それから
フゥー
それから、僕たちは、毎日、あくせくと働いて、ラヒムの治療をする毎日を過ごした。
1か月ほどすると、ラヒムも起き上がれるようになり、話しも出来る位に回復した。
さらに1か月後には、肩を貸せば、トイレまで歩くことも何とか出来るようになった。
「ほんとに助かったぜ。ありがとな」
そう言って笑いかけてくるラヒムの笑顔は、前世で憧れたゴールデンレトリバーに似ていた。
顔をきれいに洗ったら、なかなかの男前だ。
もうトイレの世話は必要ないが、ラヒムは、喉の後遺症がひどいらしく、飲み込みが悪い。
ポーションを1日に1本は飲むし、それすらも僕の口移しでないと、うまく飲み込めないらしい。
食べ物も、僕が噛んで、口移しで食べさせている。
前世のテレビで観たペンギンの親子は、こんな感じだったか。
「いつもすまねぇな」
そう言って目を閉じるラヒムのことを、僕は責める気持ちにはならない。
ラヒムが話せるようになって、ラヒムの服の裏に縫い付けてあった袋から、金貨や銀貨があることを伝えられた時の驚き。
そして今は、以前とは比べようもない良い部屋、ラヒムの家に住まわせてもらっている。
もちろん僕とスーの2人ともだ。
仕事は、森がまだ調査中ということで、時々、下水道などに出る小型の魔物を狩るくらいで、毎日あくせく働くことも減った。
ラヒムから、治療のお礼に、いつまででも住んで良いと言われている。
そんなことは、さすがに出来ないが、治療が終わるまでは同居させてもらおうと思っている。
そして食事代などかかる費用は、ラヒムの貯金から全て出してもらっている。
つまり、今、働いた分は、そのまま貯金できるのだ。
ラヒムの治療や介護もあるので、あまり時間のかかる依頼はこなせないが、割の良さそうなものを選んで、貯金を地道に増やしている。
これで、ここから出ても、しばらく宿代と食事代に困らずに済む!
そして、服も2人分買えた。
古着だが、これまでのびしょぬれ生活からおさらば出来ると思うと、飛び跳ねるほど嬉しかった。
あんまりやばくならない程度にしなくては。




