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七十四ノ怪 ユウの残したモノ…

最近になって、何故か後輩の「ユウ」と全く連絡がつかなくなってしまいました…

何度やってもメールや電話が繋がらない、どうしてだろう…?その理由が全くわからない。もちろん、そこには「彼自身の身に何かが!?」…の心配も含まれています…

まさか亡くなったりしてないよな…?も、もしかして先輩じぶんがちょっとヘンタイだったから、それが嫌になって?え…?ケイジ菌が感染うつるって…?…頼むから理由ワケが最悪でない事を祈ります…


彼は唯一、自分の身近で凄い霊感の後輩もちぬしだったのに…


彼の苦労話を色々と聞かされていたから余計に心配でした。それは彼が「″他人が見えないモノがハッキリと見える″」のが原因だからです。


何処かの交差点にて…


「そこに…白とピンク、ツートンのワンピースを着た女性がいるっす」


…と、そこで亡くなったであろう人物の容姿を事細かに説明してくれるユウ。電柱の横にはその故人に手向けられであろう、花瓶に綺麗な花が添えられていて…


「かなり血塗れっすよ?」


…そこは聞きたくない。

普通に怖いし、何故彼が霊感が強いと自分が判断出来るのか?それはショボい霊感の自分ケイジが稀に見える、薄っすらとした足だけの霊。その容姿を上から下へ全部教えてくれるからです…。しかも自分が見える部分の情報は、正確に言ってくるし…


「俺からすれば″あんなの″、目障りで紛らわしい存在なだけっすよ…」


彼はその能力の所為で日本各地を転々としていて。


例えば他の誰かと一緒に並んで歩いていると、いきなりユウだけが何も無い空間をサッと避けたりするのです。当然もう片方の人は「え?何…?」と、大変驚く事でしょう。だってその人は″それ″を全く視覚出来ないのですから。


彼は日々引っ越し三昧…ってソコは自分ケイジと同じですが…


当然霊が見えない人、知らない人、知ろうともしない人からすれば。それは精神的な患い…精神異常、もしくは薬物異常の疑いをかけられると思います…


しかもバイク乗りだったユウは、走行中に″ひと″を避けて何度か自爆事故を起こしています。そして、それが原因で彼は自分ケイジのいた職場を辞める事になってしまったのですから…


バス停で待っていると後ろの人に肩を叩かれ


「すいませんが、早くまえに進んで下さい」


と言われて。振り向くと自分の前には、ただそこに黙って突っ立っているだけの″ひと″が…

そして既にその霊の前はガラガラだったとか…。要は彼は幽霊を普通の人と視認していて、その後ろに並んでいただけなのです。


霊の在り方は精神体もしくは思念体。

それらは恐らく物事を考えたり、話したりする事は出来ないのですが、その残存する意思や思念が脳へシンクロすれば″かれらが話し掛けてきた″と勘違いするのだと私は思うのです。

まぁ、″それ″なら話し掛けてきた…と解釈しても正解になるのかもしれませんが…。やっぱり断言出来ないから、そこら辺りは気にしないで下さい……って、どっちだよ…


そんなユウがまだ心霊現象を理解、自力で解決出来なかった子供の頃。

彼は日常的に″誰かが苦しんだり、助けを求める不気味な声″がいつも聞こえてくる為、癖の様に耳を塞いでいたとか。でもその行動は全くの無為となります。

だって、日々耳の聴覚へ聞こえてくるのではなく、一方的に直接脳へと彼らの声が聞こえてくるのですから。

だから彼にとっては生き死にの多い、大きな病院なんかが特に凄かったようで…。と、そんな薄気味悪い息子ユウをいくら注意しても直さない…、いえ…、直せなかったからか、彼の母親は知らぬ間に自宅から消え去り、音信不通…行方不明になってしまいました。

要はユウの母親も″ソレを理解出来る人ではなかった″のです。その所為で彼自身自己嫌悪に陥り、酷く荒れた生活が待っていたのは言うまでもないでしょう…

そして周りからも気味悪がられ、居辛くなると引っ越し、また引っ越し…と。


「ケイジさん。″幽霊アレ″と会話出来たら俺、悩まなくて済んだんでしょうかね…?」


「え?返事は無いし、そもそも意思の無いTV映像相手に語り掛ける様なモンだろ?それはそれで寂しくないか?ただTV映像なら、視力低下くらいで取り憑かれる心配は無いだろうけど」


「あははは…、そうっすね」


彼とはそんな意味深なやり取りもしました…

深くシンクロすれば取り憑かれるだけ。そこに観念や感情など存在しません。まぁ、中には説明不能な恐ろしい存在れいや、理解が全く及ばない意味不明な激しい存在れいもいるのです…


「テレビに『霊能力者ユウ。彼には霊の全てが見えていた!!』…とかのお題で出てみたら?金儲かるかもよ?」


と、冗談半分でツッコミを入れたら


「あははは。口が達者なだけで簡単に儲けれるのならいいっすね。羨ましい…。でもリアルに幽霊アレが見える人たちなんて、絶対にテレビなんて出ませんから…」


「そっか…」


自分ケイジの返事が「そっか」って何だよ?もっと気の利いた事を言ってやれよ。

…と、そう脳内で叫んでいたら。


「ケイジさん。俺…、まだ言ってない意味が分かんない現象があるんすよ…?」


そう振ってきました。

それは自分ケイジの未体験な現象で、ある条件が一致したら出る?…みたいな…?

