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第二章「魔鋭四将」2

「ちょっとまて、魔鋭四将(まえいししょう)って何だ?」


「え?魔王の幹部であり、魔王の次に偉い魔物達ですよ。刃の魔鋭、炎の魔鋭、脚の魔鋭、死の魔鋭という4人の将の総称です。知らないんですか?」

セリアはいかにも当然のことのように言う。


(なるほど、ならば倒す価値はあるな)

魔王を倒すことが目標のマモルにとって、腕慣らしには丁度いい相手だと思った。


「それで?そいつはどこにいるんだ?」


「それはまだ断定できていません。とりあえず<帝都ブレインクリーン>で情報を集めようと考えています」


こうしてマモルとセリアは帝都ブレインクリーンを目指し旅に出た。


ブレインクリーンまでは徒歩5日。

北の森を抜けて、さらに北上する必要がある。


どうやら、セリアは剣の腕に少し覚えがあるらしく、剣士の素質を訓練によって得たらしい。


「守られるより、守りたいので」

兄を失った経験からの信念のようだ。


北の森に入り、悪鬼が巣食うトウフ基地を避け、もう少しで森を抜けられるかと思っていた頃、何かの気配を感じた。


「悪鬼か?」

マモルは呟いたが、すぐにその思考を訂正する。


そして、マモルは茂みに向かって弓を射た。

影が茂みから別の茂みに高速で移動していく。


(総髪の男だな・・・)

マモルは思った。


「まず姿を見せろ。話がしたい」

マモルはその茂みから目を離さない。


やがて、総髪の男が姿を現した。


「お前は!?」

セリアは叫んだ。


「紫髪の女はどこにいる?」

総髪の男が低い声で聞く。


「もともと初対面だ。仕事が終われば何の関係もない。そんなことより、よく茂みなんかに入れるな」


茂みに入れば体に虫が付く。

マモルはそんなことを懸念していた。


「そんなことを言うために呼び止めたのか?」


「いや、すまん。なぜ俺達を追ってきた?」


「命令だ」


「兄貴のか?」


総髪の男はセリアの方を見てから

「そうだ」

と答えた。


セリアがマモルに全て教えたのだと悟ったのだろう。


「お前の兄貴は魔鋭に操られているらしい。俺達はそんな兄貴を救おうとしてるんだぜ?」


「お前達には無理だ」

そう言うと総髪の男は揺れ始めた。


(口で言ってもダメか。このアホンダラは)

マモルはそう思いながら、セリアの前に出て弓を構えた。


「セリア。手を出すなよ」


「なぜ!?」


マモルが対一を望んだ理由は、セリアを死なせないためと、総髪の男を殺してしまわないためだった。


総髪の男の戦闘スタイルを、マモルは既に見ている。


身体を揺らして残像を作り、分身した瞬間に矢で射抜く。


そこが最も分身を封じるのに、有効な瞬間だった。


しかし、そのことを総髪の男も理解している。


分身を生み出し速度が乗り、それが安定する直前がこの術の隙。


だが、その隙はほぼ無いに等しい。


総髪の男が分身し、2人に分かれた瞬間を狙ってマモルの矢は到達した。


しかし、その矢は分身し終えた片方の剣に弾かれてしまう。


〜分身の術〜


「え!?」

マモルが声を上げる。


分身の術が成功し、2人の総髪の男がマモルの左右から挟撃の形で襲いかかった。


右側の総髪の男は逆胴に狙いを定め剣を水平に振りかぶり、左側も同じように振りかぶっている。


つまり、マモルの逃げ場を塞ぐように剣を振り抜くつもりのようだ。


レイヴンと同じように戦うというマモルの作戦は完全に破綻していた。


ならば、覚悟を決めるしか無い。


2つの刃は2つの残盾の効果で軽減され、マモルに受け止められる。


そしてほぼ同時に、片方の男の顔面にマモルの拳が叩き込まれた。


「ひじきッ!」

総髪の男は苦痛の声を上げ、茂みに突っ込んだ。


もう片方の分身は消滅する。


総髪の男には読み負けていた部分があった。


彼はマモルと悪鬼の戦いを見ていたのだ。

だから、マモルが残盾を2回使用できることも知っている。


そして、もし総髪の男も残盾を持っていた場合、反撃をしても次の瞬間には弓使いが不利な近距離の戦闘が始まるのだ。


仮に持っていなかったとしても、少しでも反撃のタイミングが遅れれば、総髪の男の腕なら高速の二刀目で斬り伏せることができる。


だから弓使いとしては、跳躍して避けるか、残盾を消費してでもその場から距離を取るのが常識である。


それを斬撃に合わせて殴るなど、よほどの胆力がなければできず、型破りにも程があると総髪の男は思った。


そして総髪の男はすぐに矢を警戒したうえで立ち上がったが、目の前には既に拳を振り上げたマモルが立っている。


(なんでよ・・・)

総髪の男は絶望した。


もともとマモルは総髪の男を殺すつもりがない。

だから、最終的には武器ではなく素手で勝負を決める予定だったのだ。


マモルは総髪の男を失神するまで打ち据えた。


そして、総髪の男が目を覚ますと既に日が沈んでいた。

もちろん、身体は縄で拘束されている。


「目が覚めたか」

焚き火を囲むマモルは言った。


セリアは既にテントで眠っているらしい。


「・・・」


「心配するな。世が明けたら短剣を置いて、俺達は行く」


「・・・」


「俺はマモル。お前、名は?」


「ヨモギザワ・・・」

総髪の男は小声で言った。


「ヨモギザワ、死の魔鋭がどこにいるか知らないか?」


「知らん」


「そうか」

その言葉を最後に沈黙が続いた。


ヨモギザワにさっきまでの元気はない。

ここまでされれば、さすがに観念したのだろう。

そう思い、マモルは深い眠りについた。

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