表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

第一章「力の選択」1

「ウェルカム トゥ マイ ワールド」

何もない薄暗い空間で、男の目の前に黒い人影の様なものが漂っている。


「お前は、何だ・・・?」

男は恐る恐る黒い影に聞いた。


「私はこの世界<マイワールド>の魔王だ。マモルよ。お前のような無職を平和な世界から呼び出したのは、この魔王の嗜みのようなものだ」

魔王と自称した目の前の黒い影は、まるでマモルの写し鏡のように目の前に直立している。


「私が本気なら人間達に勝利しマイワールドを簡単に支配できてしまう。だからこそ飽いている。確定してしまった未来は面白くもない。ランダム性こそが生きる愉しみだとは思わないか?」


「俺にはよくわからない・・・」


「今はそれで良い。お前は無理矢理、このマイワールドに連れてこられた。お前は私がこのマイワールドに放つイレギュラー要素の1つだ。お前は自由にこのマイワールドで生きていけば良いのさ」


魔王が両手のひらを上に向け前に出すと、そこから野球ボール大の淡い光の玉が湧き出しては消えていく。


「マイワールドは戦いの世界。お前には戦士としての職業とその才能を選ぶ権利がある」


マモルは感覚に身を任せて、魔王の手から光の玉を1つ掴み取った。


「弓使いか。良いチョイスだ。目を瞑れ。次に目を覚ます時、お前は人間達の暮らす小さな町で目を覚ますだろう・・・」

魔王の手がマモルの視界を遮ると、マモルは徐々に意識を失っていった。


気がつくと公園のような場所の木の下でマモルは寝ていた。


初めはぼんやりと目を擦っていたが、見慣れない風景にやがて困惑する。


そこは明らかに元の世界とは違った。


マモルはさっきの出来事を思い出して、このリアルな感覚と置かれている状態から、これは夢ではないのだと理解した。


(あまりにも無責任すぎやしないか?)

マモルはそう思った。


背中には矢の入った矢筒、左手には木製の弓がある。


そういえば、弓使いがどうとか言っていたなと思い、マモルは右手で矢筒から矢を取り出し、そのまま弓を引いて、隣の木に狙いを定めた。


右手を離すと矢は真っ直ぐに飛んで、ストンッと木に突き刺さった。


「おお・・・」

マモルは唸った。


魔王の言っていた弓使いの職業と才能とはまさにこのことだった。


マモルは次々に矢を木に向かって放った。


心地よいほどに命中する矢と、木に刺さる時の快音。


「セイッ!セイッ!」

マモルはつい楽しくなって掛け声を大きくしていく。


しばらくすると背後から視線を送る人の気配を感じた。


「こんな所で矢を射るのは危なくないかね?」

背後から聞こえるのは高い女性の声だった。


マモルが慌てて振り向くと、セミロングの紫色の髪、そして皮の肩当てをした冒険者らしき女性が立っていた。


「危なくないかね?」


「すいません・・・」


「ここは公園だ。人に当たるから危ないよ」

彼女の指摘は真っ当だったが、俺はこの世界の人間ではない。


何を言っても許される気がした。


「俺は勇者だ。弓の練習をしている」


「勇者は死んだよ。とにかく、町の中で武器を振るうのはやめなよ」

そう言うと彼女は去っていった。


勇者とは、魔王を倒す者と相場が決まっている。


つまり、現状は魔王が勇者を倒しこのマイワールドを支配する一歩手前だということなのだろうか?


「しかたねえなあ・・・!」


とりあえず、飯とかの問題もあり行動を起こすしかない。


(魔王が俺をマイワールドに呼んだのは、自分の邪魔をして欲しいということなのだろう)


ならば、このマイワールドを救うためにマモルがマイワールドに来たとも言えるのだ。


マモルはこの町の長に会うために走り出した。


しばらく町を駆け回り、町で1番大きく目立った二階建ての建物を見つけたマモルは、堂々と中に入っていった。


「ここは町役所です。ご用件は?」

ロビーのような場所で受付らしき美女が話しかけてくる。


「俺は勇者志望だ。町長に取り次いで欲しい」


「そういうのは募集していないと思いますが・・・」

そう言いながら受付が奥に引っ込んでいく。


数分して受付が戻ってきた。

「お会いになるそうです。どうぞこちらへ」


マモルが奥の部屋に通されると、玉座に座ったよく肥えた男が4人の美女に囲まれていた。


おそらくその男が町長だろう。


「おお君か勇者志望は!」

そう言うと町長は立ち上がり、マモルに歩み寄って手を握手を求めた。


「残念だが、私は君を勇者と決める権限はない。だがこの町は長い間、盗賊団の脅威に晒されている。良ければ盗賊団を退治してくれぬか?」


「良いですよ」

マモルはあまりよく考えず承諾した。


「おお、それはありがたい!勇者というものはそうやって名声を上げていくものだからな!そういえば、さっきもう1人の冒険者が仕事を探してここに来た。彼女はロビーに待たせておる。一緒に行ってくれたまえ」


マモルが深々と礼をして退室し、ロビーに行くと、さっき公園であった女性が椅子に座っていた。


「やあ、一緒に仕事をすることになったみたいだね。私の名は<レイヴン>。君は?」


「俺は弓使いマモルだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