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冒険者組合の出来事

「ここが冒険者組合だよ」


 冒険者組合の建物はいつも様々な人が行き来しており混雑している。


 頭に動物の耳を生やしている人や、ダンジョンで強い武器を、手に入れたのか武器を掲げて自慢している人、ダンジョンに入る仲間の募集している人、他にもいろんな人々の声で賑わっているのがわかる。


 僕とルトが入り口から入っていくと周りが段々と静かになり始め皆こちらに視線を向けてくる。


 近くの男性冒険者の会話に耳を傾ける。


「おい、あれいつもスライムを倒しているだけのガキじゃないか」


「……そうだよな、随分と綺麗になったな~、しかも見た目がそっくり子がもう1人いるし」


「あれで男なんだよな、勿体ない」


「まじで!!言われないと分からないな……勿体ない」


 会話を聞くんじゃなかった。


 いつも受付をしてくれる森崎絵美もりさきえみさんの受付に向かう。


 森崎さんがこちらを見つけると、手に持っていた書類の束を落とし、驚いた表情で固まってしまった。


 森崎絵美、いつもピシッとしたスーツに身を包み、つり目で右目の目元から下顎にかけて獣の深い引っ搔き傷が目立ち、肩にかかるくらいで毛先が少し曲がっている、ミディアムヘアの黒髪、僕が今まで出会った中で一番の山脈を思わせる胸部持っている。


 顔に目立つ深い傷のせいで恐れられており、数名の冒険者以外しか利用しないため、いつも森崎さんの受付は空いている。


「森崎さん大丈夫ですか?」


「おねいさん、だいちょうぶ?」


 ルトも固まった森崎さん心配して訪ねる、なんて優しい子。


「失礼いたしました、確認いたしますが、灰……城…様ですよね?レベルが上がったことは存じておりましたが、まさかこれ程までにお姿がお変わりになられるとは、それとそちらのお嬢さんは」


「もちろん僕は灰城ですよ、その事についてお話したいのですが個室でお話しできませんか?」


 森崎さんに後ろの聞き耳を立てている人達に視線を送る。


「わかりました、こちらえどうぞ」


 個室に案内され、改めて森崎さんと向かい合わせにルトと一緒にソファーに座る。


「このいちゅふかふかだ~」


 ルトが嬉しそうに小さく弾む。


「それで、灰城様ご用件は、そのお嬢さんの事でしょうか?」


「そうです、この子はルトといいます、ルト、挨拶して」


「こんにちは、るとといいまちゅ」


 ルトは手を上げて元気よく挨拶をする。


「元気でいいですね、こちらこそ初めまして森崎絵美です、よろしくね」


「それでルトの事について何ですけど……」


 僕はレベルアップ出来なかった説明から始まり自身の職業の説明、ルトの誕生した流れについて話しをする。


「……驚くことばかりですね、プロトタイプのステータスカード、称号『男の娘』に職業『魔物女王』ですか……スキル『眷属作成』でこれからも増える可能性をがあると」


「はい、それでルトの事やこれから眷属が増えた場合登録することになります」


「登録自体は何も問題ありません、テイマーの方もいらっしゃいます、ルトちゃんもしっかりとした理性があるのも見れば分かります、しかし、この事は一度、上に報告させてもらいますがよろしいでしょうか?」


「もちろん大丈夫です」


「では一度必要書類を持って参ります」


 森崎さんが立ち上がろうとした時に僕は呼び止めた。


「待ってください、あともう一つ用事があります、森崎さんの顔の傷を治させてくれませんか?」


 森崎さんは顔を下に向け、曇った表情で話す。


「もちろん大丈夫ですが、……いいんですよ、今まで他にも回復魔法が使える方にお願いしましたが、治りませんでしたから」


 段々と声が小さくなりながら、彼女は僕に話した。


「この姿になる前、森崎さんだけは僕を気味がわらずに話してくださいました、だからそのご恩返しがしたいんです、それでは行きます」


 僕は森崎さんに感謝の気持ちを込めながらヒールと浄化を同時に使用した。


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