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陰キャJKは異世界を謳歌する!  作者: ハジ
6章

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6.二度目の召喚

 長い階段を下りて地下三階に着くと、そこには玄関ホールと大広間で見たのと同じ大きさをした女の人の像が立っていた。


 髪は一番長く、腰まで伸びている。


 他の二体の像が両手を広げていたのに対して、目の前の像は少し俯き、両手を胸の前で組んでいた。


 何かを祈っているようだ。何を祈ってるのだろう……。


「他の像と違って、ずいぶんと寂しい場所に建ってるわね」


 とプレセア。


「……そうだね」


 玄関ホールと大広間、どちらも窓から日の光が差す明るい場所。


 人も必ずと言えるくらい頻繁に訪れる。(人が住んでいたらの話だけど)


 それに比べて地下三階のこの部屋は、絵や宝石、陶芸品などで豪華に装飾されてはいるけれど、日の光も入らなければ、人も滅多に来そうもない。


 予め目的と時間を決めとかないと利用することがなさそうな場所だ。


 部屋の内装から、この像がとても大事にされていて、讃えられていたのはよくわかる。


 だけど、太陽の光が届かない場所で一人、すごく寂しいと感じてしまう。


 私たちや子供たちがここに来ることなんて滅多にないだろうなぁ……。


 今だって気になったから寄っただけだし。


「この像、上に移動させたらだめかな?」


 ふと思った。


 信仰的な意味で地下(ここ)に置かれているはずだから、移動させることは不謹慎になる。普通に罰当(ばちあ)たり。


 そんな事はわかってるんだけど、それ以上に地下で一人にさせたくないと思った。


 独りぼっちは、寂しいもんね。(経験者)


「いいんじゃない? 過去にどんな意味があってここに像が置かれていようと、今はお姉様が城主でルールなんだから。移動させようが捨てようが、お姉様の気分次第でしょ」


 う~ん、痺れるくらいにポジティブ。

 

 捨てる発想はなかった。流石妹(さすいも)だわ。


「じゃあ、遠慮なくそうさせてもらうね」


 女の人の像は後で移動させることにした。



 †



 地下二階に戻って来た私たちは、さっそくフランの召喚に取り掛かった。


 台の上に立って手を足元に翳(かざ)し、目を閉じて集中する。


 プレセアとクラウドが後ろで私を見守る中、詠唱を開始。


「数多の知恵と知識を持つ勇敢なる我が僕、シュバルツ・フランベルドに告げる——盟約により結ばれた汝の力を示す為——我が呼び声に応えよ—―」


 詠唱を終えると、足元に直径三メートルほどの魔法陣が蒼紫に輝く光で描かれた。


 光の輝きは勢いよく増していき、数秒も立たないうちに魔法陣を埋め尽くし、光の柱となって天井を打ち抜くように照らす。


 ま、眩しい……。


 片目をちょっと開けるので精一杯。


 そして、それ以上に体が辛い。


 インフルエンザなんて目じゃないくらい怠(だる)くて倒れそう。


 プレセアを召喚した時よりも遥かにきついような……。


 事前に『いつでも気軽に気絶していいわよ』って言ってくれてたんだけど、私にも見栄と意地がある。


 せめて一目、出来れば一声、かけてからお眠りしたい。


(ぐぬぬ……)


 光は徐々に弱くなり、スゥーと霧のように晴れていく。


 そして、そこには白衣を着た黒髪長身の男が私に向かって跪(ひざまず)いていた。


 OK、召喚成功。


 やり遂げて安心した私の体はフラっと横に倒れていく。


 地面に触れる前に支えてくれたクラウドに一言。


「あとは、お願い……」


 気兼ねなく入眠する。


 だがしかし、私は見た。


 これは現実なのか、夢なのか。


 ありえないものが、最後に私の視界に映り込んでいた。

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