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#エリカvsヤトラ

弾切れ

 夏休みの宿題はさっさと終わらせるタイプだった。

 考えてみて欲しい。

 最終日ギリギリで終わらせることができるのなら、それは初日でも終わるのだ。

 長期連休を心置きなく遊ぶためにも、俺は初日を生贄に捧げていた。

 まぁどの道、最終日までそんな足枷を放置しているバカの後始末をさせられるんだがな。

 しかしそれも去年までだ。

 大学生となった愚妹の面倒を見る必要はなく、俺はついに夏休みの友と絶交することができた。

 ……そのはずだった。


「ごめんね兄者くん……私は無力だよ……」

「小学生の宿題でそこまでなるかよ」

「師匠、うちの姉ちゃんがごめんな」


 スミレさんの甥っ子が襲来した。

 かつてプロゲーマーを目指していた少年は、心を入れ替えて真面目に勉学に励んでいる。

 まるでプロゲーマーが闇堕ちみたいな扱いだが、置いておこう。

 真面目にやると決めたからにはとことんまでこだわるようで、彼は『答え』というチートを一切使わずにテキストと向き合っている。

 その中で分からないところは誰かに教えてもらいたいというのが少年の望みなのだが、社会人に夏休みはない。

 平日の昼、両親は家にいないのだ。


「それでよく私の家に来てたんだけどね……」

「姉ちゃんが何言ってるか全然わかんねぇの」

「その結果、最終日に分かんねぇところが残ったと」

「師匠、勉強教えて!」

「いやそれこそ親に頼めなかったのか?」

「……宿題終わってないって言ったら怒られそうだったから」


 いや、ここまで真面目に夏休みの宿題をする小学生を叱る親はそういないと思うぞ。

 ここまで来ると宿題どころか復習の域だ。

 まぁしかし、学校の勉強ってのは一度躓くとズルズルと置いていかれる。

 少年は勉強が得意な訳じゃないし、なんなら夢を追っている間の負債も多少あるようだ。

 暗記教科はともかく、理数系と文章読解くらいは復習しておいた方がいいだろう。


「──と、コツさえ覚えれば計算自体は単純だ」

「さすが師匠だ! すげぇ!」

「流石兄者くんだね!」

「待て、スミレさんまでノートを取ってるのは何?」

「来年のためにね、勉強を教える勉強をね!」

「計算式を綺麗に書き写してるところ悪いけど、来年は学年上がってるだろ」

「あ……」

「姉ちゃん、もしかしてバ──」

「よし次のページ行くぞ」


 少年よ、それ以上は良くない。

 俺も時々思うけど、本人には絶対言うなよ。

 この人は天然なだけだから。

 それに関しては少年も少し似ている。

 じゃなきゃ日曜日の昼からこんな事してねぇよ。


「兄者〜お昼ご飯は〜?」

「ここの大問終わったら作る」

「あ、ご飯なら私が作るよ?」

「おれ焼きそば食いたい!」

「麺は冷蔵庫、肉と野菜もあるはずだな」

「じゃあ、キッチン借りるね?」

「……なにこの夫婦〜?」





















【夜桜ゲームズ】超リベンジ戦! 【サイサリス・夜斗・グランツ、春風桜、蛇王エリカ、兄者】


 コメント:エリカ様!? 

 コメント:それありなのか!? 

 コメント:夜桜ゲームズがついにここまで……

 コメント:P.S外とのコラボじゃん! 


「夜桜ゲェェェムズ! 待たせたなお前ら! リベンジ戦だぜ!」

「おはる〜春風桜だよ〜!」

「夜斗様だぁ!」

「なんかテンション高くね?」

「いつもこんなもんじゃないかの?」

「もう先に喋っちゃったけど〜兄者ど〜ん! と、リカ姉ぇど〜ん!」

「兄者だ」

「蛇王エリカじゃ、よろしくのう」


 コメント:兄者どーん! 

 コメント:リカ姉がまさか来るとは

 コメント:リベンジ戦って天Vか? 

 コメント:待ってたぜこの時をよ! 


