森崎詠美の過去とこれからの未来
私は裕福な家庭に生まれ、何も不自由なく育ってきました。
成績は常に上位をキープし、友人も多くいて楽しい日々を過ごしていた、そんなある日、学年で一番の人気のある、評判の男子に告白されました。
しかし、私は知っていた、前に忘れ物を取りに教室に入ろうとした時、今日告白してきた男子が友達と雑談をしていた内容にゾッとした気持ちになった。
私を彼女にして、お金を貢がせるだけ貢がせ、どれだけのお金を搾取できるかというゲームの話していたのだ。
私は当然、その男子の告白を断り、教室で話していた内容を本人の前で暴露し、手が痺れるほどの強烈なビンタをお見舞いした次の日。
私はその告白してきた男子に、私が無理ありその男子に迫ったことにされ、拒否された腹いせに暴力を振るわれた事になっていたのだ。
人気のある男子の主張にだまされ、今まで仲が良かった友達は、ほとんど離れてしまいクラスで孤立してしまった。
そんな時に悪いことが重なってしまった、学校の校庭の真中にダンジョンが発生した。
突然現れるダンジョンに、クラスメイト達は興味津々だった。
興味本位で見に行ったのが災いした、ダンジョンの方に気を取られ、後ろから近づいてくる、前に告白してきた男子を含めた数人に捕まり、ダンジョンに無理やり連れて来られてしまった。
私が両手を後ろに掴めれ、逃げれないように先頭を歩かされた時、そいつは現れた、
二足歩行で立つ大きな上顎から見えている大きな牙を持った獲物を探し求める気性の荒い人狼の魔物だった。
始めて見る魔物に体が震え、動くことが出来ない時、後ろから魔物の方へ突き飛ばされる。
「俺の物にならないなら、こうなるんだよ、ばぁ~か」
そう言って彼らは笑いながら、私以外の全員が立ち去っていく。
「いや、助けて」
近づいてくる人狼に恐怖し、足が震え立つことが出来ず、後ろに這いずりながら離れようとする。
「グゥ~クックック」
嘲笑するような鳴き声を出しながらゆっくりと近づいて来る。
私の頬に鋭いかぎ爪でゆっくりと楽しんでいるかのように引っ掻かれ、焼けるような激痛が私を襲う。
「ゔっ!!痛い!!痛い!!痛い!!痛いーーーー!!」
痛みに耐えられず、その場でもがき苦しむ私の足を、人狼は片手で掴み持ち上げると、壁に叩き突かれ、私は気を失った。
次に目が覚めた時は、病院のベットの上だった。
現場に駆けつけてくれた冒険者に助けられたみたいだ。
頬に深い傷がついた顔は包帯で巻かれ、右足の骨が折れてしまい、ギプスで固定され吊るされている。
私を無理やり連れて行った人達は、私の頬の痛みに耐えながら、途切れ途切れの証言で明るみになり、退学処分になった。
顔の傷が治療不可能と診断され常に頬の激痛に悩まされるが、そのまま学校に復帰した、真実が明らかになりいじめは無くなったが、クラスメイトに遠巻きにされ、高校を卒業した。
高校を卒業してすぐに、職業も獲得したが、『ストーカー』という人には言えない職業に覚醒したため、家族には報告したが、他の人には言うことが出来ないため、冒険者の道も諦め、社会に働きに出ようとするも頬の激痛で常にまともに働けなかった。
冒険者組合に回復薬が不適期ではあるが入荷するため、両親の知り合いの支部長に無理を言って、受付嬢として雇ってもらい、回復薬を飲みながら少しではあるが、頬の傷の激痛が和らぎ、耐える日々を送っていた。
そんな耐える日々を、過ごしていた時に灰城碧が現れました。
彼は私以上に肌の至る所が爛れていて、やせ細り、弱弱しくお世辞にも冒険者は出来ない酷い状態でした。
他の受付に無視されている様子を見て、過去の自分と重なって見え、過去の自分を救うように、私だけは彼に親身になって対応した。
どうしてそんな状態になってまで、魔石集めをしているか彼に話を聞くと、夢である冒険者学校の入学の為にレベルアップを頑張っていることや、両親が他界し、親族もいない、生活費を稼ぐ手段がこれしかないと教えてくれた。
激痛に耐えるだけの日々だけの私には彼が輝いて見えた。
夢を追い続ける彼の姿に、止まって日々の私に勇気をもらえた。
数か月が経ち、しばらく彼の姿が見えない期間が続き、再び彼が現れた時、私は驚き、手に持っていた書類の束を落としてしまう。
あれほど弱々しかった容姿は別人の様に変わってしまった事に驚きを隠し切れない。
応接室で聞いた内容に、再び驚かされ、そして私のこの激痛に耐えるだけの日々に終止符を打ってくれた。
懸命になってふらつきながらも治療し、私は長年の痛みから解放されたのだ。
鏡に映る自分の顔に、本当に救われたことだと思い知らされる。
治療室に飲み物とお菓子を持ち、部屋に入ると、ルトちゃんは椅子に座りながら眠ってしまっていた。
気絶して眠る彼の顔を眺めながら此れからの事を考えると、私の頭の中は彼の事でいっぱいだった。
彼に助けられた事で、私が初めて恋に落ち、その気持ちに反応したのか、今まで避けていた職業『ストーカー』が灰城碧に対して発動したのがわかった。
私はすぐにステータスカードを確認した。
森崎詠美 女
レベル 12
職業 ストーカー
スキル あなたは何処に わたしのコレクション コレクションの一撃
称号 愛の追跡者
職業
ストーカー 好意の相手に対しての限定探知系、収納、特殊スキルを習得できる。
スキル
あなたは何処に 常に好意の相手の位置がわかる。
わたしのコレクション 好意の相手の使用した物を収納空間に入れることができる。
コレクションの一撃 収納空間にしまってある物を消費して強い一撃を放つ、消費した数で威力が上がる。
称号
愛の追跡者 好意の相手を見つけたもの 相手の1日分の行動を概ね把握することが出来る。
「これではまるで本物のストーカーね……でも、私の気持ちが、本物だという証明……」
私は眠っている灰城君の頬にそっと口付けして小さな声で、灰城君の耳元で囁く。
「覚悟してくださいね、灰城君、私はストーカーらしいですから、でも、仕方ないですよね、運命を感じてしまったから、絶対にあなたの物にしてもらいます」
私は二人が起きるまでずっと、灰城君の寝顔を眺め続けていた。