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不幸な転生エルフ、復讐を誓う~怪物と呼ばれ異端の力を使い惨劇を~  作者: 月のウサギ
第一章 邂逅と第一の復讐
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七年後

「ふーむ、どうしようか。」

血溜りの中、銀色の髪と左右非対称の眼をした長身のハーフ・エルフは考えごとをしていた。

俺はあの日のあと、近くの町のギルドにいき、冒険者となった。

『ギルド』、それは この世界における『冒険者』と呼ばれる職業の人たちに仕事を与え、また管理をする組織である。

冒険者にはランクがあり、下からF・E・D・C・B・A・Sとランク付けされている。また、ランクが上がるにつれ仕事の内容、危険度も上がっていく。

冒険者の主な仕事は魔物退治で、強い冒険者ほど尊敬される完全実力主義である。

そして、危険な魔物と戦う冒険者には様々なメリットがある。

冒険者は職に就くための年齢がなく、また国家間を自由に歩ける権利を与えられている。勇者たちに復讐を誓う俺にとって毎日を戦いの中で過ごして自分の力を高められ、お金を稼げる、まさに一石二鳥の職であった。

ただ、俺がハーフ・エルフだからか初心者狩りをしていた冒険者に襲われたり、不当に報酬を少なくさせられたりされたこともあったのは玉に傷であるが今の実力ならそんなこともない。


今日、俺が『皆殺し』にしたのは数十人ほどの盗賊である。この世界はそこまで治安が良いわけでは無いため盗賊などの犯罪者が日本に比べて多い。その為、町の外にいる犯罪者たちを捕まえるのも冒険者の仕事の一つだ。……まあ、犯罪者なら殺人をしても良いみたいな風潮が冒険者にあるから生きれるかは冒険者次第だけどな。


「まあ、考えるのは止めてさっさと帰ろう。依頼にあった高価な宝石は回収できたし、ここにいる理由も無いしな。」

鼻歌を歌いつつ、盗賊のアジトがあった山から軽いステップを踏みながらルーナは山を降りていった。



========

「よし、到着したな。」

俺は門の近くで体と服を洗い、変えの服を着て門をくぐり抜け、中世西洋の美しい街並みが広がる都市に入った。

魔法都市ブリンガル。

そこは国立魔法学校『ブリンガル魔法学園』のあるティスティーア王国の主要都市の一つであり、俺が九年前にたどり着いた拠点の町である。


「ふーんふーん、ふふーふーん。」

楽しそうに歩きながら、俺は門の近くにある三階建ての白を基調とした建物に入った。

こここそがブリンガルのギルド建物である。


「ええっと……たしか……。」

「(く、『黒風』が帰って来たぞ……!)」

「(あの『最悪の暴風』がか……?確か盗賊退治に向かったと聞いたが……、行きだけでも一週間はかかるところだぞ!?それを僅か2日でおわらせたのか!?)」

「(あいつには普通の常識が通じねぇ、何せ『皆殺しの鎌鼬(かまいたち)』だからな……。)」

空いている窓口を探す俺の近くで、ゴツい冒険者がひそひそと話しをしていた。


『黒風』『最悪の暴風』『皆殺しの鎌鼬』それらはAランク(・・・・)冒険者である俺につけられた異名だ。

まだEランクだったころ、ルーナはゴブリンと呼ばれる女を拐い、自らの子を産むための道具にする単一性別の人型の魔物の討伐の依頼を受け、近くにあったゴブリンの巣に入り、文字道理ゴブリンもそこに()()()()()()()()()()()皆殺しにした。

その際、同行していた冒険者たちは狂気的な笑みを浮かべながら黒い風を操りゴブリンや人間たちの血にまみれたルーナの姿を見て、普通の恐怖ではない何かを感じたらしい。

無論、俺自身も罪のない被害者を無意味に殺した訳ではなく、『殺して』と言いながら懇願する女性たちの願いを聞き入れたに過ぎない。

それを踏まえてもなお、圧倒的な狂気を持つ少年にいつしか『黒風』『最悪の暴風』『皆殺しの鎌鼬』という畏怖によってできた異名がつけられた。


「あ、空いてますよー、ルーナさん!」

「はぁ……、ラルか。」

「な、なんなんですか、いきなりため息をついて!何ですかもーー!」

ラルと呼ばれた白磁のような白い髪と宝石のような赤い眼をした胸の大きい兎の獣人の受付がルーナを大声で呼び、それを聞いたルーナは深いため息をしつつ彼女の方に行き、ため息を聞いたラルはルーナを怒り、頬を膨らませた。

彼女はラルと呼ばれるギルドの受付嬢である。俺がこの街で初めて仕事をした時に受付をしており、俺をハーフ・エルフだからと差別せずに接し、それからよく煙たがれながらもよく話す仲である。


