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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第3章 同甘共苦

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第51話 夜会

「今日はパジャマパーティーよ!」


 夕食後、ミア様の提案でパジャマパーティをすることになった。


 自室でシャワーを浴びた後、パジャマに着替えてエルーちゃんと一緒に集合場所である一階へと向かう。



 ◆◆◆◆◆



 夜はあまり部屋から出ないので、エレノア様はそこまで寮生のパジャマ姿を見たことはない。


 エルーちゃんのパジャマ姿も聖女院でトイレと間違えてエルーちゃんの部屋に入ってしまったとき以来だ。

 エルーちゃんは基本僕といるときはメイド服か学校の制服なので、それ以外の服でいることはほとんどない。


 パジャマ姿でもこんなにかわいいんだから、普段からもっとおしゃれしてもいいのにとは思う。

 まあ容姿に関しては僕がいじめられてきた中でも一番の要因のようなので、僕は絶対に言及できるような立場ではないか。


 普段の後ろをお団子でまとめているのも可愛いと思うけど、エルーちゃんが髪を降ろしているのもなんだか新鮮だ。


 リビングへ降りるとフローリアさん含め、みんなパジャマ姿で集まっていた。


 絶対にこの空間、男の僕がいるべきではないよね。

 大丈夫かな僕、来世で呪われない……?


「待っていたよ」


 エレノア様が両手を上げて迎えてくれた。

 今日はいつもの『惰眠』や『怠惰』のTシャツではなく、『完徹』と書いてあるTシャツだった。


 それがパジャマパーティに参加する意気込みということなのだろうか……。

 というか何種類持ってるの、そのTシャツ……?


「せっかく二人寮生が増えてくれたからね。今日はお祝いも兼ねてお菓子なんかもつまんでパジャマパーティをしようじゃない!じゃあお疲れ様!」


乾杯(チアーズ)!」


 軽い音頭を取ってジュースを乾杯する。


「シエラちゃんも今日はそのウィッグ、取っても大丈夫よ?」


「で、ですが……」


「いいから! ほら、今日は無礼講でいきましょう? って、私から言うことではないか、あはは……」


「でももう朱雀寮の皆はシエラちゃんの秘密を知ってるから、どちらでも大丈夫よ! これ以上はないでしょう? どんとこいよ!」


 フローリアさん、まだもうこれ以上、一段回あるんですよ、それが……。


「あ、ありがとうございます」


 いわれるがままにウィッグを外して横に置く。


「本当に、ソラ様なのよね……?」


「はい、お恥ずかしながら」


「恥ずかしいなんてそんな……。 というかってことは入学式の時に挨拶二回してたってこと!?」


「は、はい」


「うわぁ……。 ボクには考えられないね」


「それで、あの魔法て………」


「皆さんあの魔法の虜になっていましたよ!」


「本当にあの空間は、素敵……でした」


 それぞれが思い思いに感想を述べてくれるが、違和感があった。

 別にひねくれているとかではない。


 僕としてはそれほど技術の高い最上級魔法というわけでもなく、むしろ一番簡単な部類のものだ。

 だからそんなに称賛される理由がよくわからなかった。


「あれはサクラさんにしてやられたんですよ……。 ぼ……()だって、ソラとして挨拶するなんて聞かされていなかったんですから……」


 あぶない、あぶない。


 ズボンタイプのパジャマ姿だと女装扱いにならないから、気を抜くと色々ボロが出てしまう。

 少しは女装の時の僕を見習え……いや、女装は見習わなくていいけど。


「っくふふ……」


 ソーニャさん、今言い直したことに笑ってるな……。

 何故か性別はばれてないみたいだけど、ソーニャさんの中で僕っ娘という変な属性が付いてしまったみたいだ。


「そ、そうだミア様!」


 僕は誤魔化しに全振りした。


「これ、この間言ってたサインです。 こんなので良ければ……」


 アイテムボックスからさっきサインを書いておいた色紙を渡す。


 聖女院を出る前、何故かルークさんから「サクラ様もそうされていますが、アイテムボックスに入るだけ色紙を入れておくといいですよ」と言われていれておいたんだけど、その理由がよく分かった。


「あ、アイテムボックスだ! ふむ、初めて間近で見るが、不思議なものだね……」


 一人だけ観点の違うエレノア様。


「わあ、嬉しい……! ありがとう、ソラ様! そうだ、額縁に入れて共有スペースに飾りましょう!」


「それは流石に恥ずかしすぎるので、やめてください……」


「ソラ様がサイン書くのってもしかして初だったりするのかしら?」


「もしかして、貴重?」


「い、いえ、そんなことは……」


 フローリアさんとソーニャさんの疑問に答えていいものか迷う……。


 だけど流石に「初めてはパンツに書きました」とは言いたくない……。


「ちっちっち、甘いね二人とも! ソラ様通の人なら皆知ってるよ! ソラ様は夜寝る用のパンツを買ったときに、その製作者に求められてパンツにサインしたのが最初よ!」


 黒歴史を堂々と言わないでほしい……。


「そして、今はまさに夜寝る前!! つまり……」


「……ごくり」


 い、嫌な予感……。


「ソラ様……今日のお下着、拝見させていただきますっ!」


 ミア様が「みゃあ」と鳴き獣のような身体の使い方で僕の懐に飛び込んでくる。

 流石にパジャマ姿で女の子に迫られるのは色々とまずい。


 僕はリフレクトバリアでミア様を弾く。


「ぐえっ……ひどい、ソラ様! 何も、魔法まで使わなくても……」


「ソラ様、極度の恥ずかしがり屋。 エルーですらお風呂、一緒に入ったことないらしい」


「ええっ!?」


 そりゃそうだ。

 僕とエルーちゃんが一緒に入ったら文字通り()()だよ……。


 確かに初日に一度「お背中お流しします」って言われたけど、流石に色々とまずいので断った。

 まあでもこれからも恥ずかしいでまかり通るならそうしておこう……。


「ご、ごめんなさい……流石に見られるのは……」

「そ、そっか……こちらこそごめんなさい……」


 距離が近付いたのは良いことだけど、僕の場合は近付きすぎるとマズいことになるという教訓を得たのだった。

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