王都にて(3)
リサが嬉しそうにしている姿を見て、既に自席に戻った受付は強制的な関係ではない事が確実であると判断して村とグレートオーガ二体の調査処理の手続きを行っていた。
「リサ、この食事が終わったら宿に行くぞ」
「はい、師匠!」
目先の予定だけ告げると丁度食事が運ばれてきたので、二人は食事を始める。
「リサ、もうわかっていると思うが遠慮なんかするんじゃねーぞ。たっぷり食えよ!」
「ありがとうございます、師匠!!」
少しでも早くやせ細った体を元に戻してやりたいと感じているクロイツ。
そしてその心遣いを嬉しそうに受け取るリサだ。
二人は食事を終えてギルドを後にすると、クロイツが先導して宿に向かう。
飲み物を飲んでいる最中、無駄に高い身体能力を使って周囲の冒険者の話を聞いており、そこで宿の情報を仕入れていた。
「ちょっと待ちな!」
そこに後方から声が掛けられる。
「随分と痩せこけたガキだが、素材はよさそうだからな。もう少し育てば立派な使い道があるぜ?」
「その通りだ。お前程度のガキとどんな関係かは知らねーが、俺達が有効活用してやるよ!感謝するんだな!」
と、お決まりのガラの悪い冒険者に絡まれた。
流石に食事の時はフードを外していたリサを見て、あわよくばと言う思いで後をつけていたのだろう。
少女のリサ、そして少年のクロイツだけではなく他の保護者的な存在を気にして後をつけていたのだが、そのような存在がいないと判断して直接的な行動に移したようだ。
「はぁ~、これがイベントか?そこに颯爽と女性騎士が現れて……って無いな。初回のイベントすら肩透かしだったからな」
前世の知識の一部からお決まりのイベントに関連して彼女を得られるのではないか!と一瞬思ったクロイツだが、そもそも初手から想定を大きく外しているのであっさりと諦めるのだが、第三者から見れば何を言っているのかは分からない。
もちろんリサも含めてだ。
「し、師匠?」
脅威となる対象を前にしてクロイツが壊れてしまったのか心配になるリサをよそに、万が一の可能性に懸けてクロイツが冒険者にこう問いかけた。
「そうそう、拠点だか何だかに奇麗な女性を無理やり囲っていねーか?であれば、その女性を助け出せば俺の野望が叶う可能性が高いんだけど?」
何を意図しているのかはよくわからないが、かろうじて言っている事は理解した冒険者二人。
「テメー、Dランカーの俺達を前に随分と余裕じゃねーかよ」
「余裕ぶっているのも今の内だ。今までと同じ様に闇の奴隷商人行きにしてやろうと思ったが、テメーのふざけた態度を見て気が変わった。強制的に俺達の奴隷にして使い潰してやるよ。ハハハハ!」
「で、その奴隷商って何処だ?」
ここまで言っても怯えないばかりか不遜な態度を変えないクロイツにしびれを切らした冒険者達は突然クロイツに襲い掛かったのだが、何をされたか気が付かないまま気絶させられている。
「リサ、今のは見えたか?」
「……申し訳ありません。見えませんでした」
「そうか。こいつらの攻撃を避けて首に手刀を落としたんだ。こんな感じだな」
少しでも冒険者としての力をつけて貰いたいクロイツは、敢えて遅い動きで今の攻撃を再現して見せる。
その後は面倒くさそうにしながらも気絶している冒険者二人を抱えてギルドに戻り、闇の奴隷商人の話を含めて説明の上引き渡した。
「ありがとございます、クロイツ様。最近人々が攫われる事件が多発していたのです。まさか闇の奴隷商人向けに冒険者、Dランカーが実行犯として動いていたとは……この二人には厳しい処罰をお約束しますし、情報を吐かせて救出隊を編成します。後日、グレートオーガ二体の報酬に今回の分も上乗せしてお支払いさせて頂きますね」
見た目少年がDランカー二人を抱えてギルドに戻ってきた段階で他の冒険者達はクロイツが相当な実力者であると認識し、余計なちょっかいをかけないようにしようと考えていた。




