297/301
第296話
「ここを使って。何かあればメイド達がいるから」
ルイスがランゲルスを部屋へと案内すると、もはや家と見まごうばかりの広さと部屋数があった。
「わかったわ」
とはいうものの、ランゲルスも宰相の妻として何事もなかったかのようにそれを受け入れていた。
「子供を育てるのも大変だろうから、乳母も教育係ももう用意しているんだ。またあとで顔合わせをするつもりだから。その時になったらまた言うよ」
「それでルイスはどうするつもり?」
「離れていた間の仕事が溜まっているからね。それをするつもり。ただ、時々こうして部屋に来るよ」
今はちょっと忙しいけどね、とルイスが伝えると、ランゲルスはさみしそうな顔を浮かべた。
しかしそれも一瞬のこと、わかったわ、とだけまたつぶやいていた。