「ほい、仕事の完了とそれを証明するものだ。」

「依頼書も証明品も確かです。これで依頼終了です。あ、これは報酬です。」

依頼書と証明の為の宝石を俺はだし、それを確認したラルは満面の笑みで依頼を受理し、報酬として銅貨と銀貨が山ほど入った袋と数枚の金貨を俺に渡した。

この世界では金、魔宝石、銀、銅、鉄が貨幣とされており、鉄貨一枚で一円、銅貨一枚で十円、銀貨一枚で百円、魔法貨で千円、金貨一枚で一万円と言う計算になる。これら以外にも貨幣は存在するが俺は見たことがない。

ちなみに魔法石とは魔力がこもった石で金とかと同じように鉱山で発掘されている。


「そういえばルーナさんは魔法学園に入学しますか?」

「ん?あぁ、一応な。その為に本を買って何とかしているが……『アレ』がな……。はぁ……。」

「やっぱり『アレ』ですか……。はぁ……。」

俺とラルは受付に肘を当てて大きなため息をついた。

『アレ』とは奴隷(・・)の事である。

魔法学園は元々貴族が魔法を習い、国を守る為に作られた学校、その為平民に門戸が開放されても入りにくいように幾つかルールをもうけた。その一つが奴隷である。

奴隷には金、銀、銅の三種類があり、銅は犯罪によって奴隷に落ちた者や平民の借金を方に身売りされた者など、銀は犯罪を犯した貴族や商人など、金貨は亡国の貴族や魔族などである。

学園の入学基準では最低でも銀の奴隷が必要となる。

銅の奴隷一体あたりの相場は金貨一枚ほど、これなら一般的な平民でも背伸びをすれば買えるが、銀の奴隷は金貨十枚、一般的な平民には買えない代物だ。


「一応、幾つかの奴隷商のところに行っているが……何かピンとしない。金はあるけどな。」

「そうなんだ……。そうだ、私の知っている奴隷商の人の場所を教えるからそこにいってみたら?ちょっと書くから。」

お金はある俺が悩んでいる最中にラルはとある奴隷商がいる場所を紙に書いてそれを俺に渡した。

「お、ありがとな。」

「ちょ、そんなにかしこまらなくても!」

深くお辞儀をした俺に対して、そこまでのことをしていないと思っているラルは慌てふためいて俺の頭をあげさせた。

「んじゃ、いってくるで。」

「はい、いってらしゃい。」

ラルにお礼をし終わった俺はラルに見送られながら、扉を開けてギルドの建物から外に出た。

(これでよし……、この場所の俺の共犯者(・・・)になれる奴はいるかな。)

俺が奴隷を求めるのは単に学園に入学するための最低条件を揃える為だけではない。勇者たちを殺すための仲間…共犯者を探すためでもある。

「ふふーんふふーん」

どんな奴隷がいるかわくわくしながら、鼻歌を歌いつつ街を歩いていった。


=======

「今日も言えなかった……。」

「どうしたのラル?」

休憩時間になり、ため息を吐いて机に突っ伏していたラルに茶髪のヒューマンの同僚のテリアが疲れた顔で話しかけてきた。

彼女たちはプライベートでもなかが良く、職場でも一緒にご飯を食べている事も多い。


「またあのルーナくんのこと?」

「うー……、だって私、あの子の事が好きなんだもん!」

テリアの質問に対して、ラルは自分の本心を顔を紅く染めながら答えた。

最初は弟を可愛がる感覚で接していたラルだが、去年からルーナに恋心のようなものを抱き始めたのである。

獣人はエルフには劣るがヒューマンよりも長い年月を生きることができる種族でラル自身は獣人における成人であるため結婚適齢期に差し掛かっているのだ。

それでもルーナを弟のように可愛がっていたため、ラル自身どう接すればいいのかわからなくなっているのだ。


「もうズバッと切り出しちゃいなさいよ。もどかしいたらありゃしない。」

「うう~。だってもしフラれたら気まずいじやん…。」

テリアの豪快な意見にラルは顔を更に紅くさせながら恥ずかしさのあまり顔を手で隠しつつテリアの意見に反論した。


「はぁ、本当にヘタレね……。私からすればあの少年は……どこか危ういのよね。」

「危うい…?」

「私もどう言葉にすればいいのかわからないけど……彼自身、何かとんでもない願いを叶える為に生きているのかと思うのよ。そうじゃなきゃ、あんな恐ろしいほどの憎しみを抱いた眼をしていないもの。ま、私の勘なんだけどね。」

「は、ははは…。そんな事はないと思うよ。あの子は優しい心を持っていると思うのよ。これも私の勘なんだけどね。」

テリアはルーナのあり方がおかしいと言う意見を言い、ラルはルーナの心の優しいという、どちらも別々の視点から物事を見ているが、ルーナにとってどちらも的を射た意見を言っている。


「て、そろそろ仕事ね。」

「あ、うん。受付の方に戻らないと。」

テリアとラルは時間を見て慌てて受付の方にもどっていった。

やっぱり物語を書くのは楽しい!

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