対象の人から、突然身体の輪郭から煙?オーラ?みたいなモノが急に発せられるらしいのです。幽霊特有の全身がボヤけている状態や、淡く光を帯びている一般的な現象とは異なり…

…って、ソレを見た事が無いので表現が難しくって、すいません…


最初に″黒っぽい半透明な影?″の様なオーラが見えると、全員ではないですが。その奇妙な現象が発生した中の数人が近日中に亡くなってしまったとか?もしくは深刻な病を患い闘病生活になった…とか?


そして″半透明の湯気?″だった場合、軽い事故や怪我をする前?もしくはその後だとか。酷く落ち込んでいる人?も含まれてるやら何やら…。失恋も含まれるかも…?何か周波数的なモノが影響したり?また、表現が難しくて微妙な説明しか出来なくて申し訳ないです…


表現が全て曖昧ですが、大体を雰囲気で理解してもらえれば幸いかと。それにいつも言ってますが、心霊現象になんて確証は有りません。でも他に赤透明?黄透明?やら色々と有る様で、何が起因しているのかは全くの謎らしいです。それを直接一人一人に聞いてメモるっ!…ってやっていたら即、警察署へ直行でしょうから…


ただ、その中の最初に話した″黒いオーラ?″だけは完全なる異質だとか。何か″死や厄災を予感するモノ″だとユウは語っていました。

勿論その話をしたのは…一応、ちょっと、少し、微妙?…でも霊感の有るだろう?的でダメダメな自分ケイジと、沖縄出身シンママの同じく霊感の持ち主キンちゃん…だけらしいのです。

それはそうでしょう。いきなり「あなたには不吉な″黒い影″が見えますよ?だから命に気を付けて下さいね?」なんて言われたら。ドン引きされ、その人間関係へ完全に線引きされてしまうでしょうからね…

まさか自分ケイジの身体にも何かしら見えていて、気を遣い黙ってくれていたとか…!?

…て、かなり前の話だから。いくらなんでも、今はもう大丈夫だろうな、うん。


「ケイジさん、隣の棟へ荷物を運んだっすけど…」


そして実際に職場で働いていた他部署の男性にも、その黒い影が見えていたらしく、後日。その人が大阪府のプロのスポーツ選手がよく来院している、某S病院に入院することになってしまいました。

五十歳の独身男性で、いつも酒を浴びる様に飲んでおり、肝臓が悪くて足のちょっとした傷から細菌が入り、まさかの感染症が悪化してしまったのが原因とか?でもその後ユウが仕事を辞め自分も続けて仕事を辞めてしまったので、その男性のその後に如何とかは未確認のままです。


本当に霊感が有る人は、同じ境遇・同じ者同士になら打ち解けてくれるのかもしれませんが。しかしそれは、凄く辛く悲しい話ばかりなのだと思います。だから自分ケイジは″霊感それ″が中途半端で良かったのかも?…と、そう思えるようになりました。

そしてユウは気を遣ってか接触を避けるかの様に、黙ったまま再び遠方へと引っ越してしまったのではないでしょうか?自分ケイジはそう信じています。だから忘れた頃に、突然彼から電話が掛ってくるのを待つ事にしました。


万が一、これを読まれている読者様かたで。稀に身体の輪郭に黒いオーラが見える現象を目撃された方いたとしたら。…もし、それが″身内だった″のなら…。尚更、遠回しにでも危険を知らせてあげた方が良いのかもしれません。予知による未来は変えられるのか?

自分にはその予防策や回避手段なんて有るのかすらわかりません。でも同じ現象で全員が亡くなっているワケではないので、ある種の超危険予知だと思われます。だから頑張って回避する努力をして下さい。


そして最後に。

霊感の強かったユウからの最終警告という事で…。人間による目にあまる環境破壊に次ぐ世界規模の異常気象の多発化。次なるウイルスの新種被害や進化し続けるパンデミック。最後の行き着く先は悪化した環境破壊とパンデミックによる、国交断裂、物価・価格崩壊。食糧不足から頻発する犯罪や略奪行為。当たり前だったモノが急に全て終わりを告げ、いずれは自分ケイジを含む全世界の人間へ輪郭に黒いソレが顕現する…か、しないか…。例の謎のビジョンの様、″赤黒い世界″と成り果てるか、はたまた否か…


ーーもう間に合わないのでしょうか…


己が正義…と、悪意が無自覚の人や国が多くなった末期の世の中。本当に変わらなければならないのは、その中に一つだけでも原因を持つ、各々の人間自身だと思いませんか?私はこのままだと間違い無く世界が滅……


…と。今回の話はここまでとさせていただきます…





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