が突入して大混乱になってしまった為に、訳が分からずいつの間にか森の中に逃げ込んで迷っていたのだ。


「これが、赤の紋章……」


 強制性を示す奴隷紋が赤色になる事から赤の紋章と呼ばれていると言う知識を持っているハルミュレは、項の熱を感じながら森の中を歩いている。


 目的地がある訳でもなく彷徨っているように見え、幸運にも今の所は魔獣に襲われる事は無かったのだが、実際には何かに導かれるようにある一点に向かって歩を進めており、その場にいる存在によって魔獣が近接できないのだ。


「あれ?」


 やがてその存在が視認できたハルミュレは、一見して弱っていると理解できるその存在を見つけて走り寄る。


 どう見ても魔獣なのだが、何故か恐怖は一切なく近接すると……それは幼い龍であり、大きさとしてはハルミュレでも抱きかかえる事が出来る程度であり、小さな翼も少々曲がっているので飛べないようだ。


「大丈夫ですか?」


 何故か普通に話しかけ、そっと抱きかかえるハルミュレ。


『ありがとう。あっちに向かえば僕の家があるから連れて行ってもらいたいけど、お願いできる?』


 突然頭に直接響く声に驚いたのだが、幼龍の視線は悪意のなさそうなつぶらな瞳で自分をじっと見つめているので、どの道孤児院に戻っても真面に過ごす事は出来ないだろうと思っていたハルミュレはその申し出を受ける。


「わかりました。私で良ければ、お連れしますね」


 幼龍は飛んだり歩いたりできる状態ではないようで、ハルミュレの腕の中でじっとしている。


「あの、その怪我、大丈夫ですか?何かできる事があれば言ってください」


『家に戻ればその内治るから大丈夫だよ。ありがとう!』


 こんな話をしながら指示された方に向かっているのだが、幼龍が勝手に想像していたのとは異なり、普通の人族であるハルミュレの移動速度ではこの日だけで目的地に到着できるわけもなかった。


「ごめんなさい、もう何も見えないので歩けません」


『こっちこそごめんね。僕が動くスピードで考えていたから、こんな時間になっちゃった。でも、安心してね。僕の気配を感じて余計な魔獣は寄ってこないから。食事は道中集めた木の実で大丈夫?』


 移動中に幼龍の指示で見つけた木の実を集めていたので、それを食べるハルミュレ。


「あの、龍ですよね。龍さんで良いですか?」


『うん。何でも良いよ。ゆっくリ寝てね。絶対に安全だから、安心して』


 こう言われても、激変した環境に置かれて初めての野宿……直ぐに眠れるわけもなく、少し話をする事にしたハルミュレ。


「えっと、まだ眠れそうにないので話をしても良いですか?」


『もちろんだよ!』


「えっと、龍さんは、どうして結構人が近くにいる場所にそのような状態でいたのですか?」


『あ~、やっぱり気になるよね?恩人の質問には答えるよ。正直情けない話だけど、家にず~っとこもるのって退屈でしょ?だから散歩していたのだけど、そこで魔獣に囲われて襲われちゃったんだ。それで、家に戻って傷を癒そうとしたけど情けなくも力尽きちゃったって訳なんだ』


「そ、そんな……龍さんでも敵わない魔獣が沢山いるのですか?ここは大丈夫ですか?」


『あ~、その場所は結構遠いから大丈夫だよ。確か、人族が“深淵の森”と言っていた場所の相当深い場所だったからね』


 深淵の森の奥深くにいるSランク相当の魔獣複数に囲われて一気に襲われたので、いくら龍とは言え幼龍である為に傷を負って逃げ出しており、当時ナスカ王国にいたクロイツはその戦闘の気配を感じ取っていたりする。


 逃げ出せる事がやはり龍と言う存在なのだがその辺りは分からないし、“深淵の森”と言われてもわからないのだが、相当遠い場所から逃げてきたのだろうと理解したので、緊張していた体の力が一気に抜けて眠くなるハルミュレ。


「ふぁ~、龍さん。私眠くなっちゃったので眠らせて頂きますね」


『うん。そうして』


 こうして数日後(・・・)に到着したのはダンジョンであり、実はこの龍はこのダンジョンの管理者だったのだ。


 ダンジョンに関して詳しくないハルミュレは、言われた通り洞窟に見える中に侵入直後に転移によって最下層に飛ぶ。


「あれ?景色が変わったような……」


 転移と言う事実が理解できないので突然景色が変わった事に一瞬驚きはするのだが、幼龍が明らかに元気になった事からそちらに大きく意識が向く。


『本当に有難う。君……ハルミュレもゆっくり休んでね』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。