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禁忌の精霊

「禁忌の精霊?なんだそりゃ。」

俺は『ヴァンパイア』が語った言葉に首をかしげる。

禁忌の精霊なんて名前は初めて聞いたぞ。魔族特有の文化なのか?

「こっちでは知られてないのか……。精霊と司る属性については知ってるよな。」

「あぁ。火、水、風、土、無だろ?」

「そこに系統外……どの属性にも当てはまらない属性があるんだ。それを司どっているのが『禁忌の精霊』だ。」

俺は『ヴァンパイア』の説明を聞いて何となく内容を理解する。

要するに、一般的に使われている属性に当てはまらない属性こそが俺の『暴虐』『黄昏』『呪詛』の精霊魔法なのか。

属性魔法と精霊魔法というよく分からないものがあるけど……それは鶏が先か、卵が先かの問題になるから触れるのは止めておこう。

それに……系統外の魔法が他にどんなものがあるのか聞いておかないとな。

「正確にはどんな属性があるんだ?」

「えーっと、オレが知っている限りだと『呪詛』『暴虐』『黄昏』『叡智』『狂気』の五つだな。最も、古代には更に多くの精霊魔法があったんだけどな。」

「……それと気になったんだろがなんで『禁忌』の精霊なんだ?」

「遥か昔、魔大陸を治めた王族がいたんだけどその王族たち八人がそれぞれ半精霊……精霊の領域に片足を踏み入れた存在だったんだ。そして、その王族たちが使ったのが『系統外』精霊魔法だったんだ。」

「ふーん……。」

「けど、王族たちが圧政を敷くようになり、民の反乱がおきた。そして多くの犠牲と多数の種族の絶滅と引き換えに王族たちは死んだ。そして、その王族を殺したのが……今の魔族のご先祖様なんだ。」

なるほどねぇ。魔大陸の地図を昔見たことがあるのに妙に手付かずの土地が多かったのもそれが理由なのかもな。単純に人が少なくなっていたのだろ。

「どう、これで。」

「ああ。さて、そろそろ動くか。」

俺は立ち上がり、ランプの灯りを消す。

ここに長居してしまったし密売をしようとしていた奴等に見つかるかもしれない。内部の地図は理解しているからさっさと証拠を捕まえたほうがいいだろう。

「お、ならオレもついてくぜマスター。あんたに付いていけば生存確率が上がるしな。」

「……好きにしろ。」

俺は暗闇の中気配に注意しながら歩き始め、その後ろを『ヴァンパイア』が着いてくる。

「……そう言えば名前聞いてなかったな。名前、なんていうんだ?」

「オレか?オレの名前はウェル・マクス。得意な魔法は火と水の魔法なんだぜ。」

軽く自己紹介したウェルと一緒に中を歩いていくのだった。


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