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第一章  参ノ華  彼岸花

次は第一章の参ノ華 彼岸花です。いよいよヒラツルに会える!と思いきや………………

皆さんどうか気軽に読んでください。


簡単に艦のスペックと登場人物達の簡単な説明を書きます。物語を読んでいて分からなくなったらもう一度確認してくださいね。


艦名 対艦対要塞迎撃殲滅決戦兵器・超弩級遊撃防空大型航空戦艦大和


全長 1863m


全幅 320m


全高291m


喫水線から甲板まで55m


武装


主砲168cm 電磁三連装砲 ×3機9門


副砲46㎝電磁三連装砲× 2機6門


副砲20㎝電磁連装砲×24機48門


対空対艦砲 10㎝電磁単装×24機24門 


対空対艦砲 長10cm電磁連装砲×65機130門


対空機銃砲 35mm機関砲一門15mm連射機銃電磁機銃砲二門で一つ264機            


零一式徹甲弾 零式時空圧縮弾 時限式三式弾 三三式対空破裂弾 一二式墳進弾


主機関銀河炉 銀河5個分のエネルギー


副機関 閻魔 原子炉20機分のエネルギー


速力 海上で最大47ノット 海中で最大40ノット 空中で最大光速で約8.7倍 【地球から木星まで5分で到達出来る】


艦長 菊池桜 17歳 高校二年生 男 彼は魂が二つあって、一つが人間、もう一つが妖怪です。


式神たち達 


 夜叉(鬼面組組長 副長) 


 真蛇(般若面組組長 機関長) 


 八百比丘尼(人魚面組組長 航海長) 


 燈狐(狐面組組長 整備長) 


彼らは各式神たちのトップで鬼組 般若組 人魚組 狐組 の組長たちです。


鬼組の担当は、戦闘面が主です。戦闘機パイロット、索敵電探、各砲塔などです。


般若組の担当は、艦の機関調整だったり、通信 無線等が主です。


人魚組の担当は、艦の総舵、航海、航路、物資補給などが主です。


狐組の担当は、艦の整備、医療等が主です。



シュゴォォォォォォォォォ   水を切り高速接近する物体が3つ


 

