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ハーフエルフの情報整理

「あー、うあー。」

(くそ、まだ上手く発音出来ないな。)


俺、ルーナはこの世界の言葉を話せるようになろうと、家族が寝静まった時間を見計らいながら発音の練習をしていた。

(今日も上手く喋れなかったな。今日は切りにするか。)

はあ、今日こそは何か発音できるようなれたかなと思ったんだけどな……。取りあえず、情報の整理でもするか。


(取り敢えず、この世界についてわかったことを整理しよう。)

俺はこの間に、分かる範囲で情報をあつめていた。仙だった頃に就職した企業は情報系の会社だったため、情報収集の必要性、重要性を理解していたからだ。


まず、俺の家族についてだ。

母親の名前『セレナ』と言い、美しい金色の髪に翡翠色の瞳をしているエルフだ。性格は非常に穏やかで優しい性格をしている。

しかも出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる上、身長は高いモデル体型のため、ルーナが(すっごくモテるだろ!?)と思ったほどである。


父親の名前は『オレガノ』と言い、中肉中背の茶髪のヒューマンである。

それ以外に特徴はないが、セレナとの仲は非常に良好で、時々夜にふと目が覚めると二人でイチャイチャしている音が薄い壁ごしに聞こえてくることもある。


そして、兄もおり、その兄の名前は『カイ』と言う灰色の髪に瞳をした狼の獣人である。

親がヒューマンとエルフだからどう掛け合わせても獣人にはならないため、恐らく連れ子か拾い子である可能性が高い。

性格は非常に活発でよく森に猪を狩りに行って仕留めてきてはオレガノに怒られていることが多い。



次に、この世界の言語だ。この世界には複数の言語が存在する。ルーナの父親は極々普通のヒューマンで、初めて会った時でもその言葉を理解することができた。


ただ、母親のセレナの喋る言語は理解出来なかった。『全く別の世界から来たので?』とルーナを錯覚させるほどの難解な言葉だった。

ルーナは自分の世話を家族の中でも多くしてくれているセレナの声をよく聞き、その言葉を頭の中で知っている単語と組み合わせて、最近ではセレナの話す言葉を理解できるようになっていた。


(産まれてしばらくは大変だった。セレナが言っている言葉がわかんないから、母乳のタイミングを理解出来ずに急に持ち上げられてガチ泣きしてしまったからな。)

ちっ、嫌な黒歴史を掘り返してしまった。

それは、俺がルーナとして産まれて間もない頃、昼時に父親が前に教えてくれたことを実験していた際、急にセレナに持ち上げられたことがあった。

怖いことが嫌いな俺はいきなり持ち上げられたため、恐怖の余り、セレナの腕の中で大泣きしてしまったのだ。

それを見たセレナはルーナが母乳を欲しいと勘違いしたのか、ルーナに母乳を飲ませてくれたのだ。

実際、ルーナはお腹が空いていたため、母乳をたらふくと飲んだ。その際、セレナのほっとした顔を見たルーナは(もうセレナ母さんに迷惑をかけないようにしよう。)と心に誓ったのだった。

その後、何とか泣くのを止めれたものの、女性の目の前で泣いてしまった羞恥心と母乳を飲んで満腹になりセレナの腕の中で眠ってしまった。

……俺は母乳が美味しかった事実は墓場まで持っていくつもりである。


次に、この世界の技術レベルについてだ。

この世界は元の世界でいう中世の西洋位の技術レベルである。そのため、電気もなければ水道もない状態である。

だが、この世界には元の世界ない物もある。それは『魔法』と言う技術である。

魔法とは、主に『属性魔法』と『精霊魔法』と言う二つに分類されているらしい。


属性魔法は、太古の女神『アーデルハイド』が産み出し、ヒューマンやドワーフに教えたとされる魔法の技術体系である。

その名前どうり、「火」「水」「風」「土」そして「無」と言う属性に別れていて一人づつどれかの属性に適正があり、それぞれの属性ごとに『初級』『中級』『上級』『魔級』『神級』と言ったランク付けがされているらしい。けれど、適正の無い属性でも威力は弱くなるが使えるらしい。


精霊魔法は、自然界に生息する『精霊』と言う生物と契約して発動するらしい。その精霊との契約や交信する力が強いのは獣人やエルフで、多くのエルフや獣人たちは何かしらの精霊と契約しているらしい。

オレガノは火属性に適正があり、セレナは風の精霊、カイは土の精霊と契約しているらしい。


(………魔法に関する情報はオレガノ父さんが読み聞かせ変わりとして夜に話してくれたことだ。てか、子どもに難しいことを話すなよ。)

俺は軽く笑みを浮かべながらオレガノが読み聞かせした時のことを思い出した。

(オレガノは読み聞かせと言うよりも教えるのが上手く、魔法のことも直ぐに理解できた。

……その後、セレナ母さんに怒られたけど子どもに話す内容じゃないし当然だよな。)

もっとも、最初は基礎的なことだったが、最後の方は専門的過ぎて全く理解出来なかった。


だが、良い面もあった。

様々なことを教えられた次の日、オレガノが見せてくれた『風初級魔法[ウィンド]』の魔法を試しに使おうとしたところ、オレガノは魔法を詠唱して使っていたため、まだ言葉が喋れない俺は(出来ないな。)と諦めてしまいそうになったが、

(なら詠唱をせずに魔法を使えるようになろう。)

と考え、それから毎日、どれだけ頭が痛くなっても、眠る時間をすり減らしても諦めずに無詠唱で魔法が使えるようになろうとした結果、『魔力を体内で循環させ、魔法をイメージで捉える』ことで魔法を無詠唱で使えるようになったのだ。

そして、それが出来てからは無理をしないようにしながら毎日魔法の練習を繰り返すのが日課となっている。


(後は………何があったかな……。色々な事がありすぎ上手くまとめれないな。)

他の情報は……カイがとって来た魔物と……他には……、


ズキンッ!!


(ぐあっ!?)

痛っ!?まるで頭に鈍器で殴られたような激痛が走った。これはここ最近よく起きる現象で、特に色々なことを考えている時によく起きるのだ。

(多分、脳の方が情報量に耐えきれず、痛みとしてそれが出て来てるのだろう……。よし、寝よう。)

俺はそのまま、整理を中止し、ベッドに横になり、ねむることにした。

実は、痛みを我慢して魔法の練習をしていたら、今度は鼻血が出始め、昼御飯を飲ませようとして部屋に入ってきたセレナがびっくりして、ベッドが置かれている部屋は地面がむき出しになっていて少しでこぼこしており、地面凹凸に足を引っかけ、盛大に転んだのだ。

その後からは頭が痛くなったら考えることや魔法の練習をやめて、寝るようにしていた。

(ふわぁ……ねむ……。)

もう……意識を……保てない……。



セレナは主人公がおとなし過ぎているためかなり心配しており、夜も遅くまで起きていることも多かったものの、持ち上げられた際、主人公が大泣きしたのを見て、非常にほっとしています。




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