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ランニング・ウォリアー  作者: 0・The Fool
1年インターハイ
10/32

合宿

感想頂きましたレフェル様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。




 ボク達は今合宿所に向かう車の中で揺さぶられている。


「合宿所まで後どれくらいなんですか?」

「ええっと、軽井沢だから、後1時間ってところか。」


 ボクの問いに店長さんが答える。


「ガンガンかっ飛ばせるわけだな?」

「遊びに来たなら帰れ。」

「わかってるこの合宿は俺達のレベルアップが目的なんだろ?」


 岸川君と佐渡君のやりとりを聞いて笑った時、


「ちょっと通るわよ?」


 ともみちゃんが背もたれに手をつきながら、ボクの前を通ろうとした時、車体が揺れ、その弾みで手が滑りボクに向かって倒れ込んできた結果、ともみちゃんのお山がボクの顔に押しつけられてしまった。


「ごめん。大丈夫?」


 ともみちゃんのクッションが柔らかかったおかげで無傷です。出来れば、もうちょいこのままでいたかったです。


「声に出てるわよ。スケベ。」


 溜め息を吐きながらボクのおでこにビシッとデコピンをしてこれでチャラよ。と言われた事にホッとしていた。




 合宿所につき、皆が降りた後、後続車から機材を受け取ったボク等を1箇所に集めて部長が口を開いた。


「皆。今回の合宿の目的は個人の能力を高めることにある。だが、能力と言っても、個人の能力はバラバラだ。スプリンターのように平坦な道を速く走ることに特化した者。クライマーように坂を登る事が得意な者。あるいは、両方が得意な者。体力を温存させ終盤に爆発させるメイン集団向けな者。

その中でどの能力を高めろと言われても恐らくは反発か困惑させるだけだろう。

だから、合宿中の判断は各自に任せる。自分達の判断に任せ、ここを走り抜いてもらいたい。

さて。次にこの施設の説明だ。

皆の目の前にある建物が今日から1週間寝泊まりしてもらう。右側の道路を走ればスプリンター用の平坦サーキットが。

左側に進めば山岳サーキット。距離は両方とも1周5キロメートルになってる。

水が欲しいときはここに戻ること。

以上。」


 部長の言葉にみんながロードバイクとともに駆け出した。

ボクも山岳サーキットに向かおうとしたところで部長に止められた。


「待て。登坂。監督がお前はこの場に残れと指示があった。」


 言われた通りしばらく空を見上げ待機している。雲一つない快晴なのにもったいなさすぎだな。とそんな事を考えていると、1台のクルマが近くの駐車場に停車した。


「すまない。もっと早く到着する予定が飛行機のトラブルで遅くなった。」


 クルマから降りた女性がボクに謝罪する。


「私は星宮学園自転車競技部の監督を勤めている成澤美雪という。」


 顔と名前は覚えていますが部活に顔を出さないので監督とは知らなかったです。


「登坂。お前は八神からクライマーの素質があるからと勧誘されたのだったな?」


 一応間違いないので首を縦に振る。


「だが、私から言わせてもらえば並以下のクライマーだ。」


 間違いはないが、いきなり断言されてカチンと来る。


「不満か? お互いコレで語り合う事にしよう」


 成澤先生はそう言いながらクルマにつんであったロードバイクを組み立てた。


「わかりました。」


 ボクはそう答えロードバイクに跨がった。


「ルールは簡単。合図とともに駆け出す。そして、最初にここに戻って来た者が勝者になる。」

「じゃあ、アタシが合図するからそれでかけだしてね。」


 補給係のともみちゃんの言葉に成澤先生は頷いてから着てた白衣を車にしまう。


「さて、私は準備OKだぞ?」


 サイクルジャージに短パン姿の成澤先生はヘルメットにサングラスをつけ、ともみちゃんに告げた。


「じゃあ、位置についてよーい、どん!」


 ともみちゃんの言葉にボク達は同時に走り出した。先を走るのはボクだ。スルスルと滑るように進みあっという間に坂についた。

坂でもペダルを回して進んでいく。

だけど、しばらく進んだら急にペダルが重くなった。まるで引っ張られているかのようだ。


「登坂。確かに坂は強いようだ。だが、その程度のクライマーだ。」


 後ろから成澤先生の声が聞こえたと思った瞬間には追い抜かれてしまった。追いかけようとペダルを回すが、差は開いていくばかり。そして、下り坂にを超え曲がりくねった登り坂。そこでもう成澤先生の姿は見えない。必死になってペダルを回しても先生の姿は見えない。そして、そのまま、スタート地点の補給所まで来てしまった。


「登坂。君の欠点は正しいギア選択が出来ていないことだ。基本的な事だが、ロードバイクは前に2段、後ろに10段の計20段加速になっている。これはロードバイクを速く走らせるだけじゃない。速く走るのはペダルに負荷をかけるわけだ。斜度がキツい坂ならより重くなる訳だが、君の場合は一定のギアで走り続けている。コレじゃ斜度のキツい坂は登れない。」


 確かに途中でペダルが重くなった。


「後、君には必須技術がない。

ホラ。君にはまだそれだけの伸び代が隠されていたんだ。」


 成澤先生はボクの事を考え、あのような挑戦的な事を口にしたんだ。


「しかし、走ると暑くなるな。」


 成澤先生はそう言いながらサイクルジャージのジッパーを下ろし、アンダーシャツやブラまで脱ぎ捨てた。


「な、な、」


 突然の事態についていけず、かつ男の哀しい本能故かともみちゃん並みに豊かなお山を凝視していると、


「何脱いでるのよ!」


 焦ったともみちゃんがサイクルジャージで成澤先生の前を隠したのだった。


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