第八話 姫の震えた過去
背景皆様、元気でしょうか。
私は親が寝てる間にこっそり置くプレゼントの中身が気になって仕方がないやつです。
ですが今回はそんなクリスマス要素なんてないです。
はい。
門には両脇に騎士が居た。景樹と騎士が会話をしている。持ち物と身を調べるらしい。理由を聞いても答えてはくれなかった、そこを二人は気になった。
まず景樹が三秒程の間じっと見られていた。そして乗っている二人を下ろして並ばされてまた三秒程見られている。
もう一人の騎士は馬車全体を見て、怪しいものがないか探す。クナイ、鎖鎌、巫女棒を血眼になって見られていたが何も聞かれず、元に戻された。
一分ほどで終わった。
景樹は席に座り、二人は馬車に乗って無事に通してくれてやっと中に入れた。建物に隠れていて見えていないが馬車置き場というものがありそこに馬車は止まる。二人は降りて荷物を持った。
「金はあの暗殺者にもらったから大丈夫だ。……頑張れよ」
それだけ言って景樹は馬車を発車させ、帰って行った。
二人はまず、馬車置き場の守りをしている騎士に話しかけた。
宿を確保しようと思ったからだ。答えは、この国に宿はない、旅人が女王様と対面できることを目的として城に泊まることにしている。らしい。
なので二人は城に向かった。
街はかなり賑やかで、通り過ぎる人々は皆「こんにちは」と言う。
あまりの賑わいに二人は手をつないて逸れないようにしていた。最初は慌てて返事をする二人だったが、段々と慣れてきて瀬乃華は一人一人挨拶をするようになった。
それでもまだ銭子は人に言われてからじゃないと言えないが。
さらにビスケットを配っている人までいた。
「銭子ちゃん、自分から言いなよ」
冗談も交えて瀬乃華が言う。
「だ、だって、恥ずかしい…」
人見知りで顔を赤くしながら返事をする銭子。
門が見えた。
国に入る門と同様に両脇に騎士がいる。
その二人の騎士は、瀬乃華と銭子を見て珍しそうな顔をしていた。何か調べられるかと思ったら何も声をかけずにすんなりと通ることができた。
改めて近くで見るととてつもない迫力がある。
アニメなどでみた城とは大違い。
城に入る大きな扉は完全に開いている。
瀬乃華はどこか古いと感じられた、どうしてだろうかと考えてみたけれどわからない。
考えている時、人とぶつかった。城に入る寸前だった。
ぼんやりしながらだったからだとすぐに反省した。
相手はロールと同じように耳を尖らせていて、赤と黒のオッドアイ、赤髪の長いツインテール、そして赤色に金で模様があるチャイナ服を着ている少女。さすがに足の方までは見ていなかった。
「あ、すいません!」
咄嗟にこう言う。
少女は瀬乃華の方に見向きもせずに人混みに紛れて行ってしまう。見届けるようにその少女を見ると、赤い紐の下駄を履いていることがわかる。
城を入る時二つの花をもらった。
なんでも、女王の名前はジャスミン・ヌルデだからジャスミンとヌルデを城に入る時配るらしい。
二人ともジャスミンは聞いたことはあったが、ヌルデは初めて見る。
だけど銭子は咲く時期が気になり、その花を配っている人に質問をしてみる。
なんと、この国の周辺は季節というものがなくて無条件でいろんな植物が生えるらしい。時々道端に生えることもあるから困ることもあるんだとか。
中はかなり豪華、としか言いようがない。
外からは真正面に二つの丸く曲がって一つの場所に向かっている階段と、その間には場違いも甚だしい、古くなっている木の扉がある。
階段を上がった踊り場のような所を進んだ先には田舎にある横スライドをするドアが二つある。
全てというわけではないが、緑と金が主な色となっている。というのが外から見えた光景。少し中に入ってみると。楕円形になっていることがわかる。そして二人から見て部屋の横にもいくつか扉がある。
瀬乃華はその少し中に入ったところから花を配っている人に女王様がいる部屋はどこかを聞いてみた。階段を上がったすぐ正面にある扉が玉座がある場所らしい。
