エピローグ:増えたもう一つの怪談
#ヤンデレ #執着 #ダークロマンス #ホラー #創作
十二ヶ月後。
あの夜以来、鴎小学校が以前と同じ姿に戻ることはなかった。山田先生は事件の直後に退職した。噂によれば、彼は人里離れた村へ移り住み、生涯鏡を見ることを拒んでいるという。エドの母親もまた、二度と着られることのない男の子の服が詰まったスーツケースを抱え、粉々に砕け散った心を抱いてインドネシアへと帰国した。
やがて旧校舎は取り壊された。しかし、奇妙なことが起こり始めた。解体作業員たちが、瓦礫の向こうから二人の子供が笑い合う声を何度も耳にしたのだ。一人は少女の声、もう一人はどこか異国のアクセント混じりの少年の声。
現在、学校には立派な新校舎が建っている。だが、あの伝説は死に絶えるどころか、むしろ進化を遂げていた。
今や生徒たちは「花子さん」だけを呼ぶのではない。彼らは「三番目の個室の赤い二人組」について密かに囁き合っている。
「雨の日に一人であそこに入っちゃダメだよ」新しいトイレの前で、四年生の女子生徒が友人に囁く。「答えてくれるのは花子さんだけじゃないんだ。彼女を守っているエドっていう男の子がいるの。もし花子さんを怒らせたら、エドが君を鏡の中に引きずり込むんだよ」
静まり返ったトイレの中。磨き上げられた鏡の反射の奥に、手をつなぎ合う二人の姿があった。エドの顔には、もう悲しみによる青白さはない。彼は闇の中で輝いているように見えた。もはや日本語を学ぶ必要もなかった。霊界では、分かち合った痛みと愛そのものが言葉になるからだ。
花子がエドの肩に頭を預けた。「エドくん、ドアの外に新しい子が来ているわ。私たちと遊んでくれるかしら?」
エドは微笑み、漆黒の瞳で閉じられたトイレのドアを見つめた。彼は花子の手をより強く握りしめる。二人の手首には、永遠に消えることのない血のような赤い輪が刻まれていた。
「僕たちの邪魔をしないならね、花子ちゃん。だって、永遠に……ここにいるのは君と僕、二人だけなんだから」
――完――
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
作者の エドです。
本作『赤い手首と泥の絆:トイレの花子さんに愛された転校生』はいかがでしたでしょうか。
異国の地で孤独に苛まれる少年・エドと、戦火の記憶に縛られた少女・花子。二人の結末は、ある人にとっては悲劇に見えるかもしれませんし、またある人にとっては、救いのあるハッピーエンドに見えるかもしれません。
もし少しでも「ゾクッとした」「切ない」「二人の絆に惹かれた」と思っていただけましたら、下の方にある【☆☆☆☆☆】評価や、ブックマークをいただけますと、執筆の大きな励みになります!
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それでは、また別の物語でお会いしましょう。




