六個目のボール|アンデッドパラダイス
「聞こえるか?」
ブルーガがボニーに話しかける。
「ああ、どうやら来たようだな」
ボニーは答える。
そして扉が爆発して勢いよく吹き飛んだ。そこから三十人ばかしの特殊部隊”エンティット”の隊員達が雪崩れ込む。
「ボブコンビ伏せてください! 総員射撃用意!」
ベルスの言葉にボニーとブルーガは素早くその場に伏せる。”エンティット”の隊員達は一斉にH&KG36Cを構える。
「ファイヤー!」
ベルスの叫びと共に一斉にライフル弾の唸り声がクラブハウス内に響き渡る。キンキンと音を立てながら空薬莢が次々と飛び散る。アンデッドたちは次々と頭部に穴を開けられながらバタバタと倒れていく。数秒後には銃声は止んだ。
同時刻。
クラブハウスの外でケヴィンはベレッタM92Fを手に二十人ものアンデッドたちと対峙していた。
「いつの間にいたんだ?」
ケヴィンはぼやきながら目の前に居るアンデッドの頭に狙いを定めて撃つ。アンデッドの眼球にパラベラム魔弾が貫通し穴が空いて、そこから血がドクドクと流れ出し倒れた。
「……最低な事態だな」
ケヴィンのぼやきはアンデッドたちのうめき声でかき消される。数秒後、ケヴィンは一旦マガジンを引き抜き残弾を確認する。
「……はあ、ジョージのじいさんからマガジンを請求しておけばよかった」
ケヴィンは残り三発だけとなったマガジンを見てため息をつく。
「あまり使うつもりはなかったけどな」
ケヴィンはベレッタM92Fをホルスターにしまいこみ、代わりに胸ポケットから小型のサバイバルナイフを手にする。
「来いよ死体野郎」
「大丈夫ですか?」
ベルスがボニーとブルーガに近づき話しかける。
「おお、大丈夫だ」
「平気だ」
二人はそれぞれ別々の言い方で無事を告げる。
「隊長! サーチアイを発動したところ外に二十体ほどのアンデッドを感知しました。アンデッドの集団の中に刑事が一人サバイバルナイフで応戦してる模様!」
”エンティット”の隊員がベルスに報告する。
「ブルーガ、お前はケヴィンを援護してくれ。あとは俺が一人で終わらせる。この事件の犯人とのご対面だ」
「ああ、お前に任せる」
二人はそう言ってそれぞれの方向へ向かう。ブルーガはケヴィンのいる外へ、ボニーは地下深くへと通じるエレベーターへ。
ケヴィンはナイフを横になぎ払うように振る。五体のアンデッドの顔に切り傷が走る。
「これでも喰らえ」
ケヴィンはその場で飛び上がり左足を右になぎ払うようにして蹴る。五体のアンデッドはまるで団子みたいに一列になって文字通り吹き飛ぶ。
「格闘はだるい。銃を撃つ方が楽だ」
ケヴィンの足元にいた倒れているアンデッドは身を捩じらせて必死になって起き上がろうとした。しかしケヴィンはアンデッドの頭を右足で勢いよく踏みつける。グシャリと鈍い音がしてアンデッドは絶命した。首から勢いよく赤い血液が噴き出す。
「……クリーニング代、出るかな?」
ケヴィンは現在の状況よりもスーツのクリーニング代のことを心配していた。
ボニーはエレベーターの昇降ボタンの降を押す。独特の動作音を唸りながらゴンドラがのぼってくる。チンと音がして扉が開く。目の前には三体のアンデッドが居た。
「邪魔だ」
ボニーはアンデッドの頭をわしづかみにして、地面に叩きつける。グシャリと鈍い音がしてアンデッドの顔は醜く歪んだ。
「お前らもだ」
ボニーはデザートイーグル50AEを素早くかまえ、アンデッドの頭を撃ち抜く。
「……ケリをつけるか。”イーヴァ”」
ボニーはゴンドラに乗り込み、扉を閉める。それと同時に自動的に動作音を唸らせながらボニーを乗せたゴンドラは地下へと降りていく。ボニーは近くに転がっていたレッドボールを踏みつける。
「姑息なメッセージを残しやがって。”ドーンスティンガー”の時のように逃がさないぞ」
【あとがき|ヘタクソケース】
またもや未完成です。
一応レッドボール第一部はそろそろ終わりですね。しかしこれで終わりと言う流れではない。どんな展開にすべきは俺自身も考えてない。正直展開はレッドボール次第だ。
もうサブタイトルが本編からの引用でなくなってきました。
正直この話、終わらせる自信がありません。
スライドマンについては頑固なまでに動いてくれません。