お礼を言ってから外から見て左の階段を手を繋いで歩いた。上りきった時瀬乃華は手を離してそのまま扉に向かって走っていく。
扉を開いてみる。
☆★☆★☆★
女王様ことジャスミン・ヌルデはマントが付いた王冠を被り、紫のショートヘア、白い瞳、服装はピンクの花が胸部分にある全体的の色が白に緑でラインが入っている長袖服を着ている。下部分はテーブルに隠れて見えない。
ジャスミンは二人に気がついたのか立つ。
その時後ろに腰部分から幕が垂れている、上の服と同じく白に緑のラインがあるロングスカート、白のハイヒールを履いていると確認できた。
「初めまして。私、この国の女王のジャスミン・ヌルデです」
浅くお辞儀をする。それにつられて、瀬乃華は深く、銭子は少しだけ深くお辞儀をする。
「初めまして。私、忍者の桜井瀬乃華と申します」
「巫女をしています、家宮銭子です。えっと……女王様はどうぞお座りください」
ハイヒールだと辛いだろうなぁ、と予想した銭子は言う。
「いえいえ。いいのですよ」
こうやって会話することすら恐縮なのだが、どこか親近感が湧く。
どうしてだろうと素直に疑問に思う銭子。
依頼のことを思い出し、少し訊くのが怖いのだが聞いてみる。
あるアニメではこのことを聞いた瞬間兵士が主人公に向かって突き進むくらいなのだが……。
と思う銭子。
ええい、何事もやってみる!
なんて思いながら、銭子の心境を読み取った瀬乃華が言ってみる。
「あの……この国に、国潰しが来るって話は知りませんか?」
やはり少し躊躇ってしまったが、言えたのでいい。さて、どうなるか……。
「知っています。ですがそれは王国側では秘密ということにして、こちらで対処するつもりですので」
悲しげな顔をして、そう返事をした。
「私達、その国潰しを倒すために来ました」
これなら事実を全て言ってもいいだろうと思い、この言葉を口にした瀬乃華。
「まぁ……それは、どうしてですか?」
依頼で、ということを言う前に、ジャスミンが言う。
「危険人物、エニ・サティーの依頼ですね。一度この国に逃亡した犯罪者を殺しに来たということがあります」
見事に当てられたことに動揺を隠せなかった。
銭子は後ずさりをして、瀬乃華は「あっ」という声を出した。
ジャスミンは椅子に座った。そして二人を椅子に座るように勧める。もうお手上げだ、と言わんばかりに二人は椅子に座る。ジャスミンから見て左側の、瀬乃華が真ん中、銭子が(二人が座った方から見て)左から二つ目の場所だった。
「リナリオ・マーガレットは国潰しと呼ばれる職業故、死刑となっている者です。殺しても誰も罪は言いません。でも……こちらであの子を預かることはできないでしょうか。リナリオとマーガレット、あの子の名前も花の名前なんです。つまり、ここで育ったのです」
ジャスミンは、全てを包み隠さずに言い始める。
「彼女は言っていました。
ゴブリンの群れを一人離れて人間に似た身体を手に入れました。そして十歳になり、この国なら安全かとボロボロの姿でやって来ました。冒険者が無意味に攻撃をしたそうです。
私はまだ母がこの国を治めていたので、すぐに牢屋に入れようとしました。でも私は庇いました。
結果的に彼女は城で暮らすことになり、彼女に私は名を授け、仲良く暮らしていました……でも、その仲も一瞬でした。
ある日、妖精族がこの国を襲って来たのです。なんとか治めることに成功しました。この戦の悲しみと怒りは全て彼女に向けられ、彼女は国を飛び出して行きました。そして隣の国をたった一人で崩壊させました。
そうして、今まで二度しか確認されていなかった国潰しという職業になったのです。
えぇ、あの子は何も悪くありません。姫という仮の地位でいながら掃除を好んで行い、上品な生活をしていたあの子」
ドン!ガシャン!ガラガラガラ。そんな音がした。突然の出来事。
騎士が慌てて来た。国潰しが家を一軒崩壊させたのだと言う。三人は慌てて外に出ることにした。
明日超速でクリスマス特別小説を書く予定です。でもあくまで予定なので諦めるかもしれません。
誤字等見つけましたらお気軽に言ってください。