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プロローグ


 弟は十九人――妹は十四人。


 チェーンの留め具が特徴的の白いマントを払いのけ、高質で綺麗な玉座に腰を下ろす。皇帝、アルフェウヌは嘆息を溢した。そうして玉座に跪いている複数人を睨みつけ、高らかに言う。



「私の弟と妹に仇なすものは全員処刑だ」



 由緒あるアウリム帝国――皇帝と皇妃の実子にして、アルフェウヌ・リウ・アウリムは長子という将来が約束された立場にいた。


 気がついたら皇帝になっていたアルフェウヌ。元より欲が少ない弟妹含めアルフェウヌ自身のせいで、勢力争いはそこまで奮発していなかったのだ。


 そしてアルフェウヌに跪いている複数人、いや、騎士によって押さえつけられ、跪かされている複数人は声すら出せずに息を呑んだ。


「そして貴様等は我が妹フローレを殺めようとした、間違いないな?」


 妹や弟に害をなすなど、アルフェウヌからしたら言語道断である。何よりも許せない一線を、目の前にいる者たちは堂々と踏み躙り、超えてしまったのだ。


「何をっ……何を仰いますか! 貴方様が皇帝になっても暗殺されないよう、他の派閥を殺そうと!」


 跪かされている一人の男が焦り気味に反論するが、アルフェウヌは眉を顰めた。


「なぜ殺す必要がある?」


「は……? だから貴方様が暗殺されないよう……」


 跪かされている男は息と言葉を呑んだ。アルフェウヌの機嫌が見るからに悪くなっている。アルフェウヌは眉を顰めて、ゴミ虫を見るような目で男を睨みつけていた。


 この男はアルフェウヌの何も理解していない。弟や妹が皇帝になるのはアルフェウヌからしたら願ったり叶ったりなのだ。無論、それで自分が命を落とすことも。

 その上で弟と妹の邪魔する者を、アルフェウヌは撤退できた排除してきた。弟妹に害なす者の息の根を完膚なきまでに止めてきた、それだけなのだ。


 故に――何があって、こうなった?


 弟と妹に害なすものの命を奪ってきただけで、いつの間にか皇帝になっていたのだ。皆んなから恐れられ、あろうことかブラコン皇帝、シスコン皇帝なんて呼ばれている。そもそも皇帝という絶対的な地位を元庶民が遂行出来るはずがない。


 元よりアルフェウヌは皇帝になんてなるつもりはなかったのだ。弟のライスピアか妹のフローレあたりに皇位は譲る、これからの国を任せようとアルフェウヌは考えていた。


 前皇帝、いわば父上に皇帝を継げと言われたとしても継ぐつもりなんて微塵もなかった。


 もう一度、重ねて思う。


 ――何があって、こうなった?


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