街
疲れたら肉
帰りはゆっくり歩いた。
街に戻るまで、僕は一言もしゃべらなかった。
スーもだ。
ラヒムの家に行き、服を着替えて、荷物を全て持ち家を出た。
もう朝になっていたので、そのまま冒険者ギルドに向かう。
森の魔物を倒したこと、たくさんの死体があったことを職員に話す。
職員は確認に行きたいが、危険で森に行けないと言う。
もう魔物はいないと伝えたが、子供の僕の証言では信じられないようだ。
荷物をギルド内の倉庫に置かせてもらい、3人で森へ向かう。
僕は、もう夜のように体は軽くなかった。
いつもの僕だ。
そして到着した森の惨状に、職員は嘔吐が止まらず、全て出し切るまで吐いていた。
魔物の数は、数えるのにも時間がかかるだろうし、体のパーツもバラバラになっているので、計測が大変だ。
そこに人間の体のパーツも混ざり合い、地獄絵図だ。
職員をスーが担いで街へ戻る。
とりあえず、中型の魔物だけでも30は倒しているということで、金貨3枚を渡された。
僕に悲しいという感情は無くて、これでしばらく金に困らないと安堵感だけあった。
荷物をギルドから受け取り、家を借りたいと伝えると、顔色の悪い職員から、別の職員に変わった。
希望の家まで一緒に行き、登録する。
契約書にサインをして、当面の家賃を払い、契約成立だ。
家のなかは、掃除が必要だった。
補修も。
屋根は一部壊れて空が見えた。
それでも、二階建ての一軒家を格安で借りれたのは、幸いだ。
1階部分は店舗用になっているから、掃除すればすぐ使える。
2階も、2人それぞれの部屋と、シャワー、トイレ、小さいが台所もある。
これで家賃が銅貨30枚。
激安だ。
僕は、何も考えないように、すぐさま掃除を始めた。
不思議なことに、お腹は空かなかった。
ラヒムの家で作った香草焼きは、全て持ってきた。
でも、全然食べたくない。
ラヒムの家は、その死を知れば、家主が来るだろう。
後片付けは、そっちの仕事だ。
僕は、僕の生きて行く基盤を作るんだ。
そう言い聞かせながら、掃除を続けた。
スーに材木など必要な材料を持ってきてもらい、指示しながら屋根も補修していく。
ついでに、壁の穴も塞いでいく。
これで、ひとまずは大丈夫だろう。
スーと、元々あったテーブルと椅子に座る。
文化的な暮らしって、いいよな。
そんなことを考えたら、お腹が空いてきた。
ラヒムの家から持ってきた肉に、食らいつく。
バクバク食べた。
こんなに食べるなんて僕じゃないみたい。
でも、なぜだか手が止まらない。
涙も出ない。
僕は、自分が魔物にでもなった気がして、恐かった。
肉って、いいよね!




