13話 たむの鳴き声
部屋の隅っこのぬいぐるみスペースで、たむがちょっちゃんにせっせと話しかけています。
それにしても、たむは自分のことを猫だという割に、全然「にゃー」って鳴きませんね。
というか、喋れるからなのか鳴き声ってものをあげません。泣き声はよく聞いていますが。
「ねえ、たむ。猫らしく鳴いてよ」
「はい! にゃー!」
「はい」はいらないと思いますが、まあいいでしょう。
「他は?」
「にゃん」
わざとらしく猫っぽいですね。
「ねえ、たむの鳴き声を『みゅー』にしない?」
「なんででしゅか?」
「それが! 1番! かわいいから!」
「…………」
反応が薄いですね。
でも私は「みゅー」って鳴き声が1番好きなんです!
昔から1番かわいいと思ってるんです!
そんな鳴き声の動物はいませんが、キャラクターで「みゅー」って鳴いてたら悶えます!
だからぜひたむには「みゅー」って鳴いてほしいのです!
「とりあえず1回だけ! お願い!」
「…………みゅー」
「かわいい! かわいい!! かわいい!!!」
むぎゅ!
すりすりすりすり。
「ねえ、もう1回!」
「…………みゅー」
「かわいい! かわいい!! かわいい!!!」
なんで困った顔をしながら逃げようとしているのかわかりませんが、かわい過ぎます!
すりすりすりすり、すりすりすりすり。
ハの字眉毛で困りながらのみゅーは破壊力抜群です。
「たむ、これからはずっとみゅーって鳴いてね」
「え…………」
「ね?」
「…………」
「あんこあげないよ?」
「…………みゅー」
「たむはなんていい子!!!!!」
むぎゅ!
すりすりすりすり。
それから一週間ほどは、たむがなぜか私を避けるようにしていました。
どうしてでしょう。
解せぬ、というやつです。
変なのはたむなのか、ミサキなのか……。




