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VSボブゴブリン

「気を付けてそいつボブゴブリンだよ」


 警告してくれる彼女の言葉に耳を傾けながら気を引き締める。


 初めて対面したボブゴブリンは堂々とした足取りでゆっくりと歩いてくる。


 ボブゴブリンは小さな傷だらけありながらもで鋭い目つきをしていた。彼は他のゴブリンとは異なる雰囲気を放っていた。


「ギャァァァァ!!」


 その咆哮で近くにある店のガラスが音を立てて振動する。


 ボブゴブリンは仲間の死体を見て憤怒の表情で叫び声を上げ僕を睨み、そして突進してくる。


 僕も迎え撃つために剣を構える、その時、ボブゴブリンは途中にある仲間の死体を見て、その死体を僕に投げつけてきた。


「なに!?仲間の死体を投げた!?」


 視界を塞がれ、躊躇している間に、ボブゴブリンは仲間の死体を巻き込むように僕に殴りかかり、吹き飛ばされてしまった。


 顔面に強い衝撃を浴びて一瞬意識が朦朧とする。


「お兄ちゃん頑張って、負けないでー!!」


 後ろから声援を受けて剣を握る手に力を込め、剣で体を支えながら、ふらついた体に気合を入れて立ち上がり、ボブゴブリンが追撃を仕掛けてくる。


 ボブゴブリンは手を組み僕に向かって勢いをのせてハンマーの様に思いっ切り振り下ろす攻撃を咄嗟に後ろに跳んでかろうじてかわす。振り下ろされた場所はコンクリートが粉々になり小さなクレーターが出来ていた。


 続けてくる拳を振り回す連撃を剣で受け流しながらも一撃を受け流す度に手が痺れてくる。


(どうすれば勝てる)


 周囲を観察しながらボブゴブリンの攻撃をかわし続けると視界にある場所が目に付く。


「こっちだ」


 ボブゴブリンを近くある公園に底の浅い噴水が出る水場がある広場に誘導する。


 一日の決まった時間に噴水が吹き上がる水場で、ボブゴブリンをその場にとどまらせるように、円を描くように攻撃を避け、逃げ回りながら、その時を待つ。


「ギャ!?」


 すると噴水が活きよいよく吹き上がりボブゴブリンの動きが一瞬止まる。


「今だ!!」


 僕はボブゴブリンの後ろに素早く周り首筋にスキルを唱えながら剣を振るう。


「スラッシュ」


 剣は勢いよく振られ、ボブゴブリンの首に切り込もうとしたが、剣は切り口を付けただけで止まってしまった。


 止まってしまった剣をスキルを発動させ無理やり切り込みを入れていく。


「スラッシュ、スラッシュ、スラッシュ、スラーーーーーシュ!!」


 切り込んだ剣はボブゴブリンの首を切断し、僕は水場に落ちながらもボブゴブリンに勝利したのだった。



 私は先程の起こった碧お兄ちゃんとボブゴブリンの戦闘を思い出していた。


 ボブゴブリンは初心者の冒険者から最初に躓くであろう登竜門、初めて相手にする時は3人でチームで組んで相手にするのが一般的であるが碧お兄ちゃんは一人でやってのけるなんてすごいよ。


 最初はボブゴブリンの突発的な行動に油断して吹き飛ばされて時は、ハラハラしたけど碧お兄ちゃんの機転のおかげで倒すことが出来た。けどそれを見てただ見てるだけの自分が悔しかった。


 もし自分が戦えることが出来れば碧お兄ちゃんに少しでも怪我をさせる事もなく倒せたのかもしれないのに。


 もし自分に攻撃スキルがあれば隣に立って一生に並び立つことができるのに。


 またあの時みたいに庇って助けてもらうばかりなのはいやだよ。


 そう自分自身に自問自答を繰り返し、頬に微かに流れた涙を碧お兄ちゃんにバレない様に袖で拭きお兄ちゃんの元に歩いて行った。


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