14話 ヒツジのお仕事
私はヒツジ。
ミサキの家で飼われている羊のぬいぐるみだ。
「今日もずっとヒツジは寝てるなー。ほんとに動いてるの、これ?」
そんなことを言いながら私をつついてくるミサキ。やめなさい。
お前は知らないだろうが、私には毎日重要な仕事があるのだ。
そのせいで疲れ切って眠っているのだから、邪魔をするでない。
ずっとゴソゴソしていたミサキは、ようやく眠ることにしたようだ。
電気が消えた。
しかしまだ油断はできない。
電気を消しても、すまほとかいうのをずっと触っている時があるからだ。
薄目で様子を窺っていたが、今日はそのまま寝るようだ。
よし。
私はおもむろに寝床から這い出し、ミサキの頭のあたりに近づく。
羊が1匹。 ぴよーん。
羊が2匹。 ぴよーん。
なにをしているかだって。
羊がすることなんて決まっているだろう。
飼い主が寝付くまで羊を数え続けるのだよ。
こうやって頭上を右に左に飛びながら、飼い主が寝付くまで羊を数え続ける。それが私、ヒツジの毎夜の仕事なのだよ。
羊が10匹。 ぴよーん。
羊が11匹。 ぴよーん。
チラリと横目でミサキを窺うが、まだ寝付いていないようだ。
この飼い主、やたらと寝付きが悪いのだ。
先日など5465匹を数え終わった時に、ようやく寝付いたのだ。
あれは本当に厳しい試練だった。危うく顔の上に墜落して、これまでの5000匹を無駄にしてしまうところだった。
羊が34匹。 ぴよーん。
羊が35匹。 ぴよーん。
そういえば、3894匹数えた時にいきなり「忘れてた!」と言いながら飛び起きて、部屋を出ていった時もあったな。
あの時はあまりの衝撃に泡を吹きそうになってしまったぞ。
フランが慰めてくれて持ち直したが、もう二度とやらないでほしい。
その後は1296匹で済んだが。
羊が152匹。 ぴよーん。
羊が153匹。 ぴよーん。
1度寝付いてしまえばヒツジの仕事は終了だ。
その後、夜中に目が覚めても、そこから全く眠れなくてもヒツジは関知しない。
最初の1回がヒツジの仕事なのだ。
だから! 早く! 寝ろ!
羊が1113匹。 ぴよーん。
羊が1114匹。 ぴよーん。
よし、どうやら寝たようだ。
これで今日の仕事は終了だ。
寝床の方へ飛んでいくと、フランが毛布を持ち上げてくれるので、滑り込んで即夢の中だ。
今日もヒツジは忙しい。




