↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第3章 同甘共苦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/1323

第52話 変化

 今日から連休なんだけど、やることがなかった。

 というより、僕になにもさせてくれなかった。


 この間高熱で倒れた時、みんなに心配されたからだろう。

 エルーちゃんもその後から少しそっけなくなったが、何かしようとするとまず何より先に身体の心配からするようになった。


 聖女院も今回のことを重く受け止めたようで、どうやらエリス様とサクラさんからもお達しが来て「ソラになにもさせるな」というお触れが出回っているらしい……。

 完全に割れ物のような扱いだ。


 怒りに身をまかせていたとはいえ、やっていたことは雨の日に自転車に乗っていたようなものだから、我ながら子供だなと思ってしまう。


 以前の自分からは考えられない行動に出ている自覚はある。

 あの時の自分はひたすら無心でいようと心がけていたからかもしれないけれども。



 ◆◆◆◆◆



 そんなわけで今に至る。


「なるほど。 でもボクから見てもシエラ君は働きすぎだと思うよ。 もう少しボクを見習ってほしいね」


 エレノア様は自らのTシャツに書かれた『怠惰』の字を親指で指してそう言う。

 怠けるのはちょっと違うような……。


「あ、あの……」


 シェリルさんが自分から話しかけてくるのは珍しい。


「シエラ様、もしよろしければ私に勉強を教えてくださいませんでしょうか……?」


「構いませんよ。 ほら、この通りその……暇ですし」


 ぱあっと笑顔になるシェリルさん。


「お、いいじゃない! せっかくならみんないるんだし、朱雀寮の皆で勉強会でもやりましょうよ!」


「ミア様、いいね」


 どんどん話が広がってゆく。


「ええ……」


 と、セラフィーさんが露骨に顔をゆがめた。

 Aクラスだったはずだけど、勉強はあまり好きじゃないのかな?


「セラフィー、そんな顔しないで。 二人で変わるって決めたんでしょう?」


 シェリルさんが励ます姿は度々。


 この間の件で、二人も変わろうとしているみたいだ。

 前に進もうとしてくれているなら、僕も応援しなくちゃね。


「じゃ、じゃあシエラ様……! 明日は私たちと戦闘実技の特訓に付き合って貰えませんか?」


「うっ……」


 今度はシェリルさんがあからさまに嫌そうな顔をした。


 なるほど、戦闘実技好きと座学好き。

 好みがはっきり分かれているみたいだ。


 前世で例えるなら、体育が好きで勉強苦手みたいな感じかな?


「うーん、構いませんが……。 流石に寮の外でやるわけにはいきませんよね……?」


「一応休日でも申請すれば体育館や多目的ホールを使うことはできるよ。 ただ、みんな同じこと考えるから利用者は多いと思うけど……」


 ミア様から代案を出された。


「うーん……せっかくですし、もっと広いところにしましょう」


「えっ? 多目的ホールより広いところなんて……ちょ、()()()、まさか……!?」


 感のいいミア様。

 やはりSクラスなだけある。


「はい。 明日は聖女院の庭園へ行きましょう!」


「「ええええっ!?」」


「皆さんもご一緒にどうですか?」


「い、いいの!? 行く行くっ!!」


「決まりですね」



 ◆◆◆◆◆



 エルーちゃんに聖女院へ行くことの伝言をお願いし、今日は勉強に取りかかる。


 僕も聞かれたらアドバイスする方式にして、聖女史の教科書を勉強していた。


 ちらっと見ると、セラフィーさんもきちんと勉強をしていた。


「セラフィーさんも杞憂だったみたいですね」


「そんなことないです。 勉強は嫌いですから」


「参考までに、どうしてお嫌いになったのかお聞きしても?」


 Aクラスだし、勉強が出来ないからとかではない気がする。

 そもそもこの学園は世界でも相当レベルが高いと聞いているから、まずこの学園に入れている時点である程度の頭の良さはあるんだよね。


「家庭教師の先生が、苦手だったんです。 休憩したり時間までにできないとすぐ手が出る先生だったので……」


「それは……すみません。 少し軽率に聞いてしまいましたね」


「いいんです、もう過去にできたのですから」


 過去に「できた」。


 つまり、最近までその家庭教師の方に教わっていたということか。

 体罰は集中力もなくしてしまうらしいからね……。


「シエラ様は……勉強はお好きでしたか?」


「うーん……考えたことありませんでしたが、嫌いではなかったと思います」


「理由をお聞きしても?」


 マインド的な話で参考にしようと思ったのかな?

 でも、そのアドバイスは僕はできないかもな……。


「私の場合はセラフィーさんの逆ですね。 学校では常にいじめられていましたが、授業の時間になると先生の目があるのでいじめられないんですよ」


「あっ……」


「だからあの世界では自分の部屋に引きこもっているときと学校の授業の時間くらいしか私の好きな時間はなかったです」


「も、申し訳ありません! こちらこそ、軽率なことを……」


「いいんです。 お互いに過ぎたことですからね」


 これからは()つのではなく、褒めてあげたい。

 僕はセラフィーさんの頭を撫でる。


「今までよく頑張りましたね……。 これからは、自分のペースで休憩しながらやっていいんです。 これを機に、セラフィーさんが勉強を徐々に好きになっていけたらいいですね」


「シエラ様……」


 お互いにまだ癒えないかもしれないけれど。

 それでもセラフィーさんが頑張っているのを見れば、なんだか僕も頑張れるような気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。