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プロローグ
―まだ、人を愛する事は知らなかった。
フと突然目の前に現れた君は、月のような人だった。
いつもそばにいてくれて、笑顔を教えてくれた君。
そして離れすぎれば、見失う。
「ねえ、子供の名前は楓よ。ふふ、名付けてくれたの。私達は良い友人を持ったわよね。きっと、貴方に似て優しい子よ」
この世界では珍しい黒髪で聖女。
俺は、約束を守ろう。君が守ろうとした世界を、見届けよう。
そして――まだ見ぬ君が生きてるならば、
「……絶対に殺してやる、あの女を」
地下牢獄の奥で銀髪をした小さな体をしていた男の子が、愛くるしい見た目とは反対に重い言葉を呟いていた。




