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エーテルコード:ヴァリアスワールド  作者: エトコッコ
宇宙篇

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第5話「突破口」


烈と音は、フレアⅢを防衛するバックスを次々と撃破しながら、同時にPジャマーの破壊も進めようとしていた。


しかし——


「クッソ!こいつら、どこから湧いてんだ!?」


烈は苛立ちを隠せず叫んだ。


閃と怜も、すでに十分すぎるほどの敵機を撃墜している。


にもかかわらず、バックスは次から次へと現れ続ける。


烈と音はフレアⅢの攻略に集中したいが、その物量は予想を遥かに上回っており、思うように前進できずにいた。


(スキルが使えたら、まとめて片付けられるのによ……!!)


圧倒的な数の前に、普段なら一掃できるはずの敵に足を止められていることが、烈はもどかしかった。



『怜!!』


突然、コクピットに閃の声が響いた。


まだPジャマーの影響下にあるため、通信は妨害されているはずだった。


しかし、その声は普段の通信と変わらないほど鮮明に聞こえる。


「閃!?どうやって——」


怜は思わず問い返した。


『《電繋》を繋げたら、有線式みたいに通信できるんじゃないかと思って試してみた』


閃は笑いながら言った。


つまり、《電繋》によって生成したレーザー式ケーブルをシラユキへ接続し、有線通信のような状態を構築したのだ。


「あぁ……」


怜は納得する。


確かに、それなら通信妨害の影響を受けにくい。


『エーテル残量は?』


閃が尋ねた。


「大丈夫」


怜は短く答える。


先ほどに比べればバックスの数は確実に減っている。


それでも、なお大量の敵機が戦域を埋め尽くしていた。


閃は弾切れになったガトリングガンを投棄し、アサルトライフルへ持ち替えている。


その際、機体の動力をコンデンサーから自身のエーテルへ切り替え、《帯電》を発動して武器を強化していた。


すでに閃も、普段のエーテル主体の戦闘スタイルへ移行していた。



『この感じ……もしかしたら、烈たちの方へ向かってるのかもしれない』


閃はアサルトライフルを連射しながら言った。


「私もそう思う」


怜も《氷弾》を放ちながら応じる。


『俺が烈たちの援護に回る』


『怜はこのまま、コイツらの相手を頼む!』


閃は即座に判断を下した。


「了解」


怜は短く答える。


『——てか、どんだけいるんだよ、コイツら。シロアリみたい……』


閃がぼそりと呟く。


「……その例え、やめてくれない?」


怜は少し嫌そうな声で返した。


怜は、昆虫が苦手だった。


そんなやり取りを交わしながらも、2人の攻撃は止まらない。



(どんどん数が増えてる……!!)


音は焦りを覚えていた。


ツムギはフェアリービットを展開し、現状で可能な限りのデータを収集している。


現在のPジャマー破壊率は32パーセント。


(もう少し……もう少しなのに……!!)


音は唇を噛む。


ツムギのフェアリービットはエーテル兵器とEN兵器を組み合わせた複合兵装。


ビット自体の動力源はエーテルであるものの、その機能はEN系統に依存している。


そのため、Pジャマーの影響下にある現状では、攻撃には使用できない。


その時——


ツムギと交戦していた複数のバックスに、突如として電撃が走った。


「!!」


音が視線を向ける。


そこにいたのは、閃の駆るバサラヲだった。


「閃くん!!」


思わず声が弾む。


バサラヲは片手を軽く上げると、ジェスチャーで“ここは任せて”と伝えた。


それを確認した音は小さく頷く。


そして、閃にその場を託し、ツムギは再びPジャマーの破壊へと向かった。



(やっぱり、こっちに集まってたな)


《雷散》を発動し、周囲のバックスをまとめて感電させる。


動きが鈍った瞬間、一気に接近し、金剛鬼伝を振るい——次々と機体を切り裂いていった。


すでにアサルトライフルのマガジンは2つ使い切っている。


接近戦主体へ切り替えたのは、残弾を温存するためだった。


閃はバックスの注意を巧みに引きつけ、ツムギへ向かわせないよう立ち回る。


そのまま敵を引き連れながら戦闘を続け、少しずつ烈のいる宙域へと接近していった。


(あれは……バサラヲ!?閃か!!)


烈はすぐにその姿に気づいた。


バサラヲは先ほど音に見せたのと同じように、烈へ向けてジェスチャーを送る。


「おう!!」


烈は力強く応えた。


そして、レンゴクは再びフレアⅢ攻略へと意識を集中させた。



「《雷導》!!」


閃が放った電撃は、1機のバックスから次の機体へと連鎖していく。


その隙を逃さず、バサラヲは一気に接近すると、次々と切り裂いていった。


(遠隔制御型は厄介だな……)


閃はそう思った。


本来であれば、この手の無人機は大元となるマザーブレインを破壊してしまえば終わりだ。


制御を失った機体は活動を停止し、一気に戦況をひっくり返せる。


しかし、今の状況ではマザーブレインの所在すら分からない。


レーダーは妨害され、敵の出現源も把握できていない。


だが、優先すべき目標はバックスでもなければ、マザーブレインでもない。


フレアⅢの動力部を破壊すること。


それこそが、この戦闘を終わらせるための最優先事項だった。



閃が敵を引きつけ、その隙に烈と音がPジャマーの破壊を再開したことで、ついに破壊率は40パーセントを超えた。


その瞬間、ツムギは展開していたビットの有効射程を即座に拡大し、フレアⅢの本格的なスキャンを開始する。


その間も、レンゴクはPジャマーの破壊を継続。


確実に、その効果は薄れていく。


そして——


スキャン開始から約3分。


徐々にフレアⅢの内部構造が明らかになっていく。


直径約500メートルの巨大兵器フレアⅢ。


その内部には4つの動力部が存在していた。


配置は均等で、ちょうど正方形の四隅に位置するような構造となっている。


なにより、表向きには電力駆動と公表されていたが、実際の動力源は原子力——現代では使用が禁止されている技術だった。


もっとも、あれほどの規模を持つ兵器を運用する以上、原子力を動力源としているのではないかと以前から指摘されていた。



スキャンしたデータを他の3機へ共有するため、音はビットをそれぞれの機体へ接近させ、解析結果を送信した。


(よし!音、でかした!)


閃は思わず口元を緩める。


これで攻略の糸口が見えた。


(動力源は4箇所……!)


烈は送られてきたデータを確認する。


フレアⅢを止めるには、そのすべてを破壊しなければならない。


(原子力だなんて……)


怜は僅かに眉をひそめた。


使用を禁止されている技術を、これほどの大規模な兵器に搭載している事実に、改めてフレアⅢの危険性を実感する。


怜は、そのまま機体を反転させフレアⅢへ向かって加速した。

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