ゴウウウウウウウウン   ゴトッ


ドゴオオオオオオオン     鳴り響く島風の主砲


ヒュゥゥゥゥーーー  ザパーン   ドガァァァァァン     砲弾が魚雷に当たり爆発


「今ので合計で何本来た?」

燈狐(とうこ)がヒラツルから島風にいる鬼面に聞く

『はっ!10本目になります!』

「了解」


島風が初めて主砲を撃ってから10分経っていた。

燈狐が空を見て言う


「烏天狗隊は一体何をしているんだか」

「どうやら敵潜水艦の位置特定に手間取っているようですな」

部下の狐面が隣から話す


「アリサ艦長、まだ主機関は起動しませんか?」

「………やはりだめです。完全に魔素吸引機が壊れてます」

アリサと燈狐が話す


「すいません。魔導探知機が使えたらよかったんですが」

「いや、仕方ないわ、メリー副長。まさか、アイゼン聖帝国の潜水艦艦隊がここまで迫って来るなんて思わないよ」

「……ありがとうございます…………」


少しアリサは悔しそうに、でも真っ直ぐ前を向いて今の現状を冷静に考えていた

燈狐はそんなアリサを見て、少し微笑むと、そっと彼女の頭を撫でた。

「あ……んふっ……」


アリサは少し恥ずかしそうにしながらも、微笑んだ。



ジジジジジ   無線がはいる


『こちら烏天狗隊5番機!貴艦から方位7時の方向!魚雷4本来ます!』

『こちら島風。了解した。敵艦の電磁波はつかめないか?』

『ダメです!全く反応ありません!』


烏天狗隊と島風の連携で何とかしのいでいた。


燈狐はふと思った

「大和の今の距離は?」

『はっ!今は約181kmです!』


「………181km………」


燈狐が海の彼方を見る


「後、2時間5分はかかるわね。(桜艦長、どうか彼女らをお守りください)」



大和艦橋



「夜叉」

「何でありますか艦長」

「島風の機関出力で大型浮力体四つ付けたヒラツルを牽引するのはやはりだめか?」

「そうですなぁ。」


夜叉は少し考え答えた


「島風がヒラツルを牽引するならば、頑張っても35ノットでありますな。逆に動かさないほうが良いかもしれません」


桜は目を細め夜叉に問うた


「………何故だ夜叉」

「はっ 彼らが動けば魚雷の進路予測が難しく迎撃が困難になるかもしれません。むやみに動くよりは今のほうが安全かと」

「………それは分かる。だが……」

その先からは言葉が出なかった


「夜叉…いや副長!」

「はっ!」

「防御術の準備を!」

「!…はっ!了解しました!」


「さあ。始めようか」

桜は艦橋から敵を見つめるように海を見下ろした。

「さあ、思い知るがいい。僕達化物の……大和の恐ろしさを」


第一章  参ノ華  彼岸花


「さてと。こちら大和!島風並びに烏天狗隊に告ぐ!これより索敵術向日葵を最大値で使う。敵潜水艦を探知次第そちらに情報を送る。大和が到着するまで耐え忍べ!いいな!」

『『はっ!了解しました。!』』


「この声……まさか…………」 


アリサの目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。


燈狐はそんな彼女を見つめ、静かに告げた。

「そうよ、アリサ艦長。」


一拍置いて、


「私達の主(あるじ)で、航空戦艦大和の艦長。ーー菊池桜よ。」


絶望に沈んでいたアリサの心に、希望が灯った。


「きた………来てくれた……………………私たちを助けてに来てくれた! 呼び声に………応えてくれた人!私たちの絶望を………照らしてくれた光!」



SOSを出しても誰にも気づいてもらえず絶望しかけている時に聞こえた声。    


『それと、ヒラツル聞こえるか?』


「はっ……はい!」


『大和はまだそちらに到着できそうにない。今の我々には後方支援しかできない。……すまない』


桜は、何もできない自分自身と、まだ到着できない大和を悔しく思いながら、申し訳なさそうに謝った。


「な……何故………謝るのです?貴方達は攻撃を受け救助を待つだけ。いつ沈むかも分からない私達を救う為に、一足先に燈狐様をお使いなされました。それだけでもありがたいのに、貴方たちとは関係無いはずのアイゼン聖帝国との争いにまで巻き込んでしまった……。謝らなきゃいけないのは私達の方です!」


アリサは感謝を伝えた。

そして悲しげに答えた。

 

「ありがとう。そう言ってもらえると心が安らぐよ。………必ず助ける!待ってて!」


「はっ………はい!」


アリサからの励ましで気を入れなおす桜 また 元気を取り戻すアリサ


二人は無意識のうちに、お互いを励まし助け合っていた


その時、島風の聴音室から


『推進音あり………魚雷です!方向は2時………右側!狙いは、ヒラツルです!』


「数は!」


『はっ!数は…5本です!』


「ちぃ! 島風から迎撃できるか?」


『駄目です!ヒラツルに重なって狙えません!』


「やられた!………何とか島風で牽引できないか!」

燈狐が叫ぶ

『無理です!いくら島風でも間に合いません!』


魚雷がヒラツルに到達するまで、残り約200m


その時


ブルルルルウウ


ドン! ドン! ドン! ドン! ドン !


空から銃撃音


バシャ!


