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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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闇の奴隷商幹部(1)

 リーナはクロイツの指示通りに幹部を集めるのだが、その中には当然ミューテルもおり、彼女は昇進の話ではないかと期待に胸を膨らませていた。


 一方、突然の招集に訳が分からずナスカ王国の王城のとある大広間に集合している他の幹部の面々、冒険者・商人・門番・ギルド職員・薬師、様々な職に就いている者達が集合しているのだが、今までのクロイツ達の成果により国家中枢に近い者達は駆逐されていた。


 現国王であるドレアは、今回の会合は自らが商会長になれるための会合だと聞いており、国王と言う権力と闇の奴隷商の商会長と言う二つの強大な力を持った立場にも成れる事から将来は安泰だと確信している。


 その他の者達は、何故突然商会長ではなく闇の奴隷商とも一切関係が無いと知らされていたドレア国王とその近衛騎士達がこの場所に居るのかを訝しみながらも、丁重なもてなしをされているので悪い気はしていなかった。


 会場では、ドレア一行以外は集合させられた目的が知らされないまま立食形式の食事会のような形で歓待されており、その中に完全に気配を消しているクロイツ、リサ、リージョがいる事に、リーナの護衛やドレアの護衛である近衛騎士アルファ達を含めて誰も気が付く事は出来ない。


『師匠(クロイツ)、何時まで隠れているのですか?』


『もう少し待て、リサ!今、赤の紋章をつけられる奴から能力を剥奪している最中だ。騒がれて逃げられたら困るからな。ここはしっかりと、確実に……な』


『流石は師匠(クロイツ)です。私やリサではどう逆立ちしてもできない事をあっさりとやってのける……素晴らしいです!』


 クロイツとしては、この場に赤の紋章をつけられる術者も漏れなく呼ぶように伝えていたので、鑑定した上でその能力を確実に奪っておく事にしたのだ。


 一般的な奴隷契約を行う術者も同じ能力を持っており、国家として奴隷が合法である以上全員から剥奪するわけにはいかないが、この場にいる者達であれば確実に赤の紋章をつけてきた者であると確信できるので、容赦なくその力を剥奪していくクロイツ。


 中には実際に普通の奴隷商に努めている者もいると想像でき、術が使えなくなった段階で仕事を失う事になる場合もあるのだが自業自得だ。


『よっしゃ、終わったぜ。俺は剥奪漏れがねーか確認するからよ、リージョはメバリアを連れてきてくれ。一応気配遮断を使っておいてくれよ。リサは、出入口付近に移動して、逃げる奴がいないように見張ってくれ』


 この場の面々は楽しそうに食事をしており、唯一リーナだけがいつクロイツが来るのか警戒心を露わにしている。


 少しすると、リージョに抱えられながらこの会場にやってくるメバリア。


 リージョと接触している状態である為に、リージョ本人と同じく気配遮断の状態にあるので誰にも気が付かれていない。


『ク、クロイツ殿。なんだか突然あっという間にこんな……どこをどう見てもナスカ王国に来たと思えば、なんだこいつらは!あそこにいるのはドレア国王で間違いなさそうだし、ゼリア帝国のギルドにいたはずの私は……』


『落ち着けって、メバリア。これからが本番だぜ?一応この場にいる奴隷の紋章を打ち込める奴らからは能力を全て剥奪した。で、ドレア(バカ)が自信満々になっているから、リーナはドレアに全てを打ち明けて俺と対峙させるようにしたんだろうな。リージョ、姿を現した後のメバリアの護衛は頼んだぞ』


『お任せください、師匠!』


 一応コソコソ話してはいるのだが、気配遮断を行っている上に周囲の声の方が大きいので未だに誰にも認識される事無く、クロイツとメバリア、そしてリージョが壇上に上がって気配遮断を解除すると大声で宣言する。


「お前等良く聞け!俺は冒険者のクロイツ、こっちは見てわかるだろうが、SSランカーの“黒套のリージョ”、そんで出入口を塞いでいるのが同じくSSランカー“白套のリサ”だ。ここで俺は宣言する。この場に集まった闇の奴隷所のクズ共は二度と日の光を見る事はねーとな!」


 一瞬で状況を把握して出入口に向かった者達はリサの一撃を食らって気絶しており、アルファを含む騎士やドレアは常々始末しようと考えていたクロイツやリサ、リージョまでがこの場にいる事から攻撃態勢に入る。


 少し前の道中でも、二人のSSランカーのせいで貴重な素材を買い叩かれたと恨みを募らせていた小さな男達は、何も言わずに一気に近くにいるリージョとクロイツに襲い掛かる。


 リーナではその動きを把握できない速度で移動した事から、これで自分は助かったと安堵したのだが……所詮は雑魚の集まりであり、SSランカーの師匠であり実際にそれ以上の強さを持っているクロイツの敵ではなかった。


---ペシッ—-


 まるでコバエを叩き落すかのように手を上から下に軽く振り下ろしただけで、三人の騎士とドレアは行動不能になって立ち上がれなくなっている。


「え?」


 リーナのショックは想像を絶している。


 クロイツの話を持ち出して尚自信満々の態度を崩さなかったドレアが、よくわからない内に地面に転がされてモゾモゾしているのだから。


「よう、リーナ。これがお前の最後の手か?はっ、こんなバカに頼るたー、余裕が無くなっているな。これでお前等の運命は決まった。さっきも言ったが、二度と日の光は見られねーからな。後数分だけ最後の光を楽しませてやる」


 奴隷商の幹部達は、商会長であるリーナの護衛についている者達すら一切動かない……いや、動けない事に漸く気が付き、全てが終わったのだとほぼ全ての面々がへたり込んでしまった。


 唯一立っているのは、ギルド職員でありリージョやリサの仇でもあるミューテルであり、彼女は今更ながらシラを切り通す事にしたようだ。


「あ、あの、クロイツ様。私はよくわからない内にこの場に呼ばれてきたのですが、何を言っているのでしょうか?」


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