 俺もまさかこの番組でやるとは思ってなかったがな。

 エリカ様の熱烈なアプローチ、という名のリターンマッチ要求連打を無視し続けるのにも限界がある。

 リアルイベントでの借りもあるため、この度、注文通り配信上でのリベンジ戦を用意した。


「兄者が最初にやろ〜って言ったんだよね〜」

「エリカの要望だと俺のホームでやりたいとの事だったんだがな」

「そもそも兄者にホームがなかったからな! オレが代わりにセッティングしたぜ!」

「親切みたいに言ってるが、グランツが儂にリベンジしたいだけじゃろ」

「まぁな!」

「隠せよ」


 コメント:これは熱い

 コメント:三つ巴? 

 コメント:姫蚊帳の外では? 

 コメント:一人だけヤ〇チャ視点

 コメント:姫がずっと最下位なのはわかった


 天Vでは俺や夜斗は誇張抜きにアウェーだった。

 エリカのチームはかなりやり込んだ上に、コーチ陣もトップクラスの人材を選んでいた。

 俺に関してはチームメイトが愚妹だったしな。

 そんな状況下で勝ち星を上げてしまったため、エリカからすればただ勝つだけでは満足いかないらしい。


「今回はマ〇カで勝負するぜ! ってことなんだが、エリカは本当にいいんだよな?」

「よいぞ。今回はチーム戦じゃ」

「兄者と夜斗くん〜で、アタシとリカ姉ぇがチームね〜」

「天Vじゃ俺に押し付けてくれたからな」

「望むところじゃ」

「アタシの扱いなんか悪くない〜?」


 コメント:チーム戦はどうやるんだ? 

 コメント:姫はちょっと

 コメント:兄者根に持ってて草

 コメント:誰が誰のリベンジだ

 コメント:姫ファイト


 今回は、チーム内の最高順位で勝敗を決める。

 一応、名目上はチーム戦としているが、結局のところ個人戦と何ら変わりはない。

 言うまでもなく一位を取れば勝ちなのだ。

 戦術としては遅れた方が味方のサポートや敵の妨害に回るなどができる。

 だが、俺も夜斗も最初から自分で一位になることを狙い続けるため、この連携はほぼ起きない。

 ではなぜわざわざルールを追加したのか。


「ちゃんと罰ゲームもあるよ〜」

「恒例の罰ゲーム用セリフボックスを使うぜ」

「恒例になってたのか」

「負けた方のチームが罰ゲームで良いのかの?」

「罰ゲームを受けるのは、負けたチームのどちらか片方だけだ!」

「どっちが受けるかもルーレットで決めるよ〜」

「ちなみにこのルーレット、順位が高い方が罰ゲームを受ける確率は低くなってるからな!」


 コメント:順位が高い方がお得

 コメント:兄者勝ち続けてくれ

 コメント:姫全部回避したりしないよな

 コメント:メンズの罰ゲームセリフ需要あるか? 

 コメント:エリカ様の罰ゲームボイスが聞けると聞いて


 という訳で負けチーム内ですら罰ゲームを押し付け合う、協力体制ゼロのチーム戦が幕を開けた。

 当然、全員が敵である。


「兄者! オレのボックスわざと取ったろ!」

「近かったからな」

「仲間割れしてる〜」

「加速がないならグランツは追い付けんじゃろ」

「テクなら負けねぇわ!」


 コメント:ショトカはキノコないと無理だぞ

 コメント:まだ始まったばかり

 コメント:既に姫が置いてかれてるw

 コメント:兄者と夜斗はチームだよな……? 

 コメント:アイテム無しで粘ってる夜斗が凄い


「てかお前ら! わざとだろ! さっきから俺の行くコースにアイテムがねぇんだが!?」

「妨害は定石じゃぞ」

「あとバナナ置いたから気をつけろよ」

「兄者は味方だろぉ!?」

「もう三人が見えないんだけど〜」


 コメント:大乱闘

 コメント:デッドヒートがすごい

 コメント:夜斗虐たすかる

 コメント:姫が全く関与できてねぇw

 コメント:これは流石にエリカ様の勝ちか? 


