第300話
ルイスはしばらく考えて、それから書類一式をマウンダイス国王のところへと持っていく。
「陛下、失礼をいたします」
「おお、ルイスか。なんだ」
王宮の、それも一番巨大な部屋を通るとある、比較的小さな部屋へルイスは向かっていた。
そこが国王の執務室となっており、そこをメインにマウンダイスは国王としての業務に当たっていた。
今日も部屋に入るとすぐに手を止めてルイスのところを見る。
傍らには執務の補助をするために侍立している秘書官長が、たくさんの書類を持っていた。
彼よりもルイスの方が優先度が高いという判断と、単純にこの執務が面倒になってきたから新しい話題へ飛びついたという2つが、国王をルイスへと注意を向けさせたようだ。
「……お忙しいところ恐れ入ります。こちらの書類の決裁をしていただければ」
「なんだ、お前も仕事を持ち込んできたのか」
だからこそ、ルイスが来た理由を知ると、少しばかり残念な顔をした。
「叙爵は陛下の専権ですので。こちら側で何かしらをすることは越権となりましょう」
「ルイスがすることだ、万に一つも間違いはあるまい。だから多少のk十であれば、私はお前のところでの決済でそのまま出しても構わないと思っているほどだ」
それほどの信頼をルイスに対してしているということの裏返しでもある。
ただルイスはそれに気づくことはなく、秘書官長へ書類を託した。
「では陛下、よろしくお願いいたします」
「……ああ、そうだ。一つだけ」
「なんでしょうか」
部屋から辞去しようとしていたルイスをマウンダイスは引き止めた。
「温泉街、近くの火山が噴火したらしくつぶれたそうだ。あのあたりに貴族たちはいなかっただろうな」
「ええ、全員避難をしていたかと思います。すでにあそこは人が住むには耐えれないような、そんな土地となってしまっておりましたから」
「そうか。ならば安心だな」
ホッとした表情でマウンダイスは再び執務へと、半分はいやいやながらも戻った。
それを受けて、ルイスも、失礼します、とだけ伝え、部屋を後にした。




