プロローグ
蒼太「紡、早速次のネタ考えてみたんだけど。」
紡「早速すぎませんか?」
「まだチンパンジーが頭から離れていないんですが。」
蒼太「水瀬 栞。二十八歳、女性。」
紡「……今回は人間ですね。」
蒼太「普段はおっとりしているのに、DIYのことになると急にオタク特有の早口になるIT系のシステムエンジニア、SE。」
紡「設定の組み合わせが独特ですね。」
「SEなのに、こだわるのはパソコンではなくDIYなんですか?」
蒼太「そして、三日連続徹夜。」
紡「もう帰してあげてください。」
蒼太「バグ修正のデスマーチ中。」
紡「帰れない理由まで追加されました。」
蒼太「そんな栞が、朝の駅にいる。」
紡「それ、出勤ですか?」
蒼太「帰宅途中。」
紡「よかった。」
「いえ、三日ぶりの帰宅なので全然よくありませんが。」
蒼太「そこで突然、ゾンビパニックが発生する。」
紡「……。」
蒼太「さて、どうする?」
紡「まず確認したいのですが。」
蒼太「なに?」
紡「三日連続で徹夜した直後の主人公に、ゾンビの群れから逃げろと?」
蒼太「うん。」
紡「走る以前に、立ったまま寝ますよ。」
蒼太「でも栞は、ゾンビを見て喜ぶ。」
紡「……なぜです?」
蒼太「これで会社に行かなくて済むから。」
紡「デスマーチがゾンビパニックに勝ちました。」
蒼太「三日ぶりに解放されたんだから、そりゃ嬉しいでしょ。」
紡「会社からは解放されましたが、今度は人類社会から解放されかけています。」
蒼太「それで、近くのホームセンターへ向かう。」
紡「食料や生活用品の確保ですね。」
蒼太「いや、DIYの材料を取りに。」
紡「そちらが先なんですか?」
蒼太「栞はDIYに対して強火のオタクだから。」
紡「強火。」
蒼太「ホームセンターを魔改造する。」
紡「……確認します。」
「おっとりした二十八歳のSEが、三日徹夜した状態でゾンビパニックに巻き込まれ。」
「会社に行かなくて済むと喜び。」
「ホームセンターへ逃げ込み。」
「DIYオタクとして覚醒して、建物を魔改造する。」
蒼太「そういう話。」
紡「ゾンビより危険な人物が誕生しようとしています。」
蒼太「できそう?」
紡「できます。」
「ただし、魔改造の話になった瞬間から、栞には早口でしゃべってもらいます。」
蒼太「普段はおっとりしてるんだよ?」
紡「だからこそです。」
「ゾンビを前にしても動じなかった女性が、電動工具を見た瞬間だけ目の色を変える。」
「この作品の一番怖い場面になるかもしれません。」
蒼太「ゾンビパニックなのに?」
紡「ゾンビはホームセンターを魔改造しませんから。」
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