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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
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700.もの凄く良い事を……~ミハイルside

「左様ですわ」


 俺の言葉にラビアンジェは、深く頷いた。


「そんな背景からか、魔法具師の基本収入は、お安いんですの。

ですがないと困るのも、魔法具でしょう?」

「確かに。

魔法師は簡単な魔法具の修理なら、問題なくできるが、1から作れと言われれば、話は別だ。

魔法師になる者は、魔力の多さに物を言わせて魔法を発動させる者も一定数いるが、魔法具作りには、繊細な魔力コントロールが必要になる。

そうした魔法師は、まともに魔法具を作れないだろう。

だが魔法具師の給金を上げようとすれば、生活に用いる既存の魔法具のコストが上がる。

貴族はともかく、平民はかなり困るだろう」


 ラビアンジェは、俺の言葉を予想していたらしい。


「なので、魔法具の可能性を広げようと思ってますのよ」


 そう言って微笑む。


 確かにラビアンジェは、過去類を見ない魔法具を製作してきた。


 だがラビアンジェよ。

俺の知る、お前が作った魔法具は……正直、需要もある事は認めるが……いわゆる人間のやべえ感性を刺激する方面での需要が多くはないだろうか。


 いや、俺が誕生日にお前からプレゼントされた修正ペンやコピーペンなる魔法具は、大いに役立っているが……ん?

これらのペンは……確かに需要があるな?


 それに蠱毒の箱庭で使った、魔力を遮断するローブも……。


「魔法具を創作するのに、1番の障害が何か。

お兄様はご存知?」

「資金か?」


 魔法具作りは、とにかく金がかかる。

素材はもちろん、創作ともなると、失敗して素材を駄目にする可能性も高い。


「広く言えば。

ですが魔法具師にとって必要なのは、素材から得られるイマジネーション。

そもそも今の魔法具は固定観念に縛られすぎですわ。

ですが、どんな素材をどう使うか。

それを考える機会が少ない。

そして魔法具師となる者は、得てして魔力が少なく、魔法の扱いが苦手な者が多いでしょう?

そのせいで素材を手にする機会はもちろん、高額な素材は見る機会すら、ほとんどありませんわ。

もちろん私は違いましてよ。

自給自足もできますし、昔から冒険者の方達と知り合う機会も多く、魔獣の素材を譲ってくれる方が多かった。

タダで素材を手に入れられる環境でしたわ」


 そうだった。

確かラビアンジェは城下の平民達と【平民ラビ】として仲が良く、【ラビちゃんを見守る会】とやらが発足されているとか、いないとか。


 その見守る会には、冒険者も多数在籍していると、報告があがっていたな。


「好きなだけ失敗できるからこそ、当初の目的とは違う方向で使用する発想も湧いてくる。

けれどそんな幸運な魔法具師は、そうそうおりませんわ。

そうした背景から魔法具師は、従来から存在している魔法具以外、新たに開発する機会すらないのが現状ですの。

だから冒険者ギルドが魔法具師に特化した、A級冒険者を認める事が重要ですのよ。

もちろんすぐに魔法具師の待遇が改善される事はないでしょう。

ですが私は学園に在学中、魔法具の図面を幾つも登録しております。

そして王立学園には、魔法具作りを学べる専攻科がある。

冒険者ギルドは今、マリン系スタンピードを鎮めたらしき魔法具の他にも、学園祭の事故の際に有効利用されたような、魔獣捕縛用魔法具の存在も知りましてよ。

つまりロベニア国王立学園の魔法具科に、とっても期待しておりますの。

余談ですが、【ザ・鞭】という魔法具が今、一部の冒険者ギルドで大人気のようでしてよ」


 黙ってラビアンジェの話を聞いていれば、引っかかる言葉が出たな?

【ザ・鞭】?

一瞬、ヘインズの師匠とやらが、鞭を振るっていた場面がチラついたぞ?


 もちろん俺は、ラビアンジェにその魔法具が何かを尋ねたりしない。

聞けば、何かに負ける気がする。


「冒険者ギルド本部の方とも、今回のミルティアさんとの一件で、お話しする機会を得ましたわ。

もうじき私達と卒業する、4年生の魔法具科の諸先輩方を紹介しましたの。

私の図面を間近で見ていた方達で、ギルド本部と契約でき次第、魔法具師として開業すると耳にしております」


 んん?!

いつの間に?!

ラビアンジェの行動が早いな。


 確か魔法具科の4年生は、数名が男爵家で、他は平民ばかりだったと記憶している。


「冒険者ギルドで働くなら、魔獣の素材にも詳しくなれますわ。

きっと魔法具師に必要な、物作りとしてのインスピレーションも湧くでしょうし、必要な素材もギルド本部と契約すれば、割引価格で分けてもくれるようでしてよ。

もちろん契約を更新し続けるには、本人達の努力も必要でしょう。

ですが同じ魔法具科で過ごした限り、先輩達なら問題ないかと」


 人を見る目があるラビアンジェがそう言うなら、きっと彼らの将来も安泰……。


「どちらにしても、夜鳴る魔法具店に卸す魔法具作りを、彼らにも手伝っていただくようにしておりますわ。

量産するには、それなりの人員が必要ですもの」

「……そうか」

「それなりのお給金はお渡ししますから、冒険者ギルドが安い契約料で契約しようとすれば、きっと契約を蹴るでしょうね」


 んん?

ラビアンジェが、しれっと引っかかる事を……。


「それにカインさんも協力してくれますのよ。

夜鳴る魔法具店に卸す前のプロトタイプを、真っ先に差し上げる交換条件ですけれど。

S級冒険者の後ろ盾を持つA級冒険者が、私も含めて監視しますから、少しずつ国内国外共に、魔法具師の待遇改善が進むのではないかしら」

「……そうか」


 ラビアンジェは、もの凄く良い事を言っている。


 そう、言っているはずなのに……話が頭に入ってこないな?!

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