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不幸な転生エルフ、復讐を誓う~怪物と呼ばれ異端の力を使い惨劇を~  作者: 月のウサギ
第一章 邂逅と第一の復讐
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模擬戦

「おいジジイ、帰ったぞ。うわっ、暑っ!?」

「ゴーレンス様、ただいま戻りました。う……す、凄い熱気です……。」

買うものを買い、店の裏口から店内に入った俺とアースリアを凄まじい熱気が出迎える。

ゴーレンスの種族であるドワーフは熱に対して非常に高い耐性を持っているため、この程度の暑さでも問題なく活動できるのだ。


「おい、ジジイ。」

「おっ、帰ったか。アースリア、お主が頼んだ武器が全てできたぞ。」

「ほっ、本当ですか!?」

「はっはっはっ!良い仕上がりだ!」

俺の言葉を無視して、ゴーレンスはアースリアがオーダーメイドで頼んだ武器を豪快な笑い声と共に武器を渡した。


「す、凄いです。これ程の量を一日で作ったのですか?」

「はっはっはっ!当たり前よ。」

アースリアは渡された武器を部屋探し中で素振りし、それを見たゴーレンスは笑い声を上げた。

アースリアが頼んだ武器は一本の斬馬刀と、数十本にも及ぶナイフである。斬馬刀は素振りをした際に強烈な風圧がルーナを襲う。また、ナイフに使われているのはAランクの蜘蛛の魔物『イモータル・スパイダー』の殻を使ったらしく、軽い風切りの音とは裏腹に高い硬度を誇る。


「なあ、ジジイ。あれでいくらだ?」

「ん?タダじゃよ。」

「た、タダ!?」

値段の交渉をしようとゴーレンスに話しかけた俺だったが、ゴーレンスの予想外の答えに声を大きくして驚いた。

「お主、馬鹿にしておるのか?あれは確かに強力な武器かもしれんが、使いこなせる奴はそうそうおらん。もし、使いこなせる者が現れたら鍛治師としては本懐じゃ。」

うっとりとした眼でアースリアが振るう武器が見てやれやれ、と頭を揺らした俺はアースリアに声をかけた。


「アースリア。」

「あ、ルーナ様、何でしょうか。」

「模擬戦しようぜ。」

「い、いいのですか!?」

「俺はかまわない。そっちはどうすーー」

「やります!!」

俺は誘いに乗ったアースリアを見て笑い、二人で店の裏庭に向かった。裏庭は、元々ゴーレンスが買い手の試し切りの為に作った場所の為、模擬戦にはもってこいの場所だからだ。


「全く……あの大馬鹿小僧どもが。」

その後ろ姿を背後で見ていたゴーレンスはふっ、と笑い、工房の中に戻っていった。


=========

「おっ、来たか。」

「はい!……ルーナ様は着替えないのですか?」

メイド服風の鎧を身に纏い、斬馬刀を背中に携えてやっていたアースリアは戦闘用の服に変えてない俺に対して首をかしげた。

「問題ない。」

「では、その言葉を後悔させて上げます!」

次の瞬間、アースリアは飛び上がり、斬馬刀で刺突を繰り出してきた。

「夜風・闇夜纏(あんやまとい)。」

刺突が当たる直前、俺の周りを黒い風が纏い、

「きゃあ!?」

アースリアを後ろに吹き飛ばした。

闇夜纏とは俺が産み出した『夜風』の一つで極めて密度の高い風を纏い、近づいてきた相手をその風圧で吹き飛ばし、自身の素早さを底上げする攻防一体の『夜風』である。


「そっちが来ないのならこっちから行くぞ。」

「……!?」

底上げされた俺は一瞬でアースリアの目の前に移動し、抜いた剣を振り払った。その攻撃をアースリアは斬馬刀で防ぎ、再び吹き飛ばされた。

「くっ、はああああ!『罪なきもの、罪ありしもの、二つを束ねる天秤よ、最後の審判、その判決を罪人に与えよ『天秤の審判(リブラ・ジャッジ)』!」

吹き飛ばされ、地面を転がったアースリアは服の外側にしまってあったナイフを手に取り、白と黒の光を纏わせて、そのナイフを投げた。

「無駄だ!」

そのナイフを軌道を僅かな手の動き、目線で予測した俺はそのナイフを回転しながら避け、その勢いを利用して剣を振り下ろした。


「きゃあ!?」

闇夜纏を纏った剣を打ち付けられた地面から凄まじい衝撃と風圧でアースリアは後ろにあった家に叩きつけられ、倒れたアースリアにルーナは剣を向けた。

「チェックメイトだ。」

静かに敗北を告げた俺は剣を鞘にしまった。

「ははは……とても強いですね……。」

「当たり前だろ?これでもAランクの冒険者だぞ?」

「そうなのですか……。」

俺の強さの理由を理解したアースリアは立ち上がり、鎧についた土を払った。


「それじゃ、飯を食べるか。」

「はい!では、準備しますね。」

俺に命じられてアースリアは夕食を作りに家の方に戻っていった。

「……アースリアの使った魔法は一体どんな魔法だったんだ?」

ふと、ルーナは疑問を感じたが、すぐに振り払い、アースリアの後を追って家に戻っていった。

『イモータル・スパイダー』

危険度:Aランク

体長五十メートルほどの白い殻をした蜘蛛の魔物。

体内に強力な神経毒を生み出し、それを相手に突き刺して動けなくさせて糸をくっ付けて捕食する。

最も恐ろしい食べられるとき、捕食される方は意識があり、食べられる痛みから気絶する事すら許されないところである。

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