ドゴオオオン


『………敵魚雷………消滅』


「一体何が」

燈狐とアリサが困惑している時無線が入る


終焉の35mm機関砲6門が火を噴いた


急降下して来た終焉が一機 海面すれすれを飛び抜け、そのまま再び空へ駆け上がっていく


『何とか間に合いましたね。こちら烏天狗5番機。魚雷の迎撃を完了。』


次の瞬間――海に向日葵の花びらのような波紋が広がる


『あっ! 大和から敵潜水艦の位置情報が来ました!』


「すぐに烏天狗隊に知らせ!」

燈狐が即座に命じる


『こちら烏天狗隊1番機。敵潜水艦の位置を確認!これより撃退する!全機!対潜魚雷!発射ぁ!』


直掩をしていた烏天狗隊が、ヒラツルの右舷前方を中心に周囲へ散開した


待ってましたと言わんばかりの勢いで、烏天狗隊は敵潜水艦への攻撃を開始した


残る潜水艦を、一隻、二隻、三隻と葬っていく烏天狗たち――まるで餌を啄む烏のように

「我々も負けてはいられんぞ! 島風!主砲並びに魚雷!撃てー!」


島風からも負けじと奮闘する


約45分が経ち、敵潜水艦もあと一隻となった


「最後の一隻!もらった!」


スゥッ――

周囲に、冷たい殺気が立ち込めた


烏天狗隊2番機は攻撃をやめすぐさま上昇した


「い………今のは」 

魚雷攻撃をしようとしていた2番機パイロットである鬼面も困惑していた


「な………なに⁉………この冷たい感覚は⁉」

アリサを含め、生徒たちが身震いをするほどの寒気に襲われた


無線が入る 烏天狗隊からだった


『こちら烏天狗隊10番機。突然海が黒く変わっていきます!何か起こるかもしれません!急いで逃げてください!』


「急いで逃げろって…無茶言わないでよ!」

燈狐が叫ぶ


その時桜も感じていた 


大和艦橋


「ん! この感じ! あの時の!」


そう 桜はこの世界に来た時 ある感覚を感じていた 


「そうだ…まるで子供が新しいおもちゃを貰って喜んでる感じ、殺意に似たこの感情!」


桜は身構えた


「は! 来る!」


次の瞬間 


潜水艦がいた位置から海が割れ、黒き影が姿を現した。巨大な化物だった それはまるで鯨がイワシを呑み込むようにして潜水艦を丸のみにした


それは山のように大きく、恐ろしくも神々しい姿をしていた


メリーが震える声で言った


「真獣………リバ………イアサ…ン」

額からは冷や汗が出る


とめどない震え


燈狐はメリーに優しく聞いた


「知っているのね。話して…メリー」

「真獣………リバイアサン………伝説の生き物。海の生物の………始祖的存在。ただ………本当に存在しているのを確認したのは………ここ最近なの。なぜなら、リバイアサンの姿を見た者は食べられて死ぬから。誰も逃げられない」


燈狐は目を細めて疑問に思ったことを聞いた

「ん?………見たものは死ぬのに、何故存在していることが分かったの?」


「何故、最近になって存在が確認されるようになったのか。それは、魔素式無線が普及してきたからなの。最後に目撃されたのは、今から5年前。海の魔物たちの調査をしていたの。その時現れたのがリバイアサン。それが最後の目撃情報であり、その人たちの最期の声だった。無線から存在を知ったのよ。私たち人類は」


燈狐に僅かに残っていた余裕すら、全て消えた


「………」


燈狐は何とか情報を大和に届けるべく無線に手を伸ばした


「………大和、聞こえますか?こちらヒラツル艦橋。燈狐です。今メリー副長から目の前にいる化物の情報を聞きました。私たちは………死にます。だから多くの情報をそちらに送ります。どうか………大和だけでも生き残ってください………」