 ほとんど差はないが、僅かにエリカがリードしている。

 アイテムの加速量の差だろう。

 甲羅でも後ろから当てて欲しいところだが、並んでる関係上俺も巻き込まれかねない。

 可能なショートカットは全部使って来るし、やはり知識の差はでかい。

 俺も全部は把握してねぇからな。


「クキキ、儂の勝ちじゃな!」

「いえ〜い! リカ姉ぇナイス〜!」

「愚妹は何もしてねぇがな」

「甲羅ちゃんと投げたもん」

「順位に影響してねぇよ」

「ちくしょう、オレが三位か……」


 コメント:罰ゲームルーレット〜

 コメント:七割くらい夜斗で草

 コメント:順位低い方多いなw

 コメント:やはり夜斗か

 コメント:十秒スキップしたい


「ボロクソに言われてんな」

「まだセリフも言ってねぇんだけどな!」

「じゃあ〜夜斗くんのセリフ〜どうぞ〜」


「パンを光線銃でジュッ! ジュッ! ジュッ! レーザーンパン」


「……おう」

「こういうのもあるんじゃな」

「夜斗くんおつかれ〜」

「誰だ一発ギャグ入れたヤツ! 人にやらすなよ!」

「大丈夫じゃ。ちゃんと使いこなしてたぞ」

「嬉しくねぇ!」

「これギャグだったんだ〜」

「なんだと思ったんだよ」

「普通に意味分かんなかったから〜」

「レーズンパンってあるだろ」

「やめろ兄者! 解説すんな! オレのギャグじゃねぇけどなんか辛ぇわ!」


 コメント:おう

 コメント:今回だいぶ強火だな

 コメント:パンだけに火傷するかと思ったぜ

 コメント:は? 

 コメント:使いこなしてこれか……

 コメント:罰ゲームセリフってレベルじゃねぇぞ


 いや想像以上にヤバいものが入っていた。

 罰ゲームも進化してんだな。

 まったくもってしなくて良かったんだが。

 さて、本来はもう俺は役目を終えている。

 今回はあくまでも、ゲームの上手さを売りとしているエリカの信頼回復のための配信だ。

 エリカのリベンジ戦という当初の目的も果たしたし、そこには一切の手加減もなく、真っ向勝負での決着となった。

 あとは適当に雑談しながら終えるというのが当初の予定だった。

 しかし、想像以上にスタッフの殺意が高い。


「今回の罰ゲーム、流石に重てぇな」

「もうセリフじゃねぇだろ! せめて笑えるもんを持ってこい!」

「確かにのう。お主らのマネージャーは何を考えてるんじゃ?」

「考えるもなにも、俺らの中の誰かが逆鱗に触れたとしか思えねぇよ」

「ね〜兄者〜? なんでアタシの方見るの〜?」

「いや、ここ最近で一番スタッフをキレさせてそうなのはお前だろ」

「絶対アタシじゃないって〜」

「リアイベん時の寝坊、割とシャレにならねぇからな」

「ちゃんと謝ったよ〜」


 コメント:こいつだ

 コメント:マネちゃんそりゃキレる

 コメント:お前のせいか! 

