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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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シス連合国(5)

 連合国として一枚岩にならなくてはいけない所、たった一つ余計な問題児が紛れているだけで連合が機能しなくなる事はよくある事だ。


 この現象は連合国(・)ではなくとも、もう少し小さい集団でも証明されている事であり、そこから集団が瓦解する事も良く聞く。


「そんな危険を呑んでまで来てくれるって事か。建国数日で瓦解する可能性をはらんでいるのに……相当な覚悟だな」


「確かに師匠のご指摘の通りですね。何でしたら、私がもう一度出向いて余計な動きをしないようにある程度制御してきましょうか?」


 リージョの提案に悩むクロイツ。


 基本他国、それも建国間もない小国の連合国に力を貸したとあればこの大陸中の各国の要望にも応えなければ不平不満が出てくる可能性が高い。


 隣国であるゼリア帝国や身内がいるナスカ王国は別格としても、シス連合国にまでそう言った行為をしたと明らかになれば絶対に面倒くさい事になる事を知っているクロイツ。


 その悩みを正確に把握したリージョは、こう提案する。


「わかりました。では、あの国家、国王が余計な事をしそうになった際には秘密裏に少々騒動を起こします。もちろん国民には障害が無いように……それであれば、師匠の悩みは解決できるのではありませんか?」


「その通りだ。悪いな、リージョ。その方向で頼む」


 リージョは音も無くこの場から消えて、最大の懸案となり得るベナマス王国の国王の監視に向かったのだが……クロイツとリージョの予想ではシス連合国内部で何か動きがあると思っていた予想は大きく外れる事になるのだが、何があってもリージョであれば対応できるだろうと安堵しているクロイツだ。


「師匠!お見えになりましたよ」


 門の上から周囲を警戒していたリサが、シス連合国の一行がかなり遠くから向かって来るのを見つけてクロイツに告げに来た。


「お、そうか。じゃあ俺も出迎えるとするか。もてなしは……この部屋でいいだろうな。すまねーが、対応を頼むぜ、リトア、エルトネ。近くに見えるようにポチの眷属がいるから大丈夫だぞ。俺達もいるしな」


「「はい!!」」


 リトアとエルトネは、ナスカ王国のギルドに最後まで残り赤の紋章をつけられてしまった元職員二人だが、この二人は非常に勤勉である上に受付と言う業務を長く経験していたので、来客の対応が誰よりも上手にできる為に今回クロイツが抜擢した。


 安全は十分に確保の上でと言う事を何度も繰り返し伝えているので、クロイツ達の事を信頼している二人でもやはり少々恐怖心はあるままではあるが、誰よりもクロイツ達の力を知っているので恩返しのつもりで頼みを引き受けていた。


「おぉ、態々お出迎え、恐縮の至りです。クロイツ殿程のお力が有れば、我らの来訪も事前に知れているのでしょう」


 先ぶれを出していない状態にもかかわらず、今この場に来る事を知っていたかのようなクロイツの対応には特段驚かないシス連合国の国家元首であるラトル王国のラトル国王。


「まぁ、そんなところです。できたばかりで何もない町ですが、どうぞこちらへ」


 元王族として対外的な振る舞いについては教育されているので、いつもとは全く違う話し方をしているクロイツと、その姿を見て師匠は凄い!と感心しきりのリサだ。


 クロイツが先頭、その後ろにラトル国王やシビリア王国、チタニア王国の各国王、その護衛達が続き、最後尾にはリサがいる。


「ク、クロイツ殿!だ、大丈夫なのですよね?」


 ラトル国王を始めとして全員が町に入ると結構な数の魔獣、それも人族の中では非常に有名になっているSランク魔獣であるポイズナックがその姿を明確にした状態で結構な数が地上と空にいるのだから、怯えてしまうのも仕方がないだろう。


「問題ないですよ。完全に制御できていますので、この町……ダンジョン町とその住民に敵意が無ければただの置物と同じです。何なら目の前に整列させてみましょうか?」


「い、いや、大丈夫です。寧ろもう少し距離を取って頂けると助かります」


 護衛の騎士でさえ怯えて縮こまっている姿を見て、クロイツは希望通りにポイズナックの位置を調整させる。


 何の気なしに言った事がまさか即座に実行されるとは思っていなかったラトル国王一行は、希望通りにポイズナックが即座に距離を取り始めた事に肩の力を少しだけ抜く事が出来ていた。


 そのままダンジョン3階層直通の入り口に最も近いクロイツ達の家に入り、リトアとエルトネの出迎えを受ける。


「本日はお越しいただきありがとうございます、シス連合国の皆様。こちらへどうぞ」


 流れるように護衛の騎士と共に案内されて椅子に座った後、ダンジョン深層特製の飲み物を出す二人。


 対面に座ったリサとクロイツの前にも飲み物がおかれると、ダンジョン深層特製だけあって疲れを癒す効果があるので、クロイツは先ずは飲み物を勧める。


「こ、これは初めての味です。それに……何故か疲れが飛ぶような気が…」


 ラトル国王の言葉に頷きながら一気に飲み干すシス連合国の一行をみて、何も言わずにリトアとエルトネはお代わりを注いで行く。


「早速ですが、今日はシス連合国としてダンジョン町との顔合わせと言った所で宜しいですか?こちらから出向こうかと思っていたのですが、来訪の予定があるとの情報が入ったので待たせて頂いたのですが」


「ご指摘の通り、シス連合国として隣接しているダンジョン町のクロイツ殿に顔通しをしておきたくお伺いした次第です」


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