燈狐は死を覚悟して、淡々と話した


『………』


「………桜艦長?………………ねえ、夜叉聞こえてる?」


『……ああ。もちろんだ。だが……艦長が………桜がさっきから笑っているんだ。』


『クックックッ………クックックっクック』

桜が笑っている


「クックック……なるほど………笑わせてくれる」

「安心しろ。狙いはお前たちじゃない。殺気を向けられたのは――大和だ」

「あいつは、最初から俺を…大和を狙ってる」


桜の声色に覇気が籠った


『お前たちは何もするな。動くな。泣きわめくな。そいつに目を付けられるかもだから………ね』


桜の声色や喋り方が変わったことに気づいた燈狐とアリサ

まるで――


人が変わったようだった


「………分かりました………菊池艦長………」


燈狐は桜が妖怪としての自分を出そうとしていることに気づき、息を呑んだ


【朝日照らす桜は人の花。月照らす夜桜は妖の花。――いざ、闇の花へ。さあ、闇の世界への贐となれ】


桜の周りを妖の花が舞う


「さあ………ともに行こうかぁ………………彼岸花の咲く道へ」 

桜の雰囲気が、かすかに変わった

いつもは可愛らしいその顔に――妖艶な笑みが浮かぶ。目からは光を失いその頬は、薄っすらと紅潮していた



「さぁて。副長!主砲――発射準備!」


「! 駄目です!まだ発射試験を受けてはおりません! 撃った時に何が起こり、どのような被害が出るか分かりません!」


「いつかは撃つんだよ?副長………それが今なだけで」

「なりません!せめて対空砲群による迎撃命令を、お出しください!」

「………あれが………対空砲で殺せるとでも?」

桜は目を細め、夜叉を見た


「………それでも、周りへの被害を考えますと………副長として、許可できません!」


「………砲口付近に部分的ではあるが桜乱月下をまとわせれば、主砲発射時に発生する衝撃波を抑えることができる。これでも駄目か?」

妖艶な笑みを浮かべながら、首を傾げた


「…………確かに、その方法を使えば被害は抑えられますね。ですが、大和のエネルギー量に主砲が耐えられるか……………」


「あっ!烏天狗隊から無線です!音響機器につなげます」


『こちら烏天狗隊4番機です!目標………真獣 リバイアサンが大和に向かっています!物凄い速度です!』


烏天狗隊の声が艦橋に響く


「………だそうだ。どうする?夜叉…」


「………………仕方ありません。先程の案を使いましょう!」

桜はニコリと笑い

「決まりだね♪……航海長!右90度転舵!艦首を回せ!」

「よーそろー 右90度転舵!」


ザアァァァァァァ ザプゥゥン 


大和はゆっくりと右へ回頭する

その巨体の横腹が、迫り来るリバイアサンへ向けられていく


「全主砲塔!左舷旋回!砲雷撃戦、用意!」


「一番砲塔にエネルギー送れ!」

夜叉の声が響く

「………一番だけか?」


「緊急事態とは言え危なすぎます。ですので一番砲塔の、しかも中砲だけに送ります」


「………了解。まあ、俺もどうなるか分からないからねぇ。妥当だね」


桜は小さくため息をつき、了承した


「艦長………エネルギー充填………出来ました」


「ふぅ………了解………主砲 168cm 電磁三連装砲!発射用意!妖術 桜乱月下! 発動!」


桜は桜乱月下を発動させ、砲口付近を覆うように桜色の光をまとわせた


「準備完了!夜叉!」


「主機関!異常ありません! 艦長、いけます!」


その時

『こちら電磁波計測室の鬼面です!目標から高エネルギー反応あり!何か来ます!』


『こちら防空指揮 目標 リバイアサンの頭上に氷のような物体が多数出来上がっていきます!あっ!リバイアサン!物体をこちらに向けて放ちました!』


「一足遅かったか」


桜はリバイアサンを睨んだ


「夜叉!対空砲群を起動!防衛術発動!刺せ 彼岸花!」


桜は素早く夜叉に対空砲群の起動を命令 彼岸花の術式が発動し、対空砲群が一斉に照準を合わせる。敵が設定された迎撃距離に入った瞬間、無数の砲弾が一斉に放たれた。


『こちら防空指揮!放たれた物体は氷槍と確認!艦長!回避を!』


「………大丈夫だ。こちらの勝ちだ」

ニヤリと笑う桜


大和の左舷の対空砲群が一斉に動き出した 


ド ド ド ド ド ド ド ド 


タダダダダダ


一斉に砲火を放ち、氷槍を撃ち落とした


「艦長!氷槍 全弾撃ち落としました!」


「了解した。夜叉………」


『こちら防空指揮!突然リバイアサンが停止!頭を海から出してこちらを見ています!』

『こちら電磁波計測室の鬼面です!目標より高エネルギー反応を確認!先ほどより高エネルギーです!』

『こちら防空指揮!リバイアサンの口が開き巨大な氷の塊を創り始めました!』


「…今だ!主砲発射!撃てー!」


大和の主砲が火を噴いた

瞬間、砲口から桜色の稲妻が走った


轟音が響くはずの瞬間、音すらも消し去った

砲弾がリバイアサンの上半身を貫く


巨体に巨大な穴が穿たれた


そして一瞬遅れて、凄まじい衝撃がリバイアサンの身体を襲う

砲弾には僅かに桜の妖力が込められていた

その結果ーーーリバイアサンの上半分は、まるで花が散るかのように無数の桜の花びらへと変わり、塵となって消え去った。

 

砲弾はなおも勢いを失わず、海上から大気圏を突破する。


そして――上空で信管が作動した


やがて、リバイアサンの下半身がゆっくりと海面に浮かび上がってきた

リバイアサンだったモノからは、もはや生気が感じられなかった


夜叉があっけにとられた顔で桜に話す

「………初試射なので一門だけ撃ちましたが………………まさか、ここまでとは………………………………」


「………クックックックッ。まさか………だったな。………これが俺の後悔と、懺悔。そして守りたいという気持ちから生まれた艦――大和………か。自分自身だが………いやはや、恐ろしいねー」


「まずは戻るか。【月照らす夜桜は妖の花。朝日照らす桜は人の花――さあ、帰ろう。光の花へ。いざ、闇を出よう】 ふう。 やっぱりきついな。さてと、ヒラツルを迎えに行くよ。夜叉」


「はっ! 航海長!針路変更!左舷90度転舵!艦首を回せ!」


大和は再びヒラツルに向け進みだす

まるで戦など無かったが如く


大和が戦闘してから約30分が経過

ヒラツルまで後、72.2km


「遂に………ですなぁ。桜殿」

「………………うん。ようやく…だね………夜叉。ようやく会える」

桜は夜叉とともに、感慨に浸っていた………………が

「………と、いけない。夜叉。烏天狗隊に帰還命令を出せ」

「はっ!至急烏天狗隊に通信!」


桜は艦長としての表情を取り戻した


「さてと、後部飛行甲板と後部駆逐艦収容ハッチを担当する式神たちに通達する。烏天狗隊と島風の収容準備を開始せよ!

