表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
6-2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

712/732

701.卒業~ミハイル

「本当に卒業するんだな。

おめでとう、公女」


 ラビアンジェの出奔宣言を受けた日から、数週間後。


 麗らかな陽気の中で感慨深げに、そしてどこか寂しげな口調で言ったのは、ラルフだ。


「「公女……おめでとう……ございます」」


 目を潤ませ、掠れる声で伝えるのは、ラビアンジェと同じチームメイトの、ローレンとカルティカ。


 今日は俺とラビアンジェを含む、最終学年の生徒達の卒業式だ。


 ラビアンジェは、目立つ事を避けたのだろう。


 式が終わるとすぐに帰宅すべく、校門へと向かっていた。


 俺はそんなラビアンジェに、せめて馬車を使えと言う為に追いかけた。


 そうして校門には、ラビアンジェの行動を予想してか、この3人が待ち構えていたのだ。


 ラビアンジェはチームメイト達から手渡された花束を、両手で抱えて微笑む。


「ラルフ君、ローレン君、カルティカちゃん。

2年間、私とチームを組んでくれて、ありがとう。

とっても楽しかったわ」

「公女……俺も……いや、俺達の方こそ、ありがとう」

「「ありがとうございます!」」


 ラルフの言葉の後に、ローレンとカルティカも続く。


「それから来年度、といっても、もう来週になるわね。新3年生に上がると、ミランダリンダ=ファルタン伯爵令嬢が復学するわ」

「ああ、わかっている。

公女に紹介されて、既に顔合わせも終わっている」


 んん?

ファルタン嬢が復学?


 ファルタン嬢は、ヘインズの元婚約者だ。

聖獣ドラゴレナの加護を受けたせいで、気を病み、何年も休学していた。


 そうか、やっと復学を。

昨年、といっても半年程前だ。

何故か、とある山でラビアンジェと出会い、半ばラビアンジェに引きずられていた感はあれど、「フ」や「沼」なる謎ワードで、女子2人は意気投合した。


 余談だが、俺は謎ワードについて言及しない事にしている。

何かはわからないが、何かに負ける気がしてならないからだ。


 そして今、察した。

ラビアンジェは事前に早期卒業について、チームメイト達に話を通していたのだろう。


「それにこれから個人的に、色々と世話になるからな」


 んん?

個人的に?

ラルフの世話になるとは、どういう意味だ?


「そうね。

隊長とも話して、ラルフ君と時々、手合わせするようお願いしておいたわ」


 ああ、ラルフの冒険者スキルを上げるように……。


「ファルタン嬢は、ラルフ君に沼る作品のレクチャーをするのを、とっても楽しみにしているみたいね」


 んん?

ヌマルって、何だ?

レクチャー?


 ラルフよ。

一体これから、何をするつもり……。


「けれど編集長とアッシェ、んんっ、漫画部門に配属された面々が、どう判断するか。

これに関しては、ラルフ君次第になるわ」

「ああ。

だがダリオ、んんっ、ダリさんは……」


 待て待て!

ラビアンジェとラルフは一体、何を言い間違えて、何を言い直している?!


 既に一家総出で、王家に暇を出したアッシェ公爵家だったり、アッシェ家当主のダリオ=アッシェ公爵の話じゃないよな?!


 ラルフよ、まさかダリさんとは……随分気安い感じで呼ぶのは……まさかまさかの……。


「俺の話を聞いて、知り合いにも後援を頼むと言ってくれた」

「そう。

そんなに面白い内容なの?

私も楽しみにしているわ!」


 ダリオ、いや、ダリさんとやら!

一体、何に対して、誰に後援を呼びかけたんだ?!

ラビアンジェの言う【面白い内容】というワードが、妙なパワーワードにしか感じられなくなってきただろう!


「「俺も(私も)楽しみにしてるんです!」」


 ローレンとカルティカよ、知っているんだな?!

後でこっそり教えて……いや、聞かない方が良いのか?!

そんな気がしないでも、いや、そんな気しかしないな!


「ああ。

だができれば公女には、出来上がったものを、1番に見て欲しいんだ」

「ふふふ、そうなのね。

余計に楽しみよ」

「ああ。

時間がかかるかもしれないが……必ず」


 ラルフが真剣な面持ちで、ラビアンジェを見つめる。


「公女……俺は……諦めない」


 躊躇いがちに、しかしハッキリと言い切った。


 何を諦めないのかは、わからない。

しかしラルフの瞳には、決意が宿っている。


「?」


 思わず小首を傾げたラビアンジェもまた、ラルフが何を諦めないのかまで、わかっていないようだ。


 そしてその事は、ラルフも予測していたのだろう。


「公女」


 ラルフがラビアンジェの左手を取り、右膝と左手の拳を地に着けて腰を落とし、右手を左胸に当てて頭を垂れる。



ラルフが左手でラビアンジェの右手を取り、

左膝と右手の拳を地に着けて腰を落とす。


「俺の決意を、忘れないでくれ」


 そう言って、ラビアンジェの手の甲に、ラルフが触れるか触れないかの口づけを落とした。


「……わかったわ」


 暫しの沈黙後、そう言ったラビアンジェが、ラルフの決意が何かまで、わかっていたとは思えない。


 ただラルフの行動の意味は、正しく受け取ったのだろう。


「ラルフ。

全てを、あなたの行動で示しなさい」


 そう告げたラビアンジェは、口づけられた右手を胸に当る。

左手をラルフに差し出して、ラルフを立たせた。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

これにてミハイル視点は終わりです。

気づけば大晦日∑(OωO; )

皆様良いお年をお過ごし下さいm(_ _)m


そして本日、先行投稿しているカクヨムの方では本作本編が完結しております。

もし待てないとか、興味がありましたら、そちらもご覧下さい。

https://kakuyomu.jp/works/16816927863356796443


年が明けてすぐの1/10に本作の書籍版(最終巻)が発売されるので、ぜひm(_ _)m

※WEB版とラストを変え、多々あるオリジナルシーン(月和と影虎の一瞬のラブをわかりやすいところに配置etc)をプロローグから入れております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