第十一話:2つで一人。
「おい!早く探せ!」
うーん、人生で一番人気ものになっちゃったかも。
岩場の裏からなかなか動くことができない。
「いたぞ!こっちだ!」
げっ、見つかった。
すぐに岩陰から飛び出し叫んだ兵士を気絶させる。
埒が明かない、次々と現れる兵士達。
「動くなっ!」
「うっ……。」
いつの間にか囲まれてた……どうすりゃ。
「飛べ!」
「……!」
咄嗟に地面から垂直に跳び上がる。
下を見たときにはもう巻かれた煙幕で何も見えなかった。
「兵士さん!」
帝国の兵士さんだ。
沢山援軍に来てくれている。
「ここね殿!雑魚処理は我々が請け負う!目標を!」
「了解!」
――すたっ。
「じゃっ、お願いします!」
「おう!」
――ズダダッ、ドカン!
銃撃と爆発の間をかいくぐりながら、あいつがいたところまで向かう。
もうすぐだ、警戒しなきゃ。
「っっっっっ!」
不意に路地から私に向かって伸びる手。
ギリギリのところで躱したがバランスを崩し尻餅をつく。
「残念、そこも俺が『触れてる』ぜ。」
手をついた地面が一瞬光を放ち、爆発した。
防御できずに吹き飛ばされる。
「……っがっ!…………。」
「ハハハッ!弱い、弱いなぁ。どうだ?どんな気分だ?」
「……見つけた。」
「……?」
「あなた、名前は?」
「ロマノフ・グレニウスだ。」
「その~、私が聞きたかったのはあなたの頑張って考えた最強の名前じゃなくて……。」
「なっ……………!俺を愚弄するな!何者だお前!……お前、何を見てるんだ?」
「うーん……あっ!分かった!矢口晴人くんでしょ!」
「なっ…………。」
図星、かな。
私、クラスの人の名前全然覚えてないから、ゆーくんに頼んで、クラスの名簿作ってもらったんだ。
全員一言コメント付き。
「厨二病で地雷が多い……。スキルにぴったりな性格してるね!」
「お前……殺す!」
ありゃ、地雷踏んじゃった?
「死ねぇぇぇ!!!」
「うおっ!」
速い!
やつの手のひらが私の服を掠めた。
瞬間、やつの触れた部分のみが発光し、爆発した。
「あっぶな……。」
幸い、触れたのがほんとに指先のみだったようで、威力はほぼなかった。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!」
「落ち着いて!話を聞いて!」
「うるさいうるさいうるさいぃぃぃぃぁぁぁぁぁぁっ!」
何だこいつ!こんなのがクラスにいたら学級崩壊まっしぐらでしょ!
「お前は!誰だ!」
「私はあなたと同じ学校、おんなじクラスだったよ!だから争うのはやめよう!」
あくまでも目的は目標の生け捕り、もしくは捕虜。
殺害は最悪の場合だ。
「…………フフ、お前馬鹿だな。お前が元の世界から来たという情報。これがどれだけの価値を持つかわかるか?」
「……?」
「王国にもいるんだよなぁ、天川高校、1年2組の生徒。ってことはな、そっちにもまだ居るってわけだ!転移者が!」
こいつやっぱり馬鹿なんだろうか……。
「そんなに情報漏らしていいの?」
「がっ……!お互い様だろ!」
「ねぇ、帝国側につく意志はない?こっちには王国なんかよりもなんでもある。」
「奇遇だな。おんなじことを言おうとしていたところだ。」
「じゃぁ、交渉は決裂ってこと?」
「そうだな。」
距離を詰める。
伸びてくる手、あの手には絶対に触れてならない。
やっぱり接近戦は駄目だ。
またもぎりぎりで躱し、間合いを取る。
「おらぁ!」
さっきころんだとき隙に拾った石を思い切りぶん投げる。
石は目にも留まらぬ速度で矢口を襲うが、それに反応。
ダメージが与えられる前に触れ爆発させた。
その一瞬に出来た隙、一気に詰める。
爆発させたことにより視界が遮られている矢口には防ぎようのない回し蹴りが腹にクリーンヒットする。
吹き飛ばされた矢口は壁にぶつかると動かなくなった。
「ふぅ……。」
回収すべく近づいたその時。
「いいのか……?」
っ、まだ意識が……。
「そこ、俺の射程内だぜ?」
なっ!
全方位の至るところで空気が発光し、炸裂した。
「……………………。」
痛い、体が、動かない。
意識が、飛ぶ。
「女如きが調子乗るからこうなるんだ。あ?」
駄目だ。
立たなきゃ。
「俺が触れたところ……。つまり、俺が触れた空気も爆弾になるんだぜ?それを見抜けなかったお前に勝ち目はなかったな。」
「まだっ、負けて、ないですが?……。」
「そうか。死ね。」
顔面に向かって伸びてくる手。
避けなきゃっ!
全身を反らしすんでのところで避けた。
はずだった。
やつの爪が触れた私の1本の髪の毛が目の前で炸裂する。
「…………。」
「グレニウス!無事か!?」
「あぁ、そいつを運べ。殺してはいない、なにかに使えるはずだ。」
「分かった。グレニウスはあのドラゴンの対処に回ってくれ!」
「了解した。」
さっきの女、学校じゃ見たことなかったな……。
そういえば一人不登校のやつがいたな。
あいつか?
――ズガーン!!!
「っ!どうした!」
なっ…………。
「…………まだ、勝負は終わっちゃいねぇんだぜ?」
先程までいた場所には上半身が吹き飛び、原型をとどめていない仲間の姿。
そして見知らぬ白髪の女だった。
「初めまして、かな?お兄さん。」




