121 「ツシマヤマネコ飼育員物語 動物園から野生復帰をめざして」
こんにちは。
今回はこちらの本のご紹介です。
こちらは今回の改定版ではなく、前までの光村図書版の中学国語教科書で紹介されていた本でした。
〇「ツシマヤマネコ飼育員物語 動物園から野生復帰をめざして」
キム・ファン・著 / くもん出版(2017)
今回もまた、前年までの本たちをおろして新訂版の教科書で紹介された本にチェンジする作業を黙々とやっていたわけですが、ついでにその中で未読で、気になったものをいくつか読んでみています。こちらはその中のひとつ。
ノンフィクションなので、前回と同じく「作り話なんて読みたくない」という層にはお勧めしやすいかもしれません。
ツシマヤマネコの話で写真やイラストも入っており、可愛いのでネコ好き、動物好きな生徒にも勧めやすそうです。
内容はタイトルの通りなのですが、少しだけご紹介。
ツシマヤマネコは、長崎県の対馬にだけ生息している野生のネコ。絶滅危惧種としていわゆる「レッドデータ」にも載っており、すでに70~100頭ぐらいしか残っていないと言われているそうです。
なんとか動物園で雄と雌をつがわせ、繁殖させて、生まれた子どもを対馬の森に放してやりたい……というのが、このプロジェクトの目的とするところ。
他にも取り組んでいる動物園はいくつかあるのですが、特にこの本で取り上げられているのは京都市動物園。そのうち特に、高木直子さんという飼育員さんの目線からプロジェクトの流れが語られている形です。
もちろんこの方だけでなく、ともに働くほかの飼育員さん、動物のお医者さん、園長さんなど、みんなで力を合わせてツシマヤマネコの繁殖を後押ししています。
イラストも交えて、いわゆるイエネコとツシマヤマネコの姿や性質の違いを説明されていたり、漢字にはルビがふってあったり、文字が比較的大きかったりするので、小学生でも読める子はたくさんいそうです。
この本を通して、野生動物への興味を持ち、絶滅しそうな動物たちを守る活動に携わってくれる人が増えることを筆者や飼育員さんたちは望んでおられるようです。
まさにそれで、私も今まで知らなかったことがたくさんありましたし、動物を守るための活動に何か協力できないか……と鼓舞されました。
非常に読みやすく、また内容も優れたお勧めの一冊です。
では、今回はこのあたりで。