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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第7章 慷慨憤激
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第55話 告白

「へ……?」


 今、なんて言われた?


 僕を、愛している?

 エリス様が?


「ど、どうして……?」

「それは、一目惚れ……です」


 聞き間違えじゃないことによって更に思考が停止してしまい、僕は呆けてしまった。


「でもでもっ、一目惚れなだけじゃなくて、人柄が素敵なところとか、カッコいいところとか、可愛いところとか、全部を知って好きになったのっ!」


()に女装させたのは……?」

「それは……ソラきゅんが男装していたら、女の子の方から寄って来ちゃうだろうから……」


 そんなことあり得ないと思うけど……。


「それに……ソラきゅんには心から幸せになってほしいから、女の子達が寄ってくるより自分で相手を選んで貰いたかったの……」

「エリス様……」


「私は何があってもあなたの味方のつもりだから……。別にあなたとお、お付き合いできなくても……なんならそ、側室でも良くって……。単に好きだって伝える必要があっただけだから……」


 とても健気なエリス様。




 僕はどうしていいか分からなかった。


 面と向かって愛していると言われたのなんて、本当に初めてだった。


「正直、どうしていいのか分からないです……」

「そ、そうよね……こんなこと急に言われても……」

「いえ……嬉しくないわけじゃないんです。エリス様、美人ですし……。でも、私にとっては初対面ですから……」

「ソラきゅん……」


「その呼び方……やめてほしいです。()()()()()を思い出すので……」

「あ、そうよね……。ご、ごめんなさい。()()()()()()()()()()()()から、つい癖になってしまっていて……。ソラ君、でいいかしら……?」


 向こうで「きゅん」呼びをしていたということは、()()()()()()()()()()()()()()()ということだ。


「はい……」


 僕は恥ずかしくなって顔を真っ赤にした。




「ほ……本当は、会ったらまず初めに感謝をしようと思っていたんです」

「感謝……?」

()をあの世界から救ってくれてありがとうございます。こんな()でも、友達がたくさんできましたって……」




 下を向いていたが、エリス様の方を見つめ直す。




「私はエリス様を勘違いしていました。でもそれは勘違いするくらいにはお互いのことを知らなさすぎるからだと思いました」


 手をさしのべる。


「ですから、まずは友達から、です!()にエリス様のことを、色々と教えてください」


「は、はいっ!」


 そう言って僕たちは握手した。






 エルーちゃんとエリス様とサクラさんでお話があるそうで、僕とシルヴィアさんは追い出されるように天庭を後にし、朱雀寮へ。


「なんだか……なにもしていないのに疲れました……」

「お疲れ様です、()()()

「……そういうことでしたか……。なんだか色々と理解しました」


 いや、理解しても納得しているわけではないんだけど……。




 2階の僕の部屋から庭を眺めると、エレノア様のお祝いなのか、みんなでバーベキューをしていた。

 僕とシルヴィアさんは下へと向かうためドアを開け自室を出る。


「……こんな()の、どこがいいんでしょうか……?」

「主なら、『全て』と言うでしょうね」

「……」


 こんなに大きな愛情は、愛情が皆無だった世界にいた僕ではとても一度には受けとめきれない。

 その結果があれだ。

 自分の曖昧な決断に、自分自身が一番納得がいっていない。


「あんな返答で、本当に良かったんでしょうか……?」

「それなら心配ありませんよ」


 自信満々にシルヴィアさんがそう言う。


 共用スペースの窓からみんなのいる庭に出る。

 すると突如大量の流れ星が落ちてゆく。


「この流星群が証拠です。主は今、歓喜に震えておりますから」


 雷の時といい、なんとまあ分かりやすい……。

 でも"他人からの愛情"初心者からすると、それは非常にありがたいことなのかもしれない。


「……アドバイスと言う程でもないですが、()()()はしたいようになされば良いと思いますよ。私も主の一部だから分かりますが、それが主の一番の望みですから」


 そういえば意志繋がってるからシルヴィアさんはエリス様でもあるのか……。

 見られているとは微塵も思ってなかったから、恥ずかしさに僕はシルヴィアさんの手を取った。


「お、おおお奥方様っ!?」

「せっかく綺麗な星空の下でバーベキューやってるんですから、シルヴィアさんも行きましょう!」


「で、ですが私は天使ですから食べる必要は……」

「ほら、楽しむだけでもいいですから!」


 神様が愛してくれているのなら、僕も少しは生きている意味があったのかもしれない。

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