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冒険者の覚悟:ゴブリンの襲撃

 ステータスを確認した翌日


 雨雲から傘が不要なほどの冷たい霧のような雨が降り、肌寒く歩くたびにぴちゃぴちゃと音を立てる。その音のリズムは、プレゼントを待ちきれない子供のような弾む足音を響かせる。


 最上空に相合傘をせがまれた僕は、スキルを確認するためにいつもの慣れ親しんだスライムしか出ない荒野のダンジョンに向かうために、彼女と相合傘をしながら自分がスキルを使うことが出来るわくわく感を宿しながら市街地を歩いていく。人が少ない分、スキルを存分に試すことができるからだ。


 いつも同じ通路を通っているのに、周りの視線が気になる。先程から通行人がすれ違っているたびに、その人たちが振り返って僕達を見ている。昨日までは腫物を扱うような視線を受け避けられていたのに、不思議な気分だ。


「こんな綺麗になったんだもん、そりゃ見られてもしょうがないよ」


 そう言って横にぴったり張り付いてくる。


「昨日までの視線と全然違うから慣れないよ」


 周りの視線が気になりながらも進んで行くと、遠くの方で悲鳴と動物の唸り声のような声が聞こえて来た。


「今の悲鳴はなに」


「わからないでも用心した方が良さそうだね」


 視線の先に先程聞こえた方角から逃げてきた大学生くらいの男性に話をきいてみる。


「ゴブリンが街に出てきたんだよ君達も早く逃げなさい」


 そう言って男性は慌てて走り去って行った。


「いきなりのぶっつけ本番だけどやるしかないみたいだね、お兄ちゃん覚悟を決めて」


「……うん、此処で覚悟を示さないようじゃ冒険者になれないよ、よし!!」


 僕は気合を入れるために頬を叩く。


「その意気だよ、私も気合を入れてあげる」


 そう言って彼女は僕の背中を叩き気合を入れて語り掛ける。


「いい、スキルの使い方は自分自身に問いかけると自然に使い方が頭に入ってくるの、やってみて」


 自分自身のスキルを思うと自然に頭の中に使い方流れ込んできて唱える、昨日までの自分と此れからの自分を変えるために心の中でスキル唱えた


(甲冑召喚)


 すると、金色の蛇の刺繍が施された赤いドレスに身を包み、胸当て、籠手、そして腰の左右に白銀の鎧が輝きを放って現れた。


 続けてスキルを唱える


(聖剣召喚)


 右手に透き通り輝く赤い水晶を思わせる刃の付いた長剣が現れる。


 ゴブリンは倒した事はないけど今の僕になら倒せる気がする。


「ごめん、お兄ちゃん、私のスキルに戦闘系はないの、武器もメンテナンスに出していて戦えないけど逃げ遅れた人がいないとも限らないから後ろからついて行くよ」


「わかった、危険だけど一緒に行こう、絶対に離れないで」


 騒ぎの中心に到着すると、ゴブリンがそこらじゅうに暴れ回っている。手に持っているこん棒で店の窓ガラスを割ったり、車を凹ませたりして、ギャッ、ギャッと笑い、自由気ままにやりたい放題だ。


 ステータスを獲得できなかった人達にとっては、ゴブリン一匹でも恐怖の対象だ。


「空ちゃんは逃げ遅れた人がいないか捜索を離れすぎないように」


「わかった、気を付けて」


 僕はすぐ近くに独りでいるゴブリンに狙いを定め切り込んでいく。


 ギャァと悲鳴を上げてゴブリンを倒すことに成功した。


 しかし、初めて人型の魔物を切った感覚には強い吐き気が走り、手が震える。


 でも、周りの人々の悲鳴を聞き、自分の頬をたたき気を強く持って次の近くの群れに向かっていく。


 剣の扱いも最初はぎこちない動作だったが、次第に洗練されていく。


 動きが洗礼された頃にはほとんどゴブリン倒れ残りは先程のゴブリン達よりも一回り大きい一匹しか残っていなかった。


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