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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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メバリアとベナマス(4)

 ベナマスとしては今回の契約についてはもう結論は出たので、さっさと貰うものを貰ってこの国から自国に戻り、今回得た多額の報酬を元に国力、ベナマス国王の考える国力、即ち戦闘力を上げて発言力を増し、先ずはシス連合国を牛耳ってやろうと考えている。


 そんな中でも、最後まで搾り取る事は忘れない商魂たくましいベナマス。


「で、今後の契約についてはどうされますか?解除するにもその後6か月分の費用をお支払いいただかなくてはなりません。そう言った契約(・・)ですから」


 殊更契約を強調するベナマスだがメバリアの余裕の表情は消えておらず、どれだけゼリア帝国に援助してもらうのだと考え始めていた時……


「いや、契約書に則ってみればその支払いも不要だな。それに、この請求書に書かれている有り得ない金額である虹金貨1320枚(132億円)の支払いも不要になる。全く、連合国の一構成国となったとは言え国主がこのような詐欺まがいな行動をするとは実に嘆かわしい」


「???な、なにを言っているのですかな?メバリア陛下。どこに支払い不要と書いてあるのか、教えて頂きましょうか。未納を踏み倒して契約も強制的に廃棄するなど平気で言ってのける者に、嘆かわしい等言われる筋合いはないな。余が下出に出ている内にしっかりと耳をそろえて払った方が利口だぞ?」


 話しながらも怒りが湧き、既に遜る事が無くなっているベナマスを見て呆れているメバリア。


「まったく、普段そのような横柄な態度をとっているから少々動転しただけで素が出るのだ。では私から……よりも、ある意味第三者的なゼリア帝国のアントニア殿に説明してもらった方が良いだろうか?」


「そうですな。では、私の方からご説明いたしましょう、ベナマス国王陛下」


 流れるように話が進み、眉間にしわを寄せながらも話を聞く体制になったベナマス国王。


 流石に大国とは言え復興中のナスカ王国を相手にするのとは違い、隣接しているゼリア帝国からの派遣された文官と言っている男が説明をすると言っている以上は、とりあえず話だけでも聞いておく必要があると判断した。


「先ずは、私の身分ですね。こちらが紋章になります。私はゼリア帝国の宰相を務めさせていただいておりますアントニアです。以後、お見知りおきを!」


「「宰相!!」」


 何故かベナマスだけではなくメバリアまで大声を出してしまう。


「えぇ、そうです。あれ?メバリア陛下にはお伝えしていませんでしたかな?」


「き、聞いていない。ゼリア帝国のアソール殿が文官を派遣してくれたとだけ……まさか宰相殿とは」


「まぁ、この際そこは良いではありませんか。それほどこの国とクロイツ殿との結びつきを重要視しているとお考え下さい」


 カラカラと笑っている宰相アントニアは、悪戯が成功したかのように微笑みながらも初老故か真っ白になっている頭髪を蓄えた頭を掻く。


「で、ベナマス国王陛下。疑問にお答えしましょう。このゼリア帝国宰相のアントニアが丁寧に説明させて頂きますよ」


「よ、よろしく頼む」


 大国の宰相と聞いて少々気後れしているベナマス。


「話は非常に簡単です。陛下が準備したこの請求書、ご自分で作成されたので全て理解しているのでしょう?これほど厚顔無恥な請求書を作成して何もなかったとは言わせませんよ。それを踏まえて契約書ですが、この項目をご覧いただきましょうか」


 こうして指示した契約書の写しのとある部分には、こう記載されている。


<故意に契約を違えるような行動をして相手方に損害を与える、または準ずる行為をした場合、全ての契約を無効にできる>


 ベナマスもバカではないので、何を言わんとしているかはもう理解しているのだが……このまま引き下がれば、本来契約上手に入れる事が出来るはずだった総額虹金貨270枚(27億円)ですら手に入れられない事になるので黙っていられるわけがない。


「い、言いがかりは止めて頂きたい。大国のゼリア帝国宰相ともあろうお方が、何を根拠にそのような出鱈目を!」


「おや?私がここまで明言しているのに出鱈目と仰る」


 アントニアの文官らしい言葉の圧に押し込まれているベナマス。


「根拠がないのに言いがかりをつけているのはそちらではないか!正当な権利すら妨害するような極めて姑息な手を使うのであれば、最初から支払う気などないと言われた方がまだ潔いわ!」


 既に引けないベナマスは勢いをつけてこの場を乗り切ろうとするのだが、帝国宰相にはこの程度をいなす事は容易だった。


「では、今回の請求の根拠ですが……一国の国王ともあろうお方が簡単な計算もできないのですね。何故これほど……10年も未納となっているのか、教えて頂きましょうか」


「……未納だから未納だと請求したに過ぎない」


「なるほど。確かに少し前まではこちらに契約書すらないので支払い証明がなかったと判断されるのは当然ですね」


 そう言って手にしてヒラヒラ見せているのは、クロイツによって連れられたリーナが保管していた納付証明書。


「困りましたね。私の目には2年程度の未納と判断できるのですが、まぁ私も歳ですから見間違えているのかもしれませんね。貴方はどうですか?ベナマス陛下」


「ぐ、ぐぬぬ、何故その証明書があると最初から言わんのだ!わざとこちらを試したのか!」


「そんな姑息な事はしませんよ。本当に偶然一昨日見つけたのですよ」


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