最上玲次サイド4
死に物狂いでダンジョンから脱出した俺様は、先程の醜態を思い出し、近くのごみ箱や自販機を蹴って鬱憤を晴らす。
(くそっ!!くそっ!!俺様がこんなに弱いはずがねぇ、すべて古土達が悪いんだ、そうに違いない)
自分自身に言い訳をしている時、携帯に着信が入り、掛けてきた相手を見て苛立ちを覚えながらも着信に出る。
「もしもし、玲次だ、今イラついているから用件だけを言え」
『いや~ごめんなさいね~玲次君、ちょっとある噂を聞きましてね~、とある冒険者がある日を境に急に失敗続きのポンコツになったって言うじゃないですか』
嫌味たらしくネチネチとした口調で俺様に話してくる。
「なっ!!何のことだ、俺様は絶好調だぜ、べっ…別人じゃないか」
動揺を必死に隠そうと見栄を張るが、声が震えてしまい動揺を隠せない。
『それなら~いいんですがね~、もしかして玲次君、今まで倒せた魔物が、倒せなくなったりしたんじゃないかな~って思ったんですよね』
「倒せなかったんじゃない、俺様についてきた奴らが邪魔をしてきて、本来の力が出せなくなっただけだ。俺のせいじゃない!!……あっ」
アイツの嫌味に俺様は、つい条件反射で言い返してしまった。
『やっぱりそうですか……そうですか、ならここらへんで潮時ですかね~』
「何のことだ、何が潮時だ」
『はい~、あなたには貴重なサンプルとしてプロトタイプのステータスカードによる実験に付き合ってもらうために、わざわざ情報を与えて、カードを盗ませて、観察させて頂きました。いや~良いデータが取れました』
「貴重なサンプルだと、俺様が」
『はいそうですよ~、それだけじゃ~ないんですがね~、本当は私が最初にステータスカードを作る予定だったのに!!あの小便臭い小娘が先に発表しやがって!!おっと失礼、下品でしたね。では最上玲次君、今までご苦労だったね、じゃあね~、あと今通話しているその携帯、証拠隠滅させてもらうから~』
「ちょっと待て話は終わって、くっ!!」
俺様の持っていた携帯が突然ボンッと小さな爆発を起こし、壊れる。
「……ちくしょう、ちくしょぉぉぉ~~!!俺様は最強なんだ~~~!!」
突然叫ぶ俺様に、通行人が遠くから見てくるが気付くはずもなく、ただ叫ぶのだった。