09 褒美
大変長らくお待たせいたしました。
「めっちゃ見える!魔力波すげー!」
――視覚に容量を使いすぎて馬鹿になったのですか?そんなことよりダンジョン改造を行ってください――
「いや、でもこれは感動モノだって!今まで見えなかったのが見えるんだよ!」
キュイーン……
「待って!セントリーガンは止めて!わかった。今やるから!ええっと、まず今出来る改造はなんだ?」
――最優先事項としては、セントリーガンと地雷の増設をするべきでしょう――
「ならセントリーガンを2基増やして3基にしよう」
――了解しました。1000DP使用しましたので、残りDPは2535です――
――一応聞きますが、セントリーガンはどこに設置するつもりですか?――
「最初に設置したやつの近くかな~。もちろん、一網打尽にされないように少しはなすけど」
――よろしい。長い通路でなるべく大きなダメージを与えるためにはそれが最適です――
「あとは、毒ガス地雷もあと2つ買おうかな。一個じゃ全員に毒がかからないかもだし」
――では、残りDPは2035となります――
「うーん、あとはどうしようかな?」
――次のウェーブまではまだ20時間程度残っていますが?――
「まだ時間はあるんだね。なら、少し休もうかな」
――はあ、非常に残念です。あなたには20時間残ってるという意味が分からないのですか?分からないようですね。仕方ありません――
キュイーン……ダダダダダダッ
グチュチュチュチュチュッ
「痛い痛い痛い!待って、撃たないで!どういう意味なの!?」
――あなたはこの迷路だけで防衛するつもりなのですか?今のままのダンジョンで試練を突破出来る確率は0.1%にも満たないでしょう――
「つまり、またダンジョンを掘れと言ってるの?」
――ええ。言ったでありませんか、『時間はある』と――
「ええ、また掘るの?疲れる……」
――あなたに拒否権はありません。やりなさい――
「はぁ、わかったよ、ドラドス。やるよ」
――モチベーションが低いですね。しょうがありません。次のウェーブを突破したら、報酬として甘味を支給しましょう――
「え!マジで!」
――ええ、嘘ではありません。好きな甘味をオーダーしてください――
「うーん……何がいいだろ……」
――あなたの世界の甘味でも大丈夫です。それに最も近いものを提供します――
「よし、決めた!イチゴ大福が食べたい!」
――承知しました。……なるほど、この料理は……リトリオル領の会議アーカイブに存在する食物に酷似……。調理法の確立に成功しました。あなたの要求は受理されました。第二ウェーブ突破時、あなたにはイチゴ大福を支給します――
「よっしゃー!ダンジョン掘りまくるぞ~!イチゴ大福のためにぃ!」
シュウウウウウウ!シュウウウ!
「おっと!さっき掘ったとこにぶつかるとこだった、あぶねえ!」
――素晴らしい!今度はダンジョンの様子を把握しているようですね。これでようやくダンジョンマスターの最低基準をクリアしました。本当に『最低』基準ですが――
「魔力波のおかげだな~!よし、どんどん掘るぞ!」
ジュウウウ、シュウウウウウウ
「ん?この魔力波は何だろう?」
シュウゥ……ゴポッ
「え?」
ゴポポッ……ドバアアアアアア!
「うわあああああ!なんだこれ!水!?」
――はぁぁ、本当に『最低』なだけはあります。水の魔力波を感知出来ない生物などデータにありません――
ドドドドドドドドッ
「止まんないんだけど!?溺れるぅぅぅ!」
水中の対人現代兵器、知ってる方いたら教えてほしいです