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105 「重力ピエロ」

 

 こんにちは。

 今回はこちらの本のご紹介を。


 先に申し上げておきたいのですが、こちらの本は自分の勤める学校図書館にもともとあったものでした。装備が新しいところを見ると、どうやら比較的最近の、以前図書館を管理しておられた先生が入れたもののようです。


 〇「重力ピエロ」

 伊坂幸太郎・著 / 新潮社(2006)


 初版年を見ると、思っていたよりも古い作品でした。

 伊坂幸太郎氏は本邦のミステリー作家として有名な方ですね。今年は中学校の「夏休みにお勧め」ポスターの中でもこのかたの作品「逆ソクラテス」が紹介されています。

 ところで、これは本日入ってきたばかりのニュースですが、今年、日本人ではじめて王谷昌さんがミステリーの有名な賞である「ダガー賞」を受賞されました。伊坂幸太郎氏は東野圭吾氏などと並んでこちらの賞にもかつてノミネートされたこともあるそうです。


 軽妙なセリフ回しの中に、過去の文学作品の造詣があますところなく挟み込まれる感じはちょっと村上春樹の作品を連想する感じなのですが、個人的にはあちらよりずっと読みやすく思います。……まあ、私個人が村上春樹作品がどうしても肌に合わないせいかもしれませんが(苦笑)。いや、学校図書館に入れない、とかはいたしませんよ! さすがに!


 ということで、ストーリーの冒頭を少しだけご紹介。

 主人公は泉水(いずみ)という名の青年。春という弟がいます。ふたりとも、どこか風変りで知的な感じのある兄弟。

 ただしこの弟には、家族として非常につらい内容の出生の秘密がありました。それゆえに、春にはどこか危なっかしい部分があり、特にとある犯罪については暴力的なほどに過激な反応をします。


 ふたりが大人になるころ、近隣では連続放火事件が起こりはじめます。その近くには、必ず謎のグラフィティーアート(要は壁に描かれる落書きのこと)が……。

 泉水は遺伝子検査をする会社に勤めているのですが、そのグラフィティアートはどうやら、遺伝子と関係があるようで……??

 癌に冒されて入院中の父はこの事件にことのほか関心を示し、謎を解き明かそうとやる気になってしまいます。息子たちは戸惑いつつもそれに巻き込まれる形で事件解明に関わることに。


 ……うーん。

 ミステリーとしての出来は素晴らしいのですが、この「春の出生の秘密」の部分に関して、学校図書館の司書としてはひっかかる部分が多分にありまして、ちょっと悩んでしまいました。

 要するに、とある性犯罪が絡んでいるわけです。それにまつわる描写は決して生々しいものではないのですが、それでも過激には違いないし。個人的に、その時の母親の選択には同じ女性として疑問もかなり覚えました。

 やっぱり中学校に置くのはちょっと、どうなのだろう……と考えてしまいまして。まあ、おおむね問題はないと思いますけれども。


 せっかくお勧めされているので「逆ソクラテス」もぜひ読んでみたいと思っております。

 ではでは、今回はこのあたりで。


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