 コメント:姫ェ……

 コメント:もう心当たりしかないだろ

 コメント:とばっちりが夜斗にw


 愚妹の謝罪会見を開いても、恐らくこの配信は終わってくれないだろう。

 不安要素が何一つ変わらぬまま、二試合目が始まった。


「流石にこれは協力するしかないか」

「最初から協力しろよ!」

「お前もさっきの試合は援護してねぇだろ」

「誰かさんがオレのアイテムを全部奪ってたからな!」

「チーム戦じゃろ。むしろなんで単独で勝つ気なんじゃよ」

「順位が味方より後ろだったら負けた時のリスクがデカいだろ」

「テメェ兄者わざとか!」

「最初から負けた時のことを考えてる時点でのう」

「兄者〜? 今どっち勝ってる〜? リカ姉ぇ〜?」

「もうアイツ諦めてるだろ」


 コメント:罰ゲームの押し付け合いw

 コメント:本当にリスクでかい

 コメント:夜斗もアイテム貰えてよかったね

 コメント:何気に姫がエグい

 コメント:夜斗がバナナしか引かねぇw


「今は儂が先頭じゃ」

「おっけ〜」

「あぁそういうことか。んじゃお先」

「なんじゃと?」

「えっ!? じゃあ投げる〜!」

「青甲羅だろ?」

「な!? サクラ!? 儂に飛んで来たぞ!」

「え? 兄者抜かしたんじゃないの〜!?」

「普通に嘘」

「普通に嘘つくな〜!」


 コメント:エグい

 コメント:さっきので察したのかよ

 コメント:さすが兄妹

 コメント:自滅狙い強すぎ

 コメント:順位低い姫のアイテム強いからなぁ


 当然、このミスは大きい。

 被弾している間に追い抜かし、今度は向こうに罰ゲームを押し付けた。

 七割で引くはずの罰ゲームをかわすなど、愚妹にとっては造作もないことだろう。

 どう見ても敗因の愚妹ではなく、首位をキープしていたエリカがセリフを読み上げることになる。


「じゃあエリカのセリフまで三、二、一、キュー!」


「あたち、『自分の名前(えりか)』、よんしゃい。みんなのこと、ちゅき!」


「か、かわい〜……ね〜」


 コメント:ロリボたすかる

 コメント:かわいい!!! 

 コメント:永久保存版

 コメント:全くエリカ様は最高だぜ! 

 コメント:強火だなw

 コメント:レア過ぎる! 

 コメント:エリカ様の罰ゲームを見れる数少ない配信

 コメント:尊厳破壊w

 コメント:ちゃんと本気でやるのさすがだわ

 コメント:この配信毎週やろうぜ


「次じゃ、やるぞ」

「やべぇぞブチ切れだ!」

「リカ姉ぇ〜ごめんね? マジでごめん」

「よい。今度は兄者殿にこれを読ませるからのう」

「いやセリフはランダムだろ」

「ほれ次じゃ、早く始めろ」


 やべぇよ、マジ切れだよ。

 いや流石にエンタメの範疇だな。

 ……だよな? 

 めちゃくちゃ怖いんだけど。

 何が怖いってこの後に更にキレさせる可能性があるんだよ。

 言ってしまえば、ここからは多分エリカの想定通りにはならない。

 もっというなら、今までとは明らかに違った展開になるだろう。

 それを証明するかのように、夜斗が先頭に踊り出た。


「よっしゃ! こっからはもう負けねぇぜ!」

「な! グランツが、ショートカットじゃと!?」

「エリカの走りを後ろから見てたからな!」

「夜斗くん速〜!」


 コメント:夜斗はやっ! 

 コメント:手加減してた? 

 コメント:ショトカ全部覚えたのか

 コメント:もしかしてさっきの試合で学んだ? 

 コメント:リカ姉ぇより際どいコース行ってね? 


 リベンジ戦ってのは夜斗にとってもだからな。

 この配信に限り、俺は一つだけアドバイスをさせてもらった。

 エリカの後ろについてコースを覚えること。

 夜斗はエリカと真逆でセンス極振りのプレイヤーだ。

 そして同時にエンジョイ勢でもある。

 ゲームをプレイすることそのものに楽しみを見い出す夜斗にとって、ゲームの知識は積み上げた歴戦の記憶でしかない。

 だからプレイスキルに対して仕様理解の浅い部分がある。

 逆を言えばそれでもなお勝てるだけの能力を持っているということだ。


「同じコースを走り出したら、基本的に勝てねぇよ」

「くっ、舐めんじゃねぇわ!」

「今のオレには誰も追いつけねぇぜ!」


 ショートカットはアウトギリギリを攻める。

 それゆえに甲羅での妨害を受けにくい。

 追走するエリカも加速でどうにか距離を縮める。

 だが、届かない。


 コメント:夜斗やるやんけ! 

 コメント:エリカ様が負けた!? 

 コメント:真っ向勝負で夜斗が勝った! 

 コメント:ほとんどアイテム使ってねぇな! 

