第十五話
蒼太「紡、大所帯になったけど、このままだとまずいよね。」
紡「現在二十五人です。短期的な避難は可能でも、長期運用には向きません。」
蒼太「ここは思い切った『適正化』をした方がよくないかい。」
紡「人員削減のような言い方はやめてください。」
蒼太「近くの中学校に避難所があるんでしょ?」
紡「先にそちらを説明してください。」
蒼太「ゾンビも追い払ったし、今なら移動できるよね。」
紡「では、それぞれに今後の居場所を選んでもらいましょう。」
ゾンビを撃退したあと、二十五人は生活エリアに集まった。
栞が貯水量と食料を確認する。
「現在の設備で長期滞在できるのは、七名程度です」
反栞派だった男が立ち上がった。
「中学校の避難所へ行こう。子どもや負傷者には、医療や行政の支援がある場所の方がいい」
もう一人の客も賛同した。
栞は地図へ安全な経路を書き込み、水、保存食、簡易防具を用意した。
十八人が避難所へ向かうことを決めた。
ホームセンターへ残ったのは、栞、上司、女性スタッフ、若い男。そして家庭菜園が趣味の中年男性と、陸上部の高校生二人だった。
出発の準備中、上司のノートパソコンにメッセージが届いた。
『本社に複数名が取り残されています』
「俺は会社へ向かう」
「推奨できません。経路には複数のバグが残っています」
「部下を置いてはいけない」
栞は上司を見つめた。
「私は三日間、会社に残されましたが」
「……それについては悪かった」
上司は避難所へ向かう一団と途中まで同行することになった。
「水瀬君。留守の間に勝手なことをするなよ」
栞は改装計画書を差し出した。
「承認をお願いします」
「もう用意していたのか?」
上司は署名してから、ホームセンターを出ていった。
その日の夕方。
六人になった店内で、監視モニターが鳴った。
入口には、また複数の生存者が立っている。
その中の派手な女性が、防犯カメラへ顔を近づけた。
『……もしかして、しおりん?』
栞の動きが止まった。
蒼太「適正化したそばから増えたね。」
紡「空き容量を検知されたようです。」
蒼太「しかも、栞の知り合いっぽい。」
紡「栞は認識したくなさそうですが。」
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