第1話 保養地
オット・スプリント・ミラーノ。そこは、火山と温泉があり、カパルーノ皇国の貴族達の別荘が集中している、一大保養地。
そんなところに、ルッツとペトラは到着した。
ルッツ達はイレク・ヴァドへ荷物を置くと、さっそく街へ繰り出した。
「これからどこに行くの、ルッツ?」
「とりあえず、この街に来たら、温泉に決まっているだろう。おススメの場所はアスカから聞いておいた」
アスカは世界中を何百年と見ているため、その情報量は伊達じゃない。このおススメの温泉も、ルッツはそれなりに期待していた。
十分程度歩くと、目的の温泉が見えた。総大理石の、純カパルーノ皇国風温泉だ。しかもここは、セントロポリなど、他の街には見られない露天風呂があるらしい。
二人は男湯と女湯に分かれ、中へ入って行った。
◇◆◇◆◇◆
中に入ると、屋根がある部分と屋根が無い部分があった。屋根がある部分は洗い場があり、屋根が無い方は浴槽がある。全て大理石だ。
ルッツはさっさと身体を洗うと、青空の下なる、大きくてきれいで、景観も抜群な浴槽に入り、リラックスした。
その時、誰かが入って来た。しかも自分が入って来た扉とは違う方の扉だ。ゆっくりと音がした方を見ると、そこには……一切の穢れが無い、発展途上の美しい肢体を晒しているペトラの姿があった。
「な、な、な……」
ペトラは予想外の事態と羞恥とで混乱しているようだが、ルッツはとにかく冷静になり、状況をよく確かめていた。
よく見ると、自分が入って来た扉には『男』、ペトラが入って来た扉には『女』と書かれている。つまり、更衣室だけ一緒で実は混浴だったのだ。
そして、この場所を紹介したのはアスカだ。という事は……。
「なるほど、僕達は、アスカにしてやられたわけだ」
いたって平静な様子で言ってのけるルッツ。だが、ペトラはそれを聞いてショックを受けた。
(ルッツは全然、あわてる様子も、興奮している素振りもない? って事は、あたしに興味が無いの? 確かに、胸はまだ小さいけど……)
その後、ペトラはショックでフラフラになりながら身体を洗い、湯船へ入った。さっきのルッツの様子は、距離があったからだと思いたかったペトラは、恥ずかしい思いを押し殺してルッツに近付いた。
しかしルッツは、全く動じることなく、事前に調べたこの温泉の説明をした。
結局、ペトラの気分は少し凹み、自分の魅力に自信を無くしたという。