 コメント:独走するなら盾用があれば十分

 コメント:これは三すくみか


 実質初回で勝ったか。

 いやむしろ初回だからこそかもしれない。

 エリカは想定外に弱いからな。

 動揺で少なからず判断も鈍ったことだろう。

 夜斗は今まで負け越していると言っていたが、少なくとも今日は分からない。

 アイテム運を差し引くなら、同じコースを走るレースゲームはキャラコンの上手い方が勝つ。

 もっとも、そのアイテム運が夜斗には致命的なほどないのだが。


「いいのう……よいのうグランツ!」

「おうよ! 今日は勝ち越すからな!」

「あのー、エリカさん。大変申し訳にくいのですが、罰ゲームの方が……」

「さっさと寄越せ! すぐに次じゃ!」

「じゃ〜リカ姉ぇのセリフまで〜三、二、一、ど〜ん」


「おかえりなさいませェご主人様ァ! 魔法かけまァす、萌え萌えきゅんンンン!!!」


「いやテンションよ」


 コメント:メイド喫茶? だよな? 

 コメント:圧がすごい

 コメント:これは本当にメイドなのか? 

 コメント:もうヤケクソで草

 コメント:江戸っ子を感じる


 いやもうメイド喫茶じゃなくて居酒屋バイトなのよ。

 ダメだ。

 ゲームへの熱が入りすぎて罰ゲームが意味を成してねぇ。

 羞恥心とかそういう余計な感情が全部どっかに行っている。

 そして人がここまで集中するとどうなるか。


「……」

「……」

「二人とも黙ったんだけど〜!」


 コメント:ガチ集中してるw

 コメント:いつもの放送事故

 コメント:無言でマ〇カしてるだけの配信来た

 コメント:夜斗ってこんな上手かったっけ? 


 まぁこうなるよな。

 お互いに集中してるせいで煽り合いすら起きない。

 全ての神経と脳機能がプレイに向けられている。

 もはや二人の意識を戻すには試合を終わらせるしかない。

 試合が終わったらどうなるか。

 知らんのか、試合が始まる。


「兄者〜これどうする〜?」

「もはや俺らが太刀打ちできる相手じゃねぇしな」

「兄者でも無理なの〜?」

「無理無理。諦めて雑談でもしてようぜ」

「いいよ〜そういえばリアイベの時に泊まったホテルがめっちゃデカくてね〜」


 コメント:本当に雑談始めたw

 コメント:リアイベの裏話か! 

 コメント:画面本当に関係なくて草

 コメント:この兄妹ついにゲームから抜けたぞw

 コメント:これ対戦ゲームの企画だよな……? 


 画面上にはプロ顔負けのスーパープレイが映し出され、ガヤと化した俺たちは全く関係のない話をしている。

 企画倒れに近いが、目的自体は達成した後だ。

 エリカも夜斗も一勝以上はしてるし、格が下がることはないだろう。

 しかし忘れてはいけない。

 このカオスな極まった絵面を公式番組で配信していることを。

 ちなみに通算勝率は夜斗が上回った。

 本人曰く快挙らしい。














 今年の夏はやけに暑かった。

 ゲーム大会やリアルイベントのような派手さがあるのは季節の特色だろうか。

 思えば、エリカに振り回され続けた期間だったな。

 いや、真の黒幕たるP.Sのボスも控えていたわけだが。

 実家からの贈り物を皿に乗せ、夏休み最後の関門と戦う者たちの元へと向かう。


「スイカ切ったぞ」

「師匠ありがと!」

「あ〜四角いやつだ〜」

「珍しい形だね。かわいいかも?」

「歪な不良品だけどな。こういう変なのは売れないんだと」

「かわいいのに?」

「いや、かわいいか?」


 四角にしても形が悪いし、普通に丸い方がいいと思うんだが。

 しかもこいつに関しては元々食用じゃないやつをどうにか美味くしようとした成れの果てだぞ。

 だが、こんな変な形をしていても褒めてくれる人もいる。

 変だからこその味というものもあるのだろう。

 ……流石に俺の周りにはそんなのが多すぎるがな。









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― 新着の感想 ―
久々のスミレさん。やたー
早く2人結婚しないかなー
やっぱり二人はお似合いの夫婦だよ。兄者は早く認めた方が良い。
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