行き過ぎたいたずら?
隣の教室の異変に気付いた周りのクラスの生徒たちが、不安そうに様子を見にやって来ている。そんな中の女子生徒が、走って職員室に先生を呼びに行った。
「何をしている」
そう言って、小谷が駆けつけてきた頃には、顔に青あざを作った上田が床に這いつくばり、それを山本が見下ろし、決着は完全についていた。
その場ですぐ二人は職員室に呼ばれた。
自分の席の椅子に座る小谷。
その前に立たされて、並んで立つ山本と上田。
小谷は二人に事情を聞いている。
特に上田はすがる思いであり、懸命に何をされたかを話した。
「でも、先生」
山本は上田の話が一区切りしたところで、口をはさんだ。
「最初に殴ろうとしたんはこいつやで。
こいつが藤井を殴ろうとしたんを俺が止めたんや。そこから喧嘩になったんや。
何にも、俺がいきなり理由も無しに、こいつを殴ったんちゃうで」
「そうなんか?」
小谷が上田に問う。
「それはそうですけど。
でも、しかし、さっきも言ったように、僕のお弁当に殺虫剤をかけたんですよ」
「そんな悪戯に本気で殴り掛かったらあかんでぇ」
山本が横に並んで立たされている上田に顔を向けて言う。
「分かった」
小谷はそう言って、椅子から立ち上がった。
「とにかくだ。山本。
行き過ぎた悪戯はあかんぞ。
教室に戻ったら、藤井に殺虫剤を持って、職員室に来るように言うとけ。
殺虫剤は没収や。何を学校に持ってきてんねん。
それと、上田。手を出して、喧嘩を始めたんはお前や。
喧嘩はあかん。
分かったな。
二人とも、今日中に反省文を書いて出すように」
「はい」
元気よく答える山本。事態が一向に好転しないと感じた上田は、何か言いたそうな顔を小谷に向け、口を少し動かしている。そんな二人に視線を向けた後、小谷はこれ以上何も聞く気が無いとばかりに、椅子を回転させ、二人に背を向けて自分の机に向かった。
「行くで」
山本がまだ未練を残した上田の服を持って引っ張りながら、その場を離れて行った。