作業終了後は、左後部格納庫の第二昇降機に固定用ワイヤーを準備し、僕の命令があるまで待機せよ!」


艦内が騒がしくなり始めた


「!いてててて」

桜に痛みが走る


「…妖怪化の副作用が出始めましたね。大丈夫ですか?艦長」

桜の体を支える夜叉


「いやはや………久々に使ったからかな?痛みが出始めるのが早いね。ありがとう、夜叉。ごめん、席にまで運んでくれない?」

「ええ。勿論」

夜叉は桜を抱きかかえると、艦長席まで運び、そっと座らせた


「………夜叉。そう言えばなんだけど、主砲並びに大和周辺の砲撃の影響は出てる?」

「いいえ、出ておりません。どうやら、妖怪化して桜乱月下の防御力が上昇していたようで、被害は一切ありませんでした。副長としては、誠にありがたいことです」


「よ………よかったぁぁ~。えへへへ」 

安堵した桜の顔に、思わずにへらとした笑みが浮かぶ。普段から整った中性的な顔立ちをしている彼だが、今はいつにも増して、まるで女の子のように柔らかな表情だった


「………桜殿………………表情が崩れていますぞ。………その容姿ですので、本当におなごにしか見えませんなぁ」

「いいじゃ~ん崩れていたって。なんせここ数時間、緊張して気を張っていたからさ~」

桜は天井を見上げたまま、ぽつりと口を開いた


「………ねぇぇ夜叉」

「何ですか?桜殿」

「…………ヒラツルに着いたら一度、アリサ艦長に会いに行かなきゃね」

「桜殿、自らですか?」

「うん」

「…………………では、私も一緒に行きますね」

「…………えっ」

桜はビックリして夜叉を見た


「………何で夜叉も来るの?」

「行く理由がありますので」

「………教えて」

「ダメです」

「えぇぇぇぇぇ  夜叉のけち!」

桜は頬を膨らませながら言った


夜叉はそんな桜を無視し、海へと視線を戻した


その時だった


「ん?………おっ………艦長、ヒラツルを肉眼で確認できる距離まで来ました」

夜叉が桜に向き直って言った


「お!見えた!」

桜は満面の笑みを浮かべ、夜叉を振り返った


「………よし!夜叉!すぐに収容作業の準備をしろと、島風に連絡!」

「はっ!」 


桜は少し間を置いてから

「………それとヒラツルに乗艦許可をもらえるか聞いてくれ」

「了解であります」

夜叉が桜に敬礼をしてヒラツルに連絡した


ヒラツル艦橋


「!アリサ艦長。大和から通信です!………乗艦許可を求めてきました!」

男子生徒が通信を受けアリサに振り返り伝える


「………何人来るの?」

「二人です。………艦長と副長の二人が許可を求めてます!」


燈狐が驚いた表情をして

「桜艦長と夜叉副長が来るんですか⁉」


メリーが神妙な面持ちでアリサに言う

「………………アリサ様………遂に大和艦長との対面ですね………………」 

アリサは頷き………………

「………………ええ。どんな人かしらね。可愛らしいお声でしたし………………私たちと歳が近い方かもね。通信主!乗艦許可します!大和に伝えて!」


「はい!」


「こちら見張り員艦橋へ!大和と思はれる巨大艦、確認!ですが………………艦の姿が………………大きさは段違いですが………………勇者様が乗って魔王軍と戦ったとされる艦………………ヒイイヅルと瓜二つです!」


「なんですって⁉」

アリサはその報告に驚き、そして燈狐は困惑していた



SOSから始まった、桜率いる大和とアリサ率いるヒラツルの物語

救助のために始まった二隻の出会いは、今、新たな一歩を踏み出そうとしていた

異世界人同士の交流が、ここから始まる


第一章  参ノ華 彼岸花    終

参ノ華 彼岸花 を見て下さりありがとうございました。次は肆ノ華 安治佐為(あじさい)です。

遂に桜とアリサが対面します!やったー! 自分自身書くのが凄く楽しみです!では、陽月大和でした!

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