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【目覚めてみたモノ】

…ん、なんか良く寝たな。


俺が目を開けると、俺の女の顔があり。

その手は俺の頭を撫でている。


少し俯き、俺にしかわからない笑顔で俺に微笑みかける。



…うん、いつも通りだ………とでも言うと思ったか。


『俺が寝ている間に何があった…』


俺を撫でる手が一瞬止まったような気がする。



『何も無い…こんなに寝てるのは珍しいからもう少し寝顔を見ていたかっただと…』


そうか、そこまで言われるともう少し寝ていたほうがいいかな…って俺の目は誤魔化せないぞ。


『何を隠している。俺の目は節穴ではないぞ』


……


『その熱い視線にクラクラしちゃうだと…そりゃそうだ、俺の視線にもお前への気持ちが溢れんばかり、いや、溢れてるからな。この目に映るお前が俺の気持ちを無限に高ぶらせる』



『よしよし、今からは俺の膝枕をたっぷり堪能してもらおうか………その動揺の正体を見極めてからな』


どこからとも無く鎖の音がする。


俺はあっという間に首から下はグルグル巻きになる。


『ちょっと待ってくれよ。ここまでしなくても俺は温厚な性格だよ。大丈夫だから俺が寝ている間に何があったんだよ』




『………ほう…俺の造ったものをね…ほう…あはははははっはふぅ…大丈夫、大丈夫。ほら、どうよ、落ち着いたもんだろう…』


鎖はその数と強さを増していく。


『…まあね、俺がお前の事がわかるんだ。逆も当然わかるよな…更に、よく解るからこうしてるんだろう…でも、わかるだろ。ひどい事はしないさ…でもな、ちょっと聞かないとほら、収まらないじゃん』



鎖が静かに俺の戒めを解いていく。


『…わかったよ、わかってる。今回は話しを聞きに行くだけにする。ずるいぞ、泣いてやるだなんて』

『わかったわかった。但し、話を聞いて内容次第によっては払ってもらう…これについては止めるなよ』




『行ってくる…』

返事なしはやっぱりずるくないかとか思いながら鎖の音1本を響かせて俺は闇に消える。










…これは不味い………備えるのは不可能ではあったけれど…


真っ暗な中に浮かぶ円卓、その周りにある椅子の数は7つ…


ナセキ、セント、ポント、私、フラン、ゲン、ノワール…




ナセキの後ろには魔王が立っている。その顔は不機嫌そのもの、隠す気もない様子。


『セント、久しぶり。この状態は希望としてはセントがセッティングしたとか…無いか』

『ご無沙汰しています。ポントさん、残念ながら…』


この状況にあって、この口の回りよう。馬鹿だ、馬鹿がいた。あとでサインもらっておくといいかもしれない…無事に済めばだけれど。


『魔王の旦那、久しぶり。俺のこと判るかい』

『誰だお前、どっかであったか…関心の無い事は覚えれないんだよ』


『そうか、俺はよーく覚えているんだが。残念だ』

『そりゃ悪い事したな。今日は温厚な俺が穏やかに話しを聞こうと思って、突然ここに来てもらったわけだ』


温厚…この魔王は言葉を知らないのか。可哀相な魔王だ…

歯をギリギリ言わせながら言っていてもまったく説得力の欠片どころか微塵も感じない。


『本題に入ろう。俺の造ったモノをぶち壊してくれたのはどこのどいつだ………理由を聞きたいんだよ…あれは、俺が大事な女に頼まれた過程で造りだしたもんだ………なあ、セント…』


真後ろから魔王に声をかけられたセントの肩がビクッと跳ねる。

どんどん重くなる空気に全身の肌が痺れを覚える。


『俺だ…俺が考えた…姉様は少し手を貸してくれただけだ。すべては俺の計画だ』

この空気の中堂々と魔王に向けて声を放つ…違う意味で痺れる、さすが私の男。


『ほう…お前か。じゃあ、どういうつもりで俺の作品をぶち壊したか…聞かせてもらおうか。いや、先に俺が話すとしよう。あれは、お前達にとって害になるようなモノではないと思うのだが、なあ、セント』



『…たしかに、あれはもし使用しなくても中からなにか凶悪なものがでてくるわけではありません』

『そうなんだよ。しかも、あれは空気を綺麗にしたり。徐々に大地を豊かにしたりする効果もあったのさ。もちろん、そんな事はセント以外には知らなかっただろうし、セントもイマジニアの効果については限定的な情報しか出す事はできなかった…それが俺の決めたルールだからだ』


少し圧力が抜けた…


『そして、それらの事を知らなくとも…役に立っていただろう………違うか』


違わない、確かに鉱石の力によって各国は飛躍的に豊かな生活を手に入れた…



『…確かに敷かれたレールによって俺達は豊かになった……それは姉様一人が背負う犠牲の上にだ』




『犠牲…だと………セントは並ぶものの無い力を手にいれ。その甘っちょろい考えを推し進めることができた。お前達もセントに近づき、その力を利用した。その結果が俺の作品を壊す事になぜつながる。どんなものでも使い方が重要だろう、頭悪くて俺の言う事がわからないならしょうがないがな』


『すまんな、どうやら俺達には理解できなかったようだ。頭悪い俺達に対して頭のいいあんたは何をするんだい』



魔王はポントの言葉になにやら思うところがあるようで何かを考えている。



『確かに、俺は自分の作品を壊されるのは我慢ならない…しかしだ。それをやったのがただの馬鹿なら、仕方がない。俺がイライラする事事態が一番馬鹿らしい』


一気に場の圧が抜ける…


『魔王さん…』

『セント、何も言うな。俺はお前から何か欲しかったわけじゃない、もちろん何かを期待したわけでもない。俺にとってはどうでもいいことだ、そう、どうでもな…じゃあ帰るわ』






『で、これはどういうつもりだ』

『ノワールっ』


何が起こったかきっと誰にも解らなかっただろう…いや、セントには見えていたかしら。

目の前には9本の剣が刺さった魔王が居る。


そしてその足元にはノワールが怒りに満ちた表情で蹲っている…



『俺は、お前を殺すために…』


私達は黒い靄に包まれた。






痛いな…これ…


なかなか素晴らしい物じゃないか。なんて考えてたら逃げられちゃったな…


とりあえず帰ってよしよししてもらおう。



このままのほうがインパクトあるかな。俺にこんなに深く9本も刺し込むだなんてちょっと面白いわ。




『ただいま、ああ、痛い痛すぎる。もうだめだぁぁぁ、よしよししてくれないともう駄目だぁぁぁ』


ぐほっ ぐぎゃ ヴぇろ にょん にゃん うべぇぇ ごはっ ぺん ぽーん


次々と体から引き抜かれていく。


そして俺の耳を引っ張りながら膝の上に乗せ、よしよししてくれた。




満足な気分に浸りながら、考える。


『あいつ、どうするかな』


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