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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第21章 首尾一貫

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閑話135 前国王

【ステラ視点】

「ふぃぃ……ようやく落ち着きましたぁ……」

「お疲れ様です、ステラ様」


 綿のようなふかふかなソファにぼふっと飛び込む。


「私が言うのもなんですけどぉ……ここは問題児ばっかりですよぉ……」


 クランリーダーになる前は流石に聖なるものへの信仰者が集まる『教会』は温厚な人が多い印象があった。

 だから『奈落』よりはマシだろうと思っていた。


 百聞は一見に如かず、実際には誰が気に入らないから追い出せだの、女神様を信仰していない言質をとったから追い出せだの、私を敬っていないから追い出せだの……揚げ足取りばかり。

 私と志を同じくする同志たちだと思っていたのに、結局は自分が他者から優位になりたいからと聖女様の威を借るものの集団だった。

 私自身大聖女様の威を借る小人ではあるのだが、それでもそれを自分の権威として振りかざすようなことはしていないつもりだ。


「冒険者クランなんてそんなものですよ。冒険者は皆何者にも縛られないと思っていて、自分の都合のいいことしか考えておりませんから」


 自由とは責任が伴うこと。

 そんなの二十歳の私でも分かることなのに。


 でも、今はそんなことより――


「もう椅子に座ってるだけはもうイヤですぅ……そろそろ動きたいですぅっ!」


 最近では日課の迷宮潜りすらできていないのだ。

 駄々をこねていると、また厄介事がやってきた。


「ステラ様、来客です」

「どなたですかぁ?」

「イグニス国王陛下です」

「えっ……」




「すまないな、急に」


 確かにアポくらい取ってほしいなどと滑りそうになった口を、はむっと閉じた。

 相手は国王陛下だ。


「ステラ殿は、この国の王家の歴史を知っているか?」


 私はぶんぶんと首を横に降る。


「我々精霊族が王家になった理由はただひとつ、『温厚で余計なことをしない』とシルヴィア様からお墨付きをいただいていたからだ。精霊族は基本的に神樹のあるこの国だけが住みやすく、それ故に保守的な考えの者が多い」

「それはっ、悪いことではないのではっ?」

「いや、保守的過ぎるんだ。更に言えば精霊族は自分達だけが生きていればそれでいいと考える者が多く、外交なぞ誰もやりたがらん」

「よくそんなので保ちましたねぇ……」

「いや、保っていないのだ、ステラ殿。クランのあるこの国では力あるものが偉いとする基準がある。だがそのせいで今の王家は舐められ、この国はほとんどまとめられていない。法もなければ秩序も守られていないのだ」


 私はこの国を一度出ていった身だが、出身地がそんなことになっていたとは知らなかった。


「だが精霊族にやる気のあるやつなどいなくてな。結局のところ、我々は前国王の代理で王にさせられただけだ」

「あのぅ、その前王ってぇ……?」

「なんだ、知らないのか。前王メリクは光属性魔法の使い手。つまり『教会』のトップだ」

「え、えええっ!?」


 そんな話、初めて聞いた。

 後ろでうんうんと頷いているエクレールさんは、せめて教えて欲しかった。


「メリクは良き王だったのだが、その取り巻きが絶望的によくなかった。昔から『教会』には強きものの威を借ろうとする輩があとをたたない。その周りの言うことを素直に聞きすぎたメリクは暴君となり果て、終いにはシルヴィア様の怒りを買ってしまったのだ。そして粛清された」


 思わずびっくりしておしっこが出そうになったが、我慢する。


「だがそれもステラ殿とエクレールのおかげで良くなったのだろう?」

「えへへぇ……」


 やってきたことが素直に褒められるとは思わず、嬉しくなってしまった。

 だがその油断が次の言葉で私をどん底に落としたのだった。


「どうだろう、ステラ殿?貴殿には前王である『教会』のトップという肩書きがある。私は貴殿になら託しても良いと思うのだが……」

「えっ、ええええええええっ!?」